語り継ぐ強制連行の歴史 富山(北陸)編 報告

 

2021220日、第13回強制動員全国集会がもたれた。集会はコロナ禍で延期されていたが、オンラインで開催された。集会では富山をはじめ全国から調査報告がなされた。

富山の報告は、はじめに、松浦晴芳さんが冊子「平和と人権とやまガイド」について紹介した。この冊子は平和教育用に作成され、朝鮮人強制連行の項目があり、戦時の強制労働の現場や捕虜収容所について記されている。

つづいて堀江節子さんが「黒部川電源開発と朝鮮人」の題で、富山県での電源開発と工場誘致の歴史、そこへの朝鮮人の動員の歴史を話し、戦時の黒部川第3発電所工事(1940年完成)工事での雪崩事故や高熱下での過酷な労働状況を示した。また、金泰景という飯場頭が宇奈月で活動し、検挙されたこともあり、解放後は済州島に帰ったが、かれについて調べたいと話した。

不二越強制連行被害者の支援をすすめてきた中川美由紀さんは、不二越に朝鮮人女子勤労挺身隊員1089人、朝鮮人男子徴用工535人(「不二越25年史」)が連行されたが、1990年代からその謝罪と賠償をもとめて裁判闘争が展開されてきたこと、2013年には韓国で提訴し、仁川市や光州の市民の会が被害者の口述集が発刊されるなど韓国内でも支援の輪が広がったことなどを話した。

角三外弘さんは石川県七尾港に連行された中国人399人の実態について話した。栄養不良と重労働の中で15人が死亡し、64人が失明した。角三さんは『七尾港 中国人強制連行の記録』をまとめた(2019年)。

全国各地の報告では、岐阜の下嶌義輔さんが韓国義城郡での神岡鉱山犠牲者の遺骨調査、山口の井上洋子さんが「40年目の証言 美祢市民・戦争体験記」から下関署長の強制徴用目撃の証言、奈良の川瀬俊治さんが天理の柳本飛行場の説明版と大阪空襲での朝鮮人犠牲者遺家族の調査について報告した。最後に、竹内康人が「ここが問題、産業遺産情報センター」の題で、明治産業革命遺産での歴史否定の手口を批判した。     (T