7・10袴田弁護団、検察立証方針に抗議の会見



 
 2023年710日、検察は袴田事件について、再審公判で袴田さんの有罪を立証していく方針を明らかにした。これに対し、袴田弁護団は抗議の会見をもった。

袴田ひで子さんは、ようやくたどり着いたのに、長期化するとは、人の人生を何と思っているのか、腹立たしい限り。勝つしかない、頑張っていきますと話した。

弁護団は、検察の方針は、裁判制度を愚弄するものであり、えん罪の被害者に対する何の配慮もない非道な行為であると言わざるをえない。誰が考えても、いまの段階で5点の衣類が犯行着衣であるという証明にならない。袴田さんが無実であることを知りながら犯人にしようということであり、正義を重んじるはずの検察官が行うことではなく、「検察の理念に泥を塗る行為」である。私たち袴田弁護団は、検察官が有罪立証していく方針に、強い怒りをもって抗議すると抗議した。

さらに弁護団はつぎのように主張した。

この事件の被害者は5人であり、5人目の被害者は袴田巌さんである。袴田事件は、捜査機関の犯罪によって作られた、えん罪事件である。袴田さんは、サイレンで目が覚め、外に出て、消化活動を手伝った。その際、右腕上部に怪我をし、また左手中指に切り傷を負った。警察は真犯人に結びつく事実や証拠を追及するのではなく、当初から虚偽証拠を作り上げ、そのねつ造証拠に基づいて捜査を開始した。袴田さんが選ばれたのは、現場近くに住んでいたことであり、アリバイがなく、元プロボクサーであって4人を簡単に殺害することができると印象づけるのに都合がよかったからと考えられる。

 警察は、袴田さんが無実であることを知りながら、犯人に仕立て上げるため、焼けた紙幣入り郵便物や虚偽の裏木戸実験報告書など、次々に証拠をねじ曲げ、あるいはねつ造した。袴田さんを逮捕し、長時間の不当な取調べにより、自白を獲得した。捜査機関は、自白は取得できたものの、自白の信用性を裏付ける証拠もなかった。そこで、捜査機関は、大がかりな証拠ねつ造を決断した。しかし、再審請求において、5点の衣類は犯行着衣でないことが明らかになった。それはねつ造証拠であり、本件の証拠から削除されなければならない。当然、袴田さんは無罪とされなければならない。

 弁護団はこのように検察の対応に抗議の意思を示して、会見を終えた。           (佐)