2006年6月26日
静岡県知事 石川 嘉延 様
原発震災を防ぐ全国署名連絡会
要請書
浜岡5号タービン破損事故に際し、原因の徹底究明と安全確保を求める
去る6月15日発電タービンの異常振動で自動停止した浜岡原子力発電所5号機につ
いて、中部電力は23日、低圧タービン内の羽根車の羽根1本が根元から折れて破
損、周辺の羽根や羽根をまとめているシュラウドリングにもはがれや損傷を生じ、
タービンを覆っていた鉄製カバーの内側には、遠心力で吹き飛んだ羽根などがぶつ
かったとみられる傷があったと発表した。脱落し吹き飛んだ羽根は下部に落下してい
たものの、未回収の破片もあるとのことである。
5号機は昨年1月に営業運転開始したばかりの新鋭機で、タービンは国内では他に志
賀原発2号機にしか使用されていない新型の羽根を使用しているとのこと。また1月
16日から初の定期検査を実施、4月14日に運転再開したばかりであった。
タービンとはいえ、建設間もないプラントでこのような無残な破損事故を生じたこと
は、日ごろの事業者の安全管理上の重大な欠陥を示すものとして、強く抗議する。
初の定検では、タービン周辺を含め、異物が回収されたとの報告が頻繁にあった。こ
れらは、建設時から持ち込まれたものと推定されており、ずさんな建設・施工の実態
が推測され、大きな不安を抱かせる。さらに、先月末公表された3号機の制御棒破損
に際しても、再三要請している点検停止を無視し続けている。
こうした姿勢が、より大きな事故を招く結果とならないよう、県として毅然たる態度
で臨み、率先して立ち入り検査をはじめ、県民の不安に応えるよう、以下強く要請す
る。
記
1.すべてのタービン羽根車の羽根を、徹底的に点検するよう、中部電力に要求する
こと。
2.事故時の現場保存のため、写真、各種運転パラメータ、とりわけ軸振動記録等を
速やかに入手すること。
3.事故で発生した金属片・金属粉を徹底的に回収するよう、中部電力に要求するこ
と。
4.事故原因次第では、他号機についてもタービンの点検をするよう、中部電力に要
求すること。
5.過去の破損が判明した3号機の制御棒について、これ以上検査を引き延ばさない
よう直ちに運転を停止し、混入が明らかとなった金属片をすべて回収するよう、強く
要求すること。
ピースサイクル要請書
中部電力株式会社社長 三田 敏雄 様 2006年7月24日
ピースサイクル静岡ネットワーク
浜岡原発は、近い将来、東海巨大地震に晒されることが確実と世論はもちろ
ん、貴社自身も認識されていることと思います。しかし、貴社はどんな地震が
来ても100%安全と公言・宣伝してはばからない態度を終始取りつづけてき
ました。
ところが、原子力安全委員会の「原子力発電所耐震設計審査指針」改訂
作業の中では、「残余のリスク」の存在を確認しています。すなわち、「100%
安全」とは言えないとなりました。また、貴社の株主総会においても、このこと
を認める回答がなされています。
このことに加えて、浜岡原発は東海地震の震源域の真上に立地し、しかも、
1・2号機は老朽化も甚だしく、3・4号機においても配管やシュラウド・制御棒
破損が現出し、到底まともな原発とは思われません。
補強工事を施すことは、貴社が浜岡原発の現状が危険性を抱えているとの認
識に立っているとの証左でもあります。最新鋭機で改良型といわれる5号機に
関しては、その同型機である志賀原発2号機に本年3月、「運転差止め」の判
決が出されました。
さらに、5号機は、「あわやタービンミサイル事故にいたるか」と思われる「羽
根」の破損により、自動停止という事態が発生しています。
原発は一旦、大事故を起こせば炉心溶融という事態まで発展します。今年は
チェルノプイリから20年、その被害の実態は未だ明らかにならず、死者の数
さえ特定されていません。浜岡原発とチェルノプイリの事態を重ね合わせれば、
「原発震災」の言葉が当てはまります。災害は地元は言うに及ばず、遠く首都圏
まで達し、さらに日本だけにとどまらないでしょう。
私たちは、このような悲惨な事態を招かないよう、ただちに浜岡原発のすベてを
停止、廃炉にすることを要求いたします。