「海女のリャンさん」
2006年4月30日、浜松で在日団体と日本人が共同して『海女のリャンさん』上映会が持たれた。
済州島出身の一人の海女の歴史と家族を紹介したドキュメンタリーだ。
そこには子どもたちを育てるために働きぬいた一人の女性が描かれ、南北分断の中で南北、日本に生きる子どもたちの姿があった。母は拉致問題による万景峰号へのバッシングの中で北に向かう。母と会い、ピョンヤンに暮らす息子が『母の愛は永遠です』と最後に語る。
分断が国境線としてあるだけではなく、ひとつひとつの家族の関係を分断するものである。この日本ではなかなか示されない当たり前の事実とそれぞれの思いを私たちは知ることができる。人間の内心と身体の離散が今ここにあるわけである。
人間の国境を越えた交通権の確立は平和への第一歩だ。国交の回復が無条件でおこなわれなければならない。政治的利権のために分断を維持しようとする目論見を除くこと、この取り組みをも映像は訴えているように思った。 〔竹〕