「標的の村」

映画「標的の村」が111日から一週間、シネマe〜ラにおいて上映された。映画は東村・高江区の安次嶺現達一家の生活を軸に、前半は高江のヘリパッド基地建設反対の闘いを中心にSLAPP裁判、ベトナム村、そして後半はヤマトではほとんど報道されなかった普天間基地封鎖の模様を描いていた。「静かで自然豊かな高江に、何故オスプレイは配備されなければならないのか」。住民の素朴な質問に防衛施設局局員は答えることができない。そして、SLAPP裁判に訴える国。現場に一度も行ったことがない小学生を被告にしてしまう国、こんな国に私達は生きている。

映画はクライマックスに入っていく。オスプレイの配備に反対して住民は普天間基地を封鎖していく。ゲート前を車で固める人々、そのまわりをスクラムで固める人達、そして数的には圧倒的多数の沖縄の警官隊が沖縄の住民1人を3,4人掛かりで剥がしにかかる。住民は必死に抵抗するも多勢に無勢である。この攻防を基地内で米軍兵士が笑って見ていた。一体この住民と警官は何のために争っているのだろうか。そしてそのような中、1人の女性が車の中で「安里屋ユンタ」を歌い出す。喧噪の中、「聞こえてるぞ〜」「独りじゃないぞ〜」と声がかかる。

このような場面を観ながら、目に涙が溢れてきたのは私だけではなかったであろう。ある雑誌のインタビューで三上監督は「観客の方から、『この映画を観て、途中泣けて映画を直視できなくなった。そしてその涙は、こんな状況の中で私は何をやってきたのだろうかと、自分に問いかける涙であった』と、よく言われた」と、語っていた。

安次嶺現達さんは「この国の法律は一体誰のためのものか この国の司法は一体何を裁くのか それでもオスプレイが来るなら 取り返しに行こう 我等の土地を」と語る。                               

(池)