2・23岸田政権の原発政策大転換を問う 山崎久隆講演

 

 2023年2月23日、静岡市内でたんぽぽ社の山崎久隆さんの講演があった。主催は浜岡原発の再稼働を許さない静岡県ネットワーク。山崎さんは岸田政権の再稼働、再設置、稼働期間の延長などをすすめる原発政策の転換について、つぎのように解説した。

 GX(グリーントランスフォーメーション)はエネルギーの安定供給や気候変動対策を名目とするが、その実態は原子力依存産業や原子力村に貢献することである。2011年の福島第1原発事故後、政府の原発依存度を低減する方針は放棄された。原子力推進派が岸田政権にGXの名での原発活用策を押し込んでいる。事故により16万人以上が避難し、震災関連死も増えた。そのなかで事故などなかったかのような議論の進め方は酷すぎる。

 原発がどのように地震と津波で破壊されたのかの検証も終わっていないし、事故も収束していない。事故後、原子炉規制委員会をつくり、運転制限期間を40年とした。かつては最大60年までの運転を想定していた。原子炉は中性子照射脆化があるため、40年としたのだが、今回、停止期間は除くとし、60年を超えて運転できるようにしようとしている。浜岡原発についても政府の要請で停止したのであり、その停止期間は運転期間としてみなさないとする。

小型モジュール炉開発(SMR)とは、原子力潜水艦などの軍事技術であり、そこへの参入がねらわれている。次世代革新軽水炉も提言されている。だが一機当たり一兆円を超える費用が掛かる。

原子力の安全規制の体制自体を変更しようとしている。規制委員会は経産省による60年超えの規制緩和に反対しなかった。反対した委員は石渡委員だけであり、多数決で60年超の運転を認めてしまった。規制の側が事業者の言いなりになるという状況になっている。(T)