新井英一浜松コンサート2007・3・23
浜松のライブハウス「窓枠」で新井英一のコンサートがあった。青いスポットライトに緑や橙のライトが交差する。そのなかで彼の太い声が響き、高橋望のギターが絡む。コンサートは、大地の風に想いを馳せ、心を熱くさせるものだった。
第1部は、ピアノでのリリーマーレーンから始まり、暗い日曜日、望郷ブルース、つばさ、ラ・ノワイエ、シャングリラと続いた。第2部は、それぞれの人生、迷い歌、物語、「ジプシー」、明日は明日の風が吹く、清河への道などを歌った。かれの歌は、この時代の中で生きていこうとする想いに翼を与えようとするもののように思われた。
新井のCD『果てなき航路』や『清河への道』が発売されたのは1995年のことだった。それから12年、かれは57歳となり、髪は白くなり、孫も生まれた。ギターの高橋も結婚し子どもも生まれたという。
新井英一の歌詞には、旅・生・夢・情熱・自由という言葉がよく出てくる。かれの歌は生への情熱の歌であり、アジアへの旅の歌であり、歴史の歌である。その歌の空間は、魂を癒しその蘇生にむけての意思を高める場でもある。
かれは、「慰めてあげる、俺のこの歌で」「旅していますか」「情熱燃やしていますか」と慈愛をこめて、今も歌い続ける。その歌詞のような生の共振にむけて、「涙の数だけ夢見て生きてきた」「自由という名の船を漕ぎ出そう」「心の翼広げ」「生き抜いていこう」と。
アジアをはじめ各地を歩くとき、かれの「アジアの大地が見たくて、俺は一人旅に出た」という「清河への道」の一節を思い起こすことが多かった。『果てなき航路』には「君に夢の唄を」という曲がある。歌詞は、絶望の向こうに希望がある、苦しみに震えたらここにおいで、君に生きる歌を聞かせてあげたい、という内容のものであるが、この詞はこの日のコンサートの基調のように思われた。
なお、5月15日には磐田の茶寮zappaでかれのコンサートがある。9月24日には静岡の清福寺で清河への道48番ライブも予定されている。詳細は新井英一のHPにある。
(T)