浜松市への公開質問状とその回答の状況 20225

                             スーパーシティを考える会

 

「スーパーシティを考える会」では、これまで何回か、疑問に思えたことを公開質問状として浜松市に提出し、その都度「質問」、「市の回答」、「会の見解」をまとめて公表してきました。今回、その中から重要だと思われるものをいくつかあげます。

 

❶ 会の質問

「スーパーシティ特区の区域指定」選定もれについて 

スーパーシティ国家戦略特区の区域指定について、浜松市の「再提案」に関連して、「国家戦略特区諮問会議が3月10日、大阪市と茨城県つくば市のみを選んだ。」(中日新聞3.12)と、報道されています。つまり浜松市は「区域指定」の選定に落ちた、ということになります。この件に関して、質問します。

「区域指定」選定もれは、どのような方法で知りましたか? それは、以下のいずれでしょうか。

①   内閣府から連絡あり。➡ 連絡は電話でしたか、メール等の文書でしたか。

②   浜松市から内閣府に問いあわせ。➡ 問い合わせは電話でしたか、メール等の文書でしたか。

③   マスコミ報道で、初めて知った。

 

<浜松市の回答>

令和4年3月10日の第53回国家戦略特別区域諮問会議終了後に内閣府ホームページで公表された会議結果により把握しました。

 

《会の見解》

 浜松市の回答はスーパーシティ国家戦略特区の区域指定「選定もれ」について、市民に丁寧に説明しようとする姿勢を欠いた極めて杜撰なものです。3月10日に「第53回国家戦略特別区域諮問会議」の開催が予定され、その場で【スーパーシティ国家戦略特区の区域指定についての結果】が公表されることは、すでに内閣府から連絡があり、その結果についての概略は説明されていたはずだからです。

 

❷ 会の質問

浜松市長の臨時記者会見が、3月11日に行われました。(動画公開中)ところが、動画の中で市長は、スーパーシティの事には全くふれていません。また、浜松市公式ホームページにおいて、「スーパーシティ」と検索しても、結果は、ずっと何も更新していない状態でした。(最新は、2021年2月24日)第1回の選定もれの件を、浜松市として市民に説明する責務があると考えます。

① 市長は、市民への周知について、どのように考えていますか。

② 3月11日の臨時記者会見では、なぜこの件を説明されなかったのですか。

③ 公式ホームページには、特区指定もれについて、なぜ記載されていないのですか。

 

<浜松市の回答>

①   ② ③をまとめて回答します。 令和4年3月11日に市公式ホームページで公表しています。

 

《会の見解》

浜松市のホームページでは「2022年3月10日(木曜日)に国家戦略特区諮問会議が開催され、スーパーシティの指定に関する審議の結果、浜松市は指定されませんでした。本市では、今後も、様々な事業を通じ、活力ある地域社会の実現と市民生活の向上を図ってまいります。」のみの記載になっています。たいへん簡単な記載であり、これをもって市民に説明したとは到底思えません。

また「参考」として、内閣府ホームページ「国家戦略特別区域諮問会議(第53回)について」が添付されています。そのホームページでは「本日、下記のとおり標記会議が開催され、スーパーシティ型国家戦略特区として、つくば市及び大阪市を、デジタル田園健康特区として、吉備中央町、茅野市及び加賀市を指定することが、同会議として決定されました。」と記載され、ダウンロード用PDF(説明資料1~6,参考資料1~9)が添付されています。これを「公表」とか「周知」と浜松市は強弁するのでしょうか。

内閣府ホームページのダウンロード用PDFの内容は21Mbほどの膨大なもので、そのすべてを通読できる市民は何人もいないはずです。

しかも、質問①、②については全く回答していません。

3月11日の臨時記者会見は、そのための良い機会だったのではないでしょうか。「ウクライナ難民の受け入れ支援について」が主要な内容だったとしても、前日に公表されたスーパーシティ型国家戦略特別区域の指定もれについて、簡単にでも述べることができたはずです。

