立川テント村反戦ビラ弾圧事件報告会・静岡
              2006・6・3

 

静岡市で青年法律家協会静岡支部の会合が持たれ、そこで立川テント村反戦ビラ弾圧事件についての報告会がもたれた。報告では弁護士の山本志津さん、当事者のテント村の大洞俊之さん、憲法学者の石埼学さんがこの事件についての報告をおこなった。

最初に山本さんが高裁判決には表現の自由に対しての言及がないことを示し、支払わなくてもいい形の罰金刑を下して有罪としたことの誤りを指摘した。また上告趣意書について説明し、今回の逮捕起訴が政治的表現の自由の侵害であり、管理者が情報の送り手と受け手との関係を侵してはならないとし、住居侵入によって罰する違法性がないことを論じた。

つぎに大洞さんがテント村の活動と弾圧の経過について述べた。テント村の自衛隊官舎へのビラ入れが1970年代からおこなわれ、自衛隊員むけの『積乱雲』を確実に読んでもらうために、ドアポストへと直接入れられてきたことなどを紹介した。また弾圧によって全国から支援がよせられたこと、弾圧前に公安の動きが活発化していたこと、75日に及ぶ長期拘留により差別的な取調べがおこなわれたこと、テント村のほかにも既存の法律を悪用して、特定のチラシを対象に、高校、団地でのビラまき弾圧事件が次々に起こされていることを示した。そして、それらが反戦運動への一罰百戒の牽制を狙っているが、反弾圧の広がりがあるとし、大衆的な反弾圧闘争でつぶされはしない態勢を創っていきたいと決意を述べた。

最後に石埼学さんが最高裁での争点について解説した。まず、最高裁の法的正義感覚が問われ、最高裁は法的問題点を検討することがもとめられるとした。ビラを『不快』や意見の違いによって弾圧することはしてはいけないことだが、高裁判決はそれを理解していないし、実害のない、憲法を擁護するビラを、住居侵入を口実に有罪とした高裁判決は、憲法を頂点とする法秩序を瓦解させかねない暴挙と批判した。またビラのポスティングは政治的メッセージを伝えるための「正当な理由」のある立ち入りであり、管理権者の意思は情報をコントロールし、政治的意見を読みたいという個々の住民の意思と対立するものと述べた。そして政治的メッセージに対する不快は民主主義社会では常にあり、決して処罰の対象としてはならないもの、ビラが法益の侵害をしたのかは今も不明なままであると