以下を送りました。
JR西日本に電話をしたら、「文書は受け取りません。電話でのみ受け付けます。FAX番号は教えません。住所もお答えできません」との対応。この対応には驚きました。企業として消費者の権利を踏まえて対応することができていないことがよく分かりました。

                     2005年5月25日

JR西日本社長様                     人権平和・浜松

 安全軽視・利益優先の経営を改め、強権的な労務管理を中止することを求める要請書

 

 今回のJR福知山線の事故は国鉄の分割民営化による公共性と安全性の切捨てや労働組合への差別にその原因があると考えます。国鉄分割民営化による選別解雇は政府による不当労働行為でした。この人権侵害は政府による無法行為であり、法規範からの「脱線」でした。今も、その解雇撤回を求める争議団の活動がおこなわれています。このときの脱線の責任を取らないJRのありようが今回の脱線事故につながっていると考えます。

 この民営化によって、JRは利益を優先し、その公共性を棄て、安全性を軽視し、労働者を解雇してきました。それにより赤字路線は廃止され、駅員が減らされました。検査周期は延伸され、現場業務の外注化がすすみました。乗務員への長時間労働がおこなわれ、無理なダイヤ設定がおこなわれてきました。現場労働者との協議制度が解体されました。会社の圧力で労使協調組合が育成され、特定組合への差別が公然とおこなわれてきました。労働者に対しては軍隊式の点呼が導入され、もののいえる労働者を排除し、労働者が意見をいえない職場がつくられてきました。

 今回の事故において、JR側の自己の責任を問わない姿勢や過密ダイヤの実態、労働者への見せしめ教育などの報道をみれば、JRが安全よりも利潤を追求し、労働者への人権侵害をくりかえしてきたことがわかります。また、軽量化・過密化のなかで、これまで今回のような大きな事故がおきなかったのは、現場労働者の技術によってきたことがわかります。JRはいまも労働者に大きな負担をかけつづけているのです。この負担が若い労働者による想定外の事故につながっていったのだと考えます。

今回の事故によるJRの賠償額や失った信用は計り知れないものになるでしょう。今こそ抜本的な改革が必要と考えます。JRは公共性・安全性・労働者の人権が大切にされる経営を行うべきであり、市民の安全はその上に成り立つと考えます。以下、JRの安全性回復と現場での人権侵害の中止を求めます。

 

 一 利益よりも安全を輸送業務の使命とする視点を確立すること

 一 検査周期の延伸をやめ、安全を重視した投資をおこなうこと

 一 現場業務の外注化を削減し、安全を担う最前線での業務の社員化をすすめること

 一 乗務員の長時間労働を緩和し、安全性に重点を置く労務管理とすること

 一 現場労働者に「裏技」を強いるような無理なダイヤ設定を改めること

 一 現場労働者団体との現場協議システムを再構築し、労働者の意見を聞くこと

 一 分割民営化の際の解雇の責任をとり、国鉄争議の決着にむけて取り組むこと

 一 組合差別によるベテラン運転士の排除をやめ技術が若年者に伝わるようにすること

 一 職場での軍隊的点呼を中止し、「日勤教育」などの人権侵害を中止すること

 一 分割民営化の誤りを認め、公有化に向けて、JR各社と協議を始めること

 一 鉄道の安全が現場の労働者によって維持されていることを認め、労働者の人間としての尊厳を大切にする経営をおこなうこと