また、その後現在に至るまで「スーパーシティ特区の区域」の指定もれについて、浜松市からこれ以外の公式な説明はありません。

 

❸ 会の質問

「オンラインによる行政手続きを増やしてまいります。」とあります。スマホを持っていない、使い方がよくわからない、どうもデジタルは信用できないから使いたくない、などと思っている市民が相当数いるのは、市長も認識されていると思います。デジタルを使う人も使わない人も、幸せに暮らすようにするのが、自治体の責務ではないでしょうか。こうした、いわゆる「デジタル難民」への保障、救済措置について、市長はどのようにお考えですか。

 

<浜松市の回答>

ご質問の内容につきましては、令和2年9月の市議会定例会において、デジタルの恩恵を受けがたい方々への対応について、「行政手続きのオンライン化をはじめ、行政サービスの提供におけるデジタル活用は、市民の皆様の利便性向上の手段の一つとして捉えており、市民の皆様にデジタル化やデジタル活用を強いるものではございません。デジタルを用いない方法による手続きやサービス提供を求める方々には、従来の方法で対応をしてまいります。」と回答しており、多様で包括的な社会を目指した取組を推進してまいります。

国では、令和3年度から、高齢者等が身近な場所で身近な人からデジタル活用について学べる講習会等を推進する「デジタル活用支援推進事業」を開始しております。

また本市では、令和3年度に市民の皆様を対象としたスマートフォンの使い方講座等を官民連携のもと実施しました。令和4年度においても、協働センターの生涯学習講座において、実施してまいります。

 

≪会の見解≫

パソコンやスマートフォンを持たない人には、従来通りの方法ということですが、広聴広報課の出した「第47回市民アンケート調査報告書」(2021年12月17日更新)を読んでも、浜松市があれほど熱心に取り組んでいた「デジタル・ファースト宣言」の認知度は8.0%です。なんと90.8%の人が「知らない」と答えています。

この結果を踏まえて、市はデジタル活用の推進について、見直しをするべきだと考えます。

従来通りの方法では市の重要な施策が市民に周知されないのが実態です。市民が望んでいないことをやるのではなく、市民の意見が市政に反映されるような施策が必要です。

 

 これは回答例の一部です。浜松市は住民の質問に対し、まともに答えようとはしないのです。市民アンケートには「あなたは、過去1年間において、ご自宅でインターネットを利用したことがありますか」という問いもあります。この問いに対して、利用していないと答えた人は 22.5%です。市の広報誌「広報はままつ」では、ほとんどの項目が「ホームページをご覧ください」という説明になっています。

2020年7月、内閣府の主催で行われた自治体向けのシンポジウムで、有識者会議委員の坂村健氏は「『デジタルに追いつけない人のために紙での行政サービスも残そう』としている限り、デジタル化は進まない」述べています。浜松市はこの忠告を忠実に守っているのだろうと思います。住民不在の政治だと言わざるを得ません。                      

 

2022年5月1日 浜松市でのメーデーでの発言(スーパーシティを考える会)
水道民営化は、『皆さんのおかげで、現在、浜松市では当分の間、延期』ということになっていますが、今年4月から宮城県の水道が民営化されました。また、奈良県でも民営化の動きがあるようで、油断することなく注視していかなかればならないと思っています。
 さて、スーパーシティですが、浜松市は今年3月、国の選定から洩れました。この制度は、国のデジタル化と同様に ①国や自治体が持っている我々の個人情報を、企業が儲けるために使い勝手をよくする ②中国と同じような監視社会にする ③地方行政を国の下請け機関にする ④学校教育を本来の教育から遠ざけてしまう、というような弊害があります。しかも、日本にはEUのように個人情報を守る制度が確立していません。このような状況下では、安易なデジタル化には反対せざるを得ません。頑張りましょう。                                  (池)