六ヶ所村ラプソディー 掛川上映会
2007年6月30日、鎌仲ひとみ監督「六ヶ所村ラプソディー」の上映会が掛川と菊川でもたれた。上映に先立ち模型を使って再処理工場の問題点が主催者によって示された。六ヶ所村再処理工場の本格稼動をこの秋に控え、浜岡でのプルサーマル計画が進行する中で、風下、掛川・菊川での上映会に多くの市民が参加した。
映画は津軽三味線の音と共に始まる。2兆円以上をかけて建設された再処理工場は確実に放射性物質を放出する。本格稼動を前にその核燃料施設に抗う人々の姿と、その施設にしがみつき生きる人々が描かれる。
海からのヤマセは再処理工場の煙突からの放射性物質の塵を農業産地に向かって流す。沖合に流される工場の廃液は強い波に戻され砂に集積する。いつまでこの海と大地を汚染しようというのだろうか。サハリンから引き上げ戦後必死に開拓してきた人々の村を核燃料サイクル計画の札束の力が襲った。海を汚すな、命の海を!その声を権力で押さえつけ、権利を金銭に換えた。
「安心はないがせめて信頼すること、最後は金だ」と語る東京大学の御用学者もいれば、地元に帰って農業をしながらチラシをまいて反対する農婦もいる。核燃料サイクルを「経済効果」とし、建設やクリーニングでの一攫千金を夢見るものもいれば、本当の味にこだわり有機農法でおいしいトマトを作って幼児に与える農民もいる。最後にセラフィールド再処理工場によるアイリッシュ海の深刻な汚染の状況が示され、周辺住民の声が示される。このように提示された群像が人間の方向性を問いかける。
映像は人々に、核燃料サイクルとの共存共栄に向かうものたちの貧しさを示しながら、高らかな三味線の響きと共に呼びかける。広島・長崎のみならず、セラフィールドからのメッセージに心を澄まして耳を傾けること、そして六カ所の今を自らの課題として受け止めながら、プルサーマルと核燃料再処理工場の本格稼動を止める行動に起つことを。(竹)