レシャード・カレッドさんの報告を聞いて 
                   (2006・2)

 

2006年2月5日浜松市パレットでレシャード・カレッドさんの報告会がもたれた(主催カレーズの会県西部支部)。カレッドさんはアフガニスタン出身の医師、1950年に生まれ、1969年に来日、京都大学で医学を学び、現在では静岡県島田市で開業している。

カレッドさんは、アフガニスタン戦争が始まるなかで、アフガンの医療と教育を支援しようと、NGOカレーズの会を設立した。年末にアフガン現地に帰国し、現地でのカレーズの会の活動状況を視察してきた。今回の報告会はその概要を市民に説明し、支援を呼びかけるものであった。話は人間の命を救うという医療活動の倫理の根源が示された話だった。

以下、レシャード・カレッドさんの話を要約して紹介し、アフガンへの支援を読者に呼びかけたい。

アフガニスタンで起きていることはイラク戦争の陰に隠れてしまい報道されません。20年余の戦争によってすべてが破壊されてしまいました。1979年のソ連軍の侵攻、その後の内戦によって250万人が命を失ったといいます。現在ではアフガン戦争により米軍の駐留が続いています。

パキスタンとアフガニスタンの国境はあってないようなものです。アフガン南部国境一帯にはパシュトン民族が居住し、イギリスによるインド支配の結果として、パキスタンとの国境線が引かれました。本来自由に行き来してきた場所なのです。アフガニスタンは古い写真を見ればわかるように緑豊かな大地でした。

しかし爆撃によって、街が墓場になってしまいました。死者が各地に埋葬され、どこを走っても墓があるのです。また地雷が2000万個も埋められてしまい、農業生産に大きな支障が出ました。今も800万個が残っているといわれ、1日に10人ほどが犠牲になっています。写真にある赤い石は地雷があることを示す石です。地雷をのぞいて緑の大地が復活したところもあります。カンダハルはブドウの産地です。農業生産にむけて地雷を撤去しなければなりません。

バーミヤンの大仏の修復に多額の資金を投入する動きがありますが、私は偶像修復の前に、その資金で人々の生命を救うべきと考えます。

カレーズの会の現地での診療状況について紹介します。2005年12月までの42ヶ月の間に69524人を診療しました。このうち大人の女性が35649人と半数を超えています。お産関連の女性の診療が多いのです。ひとりが7〜8人を生みますが、出産での死亡率は2パーセントと高いものです。子どもは5歳までに27パーセント近くが亡くなります。診療では呼吸器疾患や急性の下痢の患者が多いのです。清潔な水の不足などによる、感染症の患者もたくさんいます。

カンダハルの診療所の患者数は39689人です。1万人に医者一人の状況です。週に2〜3回は無医村にいって診療をしてきましたが、治安悪化によってできなきなってきました。本来医療は重傷者については出向いていっておこなうものです。日に日に来所する患者が増えています。

カレーズの会450人ほどの財政力では薬の購入には限界があります。現地にない薬は日本からもって行きますが、それ以外は現地で調達します。今回約10万円の資金をあつめて写真にあるようにかなりの量を購入しました。

現在、新しい診療所の建設計画をすすめています。アフガニスタンの問題は関心が薄くなっていますが、新たな診療所を作り、女性や子どもたちの生命を救いたいと思います。

最近では光触媒カプセルがでています。このカプセルを水に入れ太陽にあてると、12時間ほどで殺菌できます。水に起因する疾病を減らすことができます。国際医療学会で発表され注目されています。このようなカプセルも配布していきたいと思います。服の上から女性の聴診ができる機材も用意していきたいと思います。また、カレーズの会では教育支援もおこないポーパルザイ村などで9教室を開いています。

この写真はアフガンの自然のチューリップが咲く大地です。このような大地が戦争によって荒廃し、墓場になってしまいました。アフガンでの医療・教育活動への皆さんの支援を呼びかけます。

カレーズの会HP   http://www.chabashira.co.jp/~evolnt/karez/

                           (文責 人権平和浜松)