中部電力株式会社社長 川口 文夫 殿        2005年1月22日

  浜岡原発5号機運転開始に関する抗議および要請

                      浜岡原発を考える静岡ネットワーク
                            代表 長野 栄一
                           
 昨年は、中越地震やスマトラ沖地震による未曾有の災害に見舞われました。地球を
とりまく自然災害には人類が予測できない未知の事態が起こることを改めて実感いた
します。

 貴社は、このたび浜岡原発5号機の営業運転を始めましたが、1〜4号機とは型が
異なるABWRとはいえ、住民には不安材料が多く残ったままです。
 まず、耐震性の問題として、現在原子力安全委員会でも「原子力発電所の耐震設計
審査指針」の見直し検討中であり、最新の知見を取り入れた指針に則していないとい
う、言わば見切り発車の状態で運転が開始されたことに、強い不信を感じます。
 また、原子炉に使用されている低炭素鋼ステンレスの応力腐食割れに対する対策も
完成されておらず、1号機の水素爆発による配管爆裂の原因・対策も解決していませ
ん。金属材料の専門家によれば、現在のところ原子炉に使用可能な金属はないともい
われている中、配管の減肉問題なども含めて、再び重大事故を引き起こす可能性を否
定できません。
 さらに、インド洋における津波にあるように、東海地震による津波による原発への
被害は、国や電力会社が想定している規模をはるかに超える可能性があります。中央
防災会議で想定されているものでさえ、浜岡原発のある海岸には8メートルを超える
津波が予想されます。貴社は、津波対策として「原発前面に砂丘を設けてあるから大
丈夫」であるとしていますが、津波の第一波で砂礫の3分の1がなくなるといわれて
いることなどから、第二波以降の巨大な押し波や引き波により、原発の取水槽に甚大
な被害を及ぼすことは充分予測できます。冷却水を確保できなくなれば、仮に地震に
より緊急停止したとしても、原子炉の中に残る膨大な崩壊熱を冷却できなくなり、メ
ルトダウンに至る過酷事故を起こします。
 地震は自然災害ですが、原発による放射能災害は人間の手で防ぐことができます。
上記のような理由により、新品の原発といえども運転を続けることに強く抗議すると
ともに、下記の項目について要請します。

・ 定期点検中の号機は運転再開をしない
・ 現在運転中の号機は早急に運転停止すること

                                   以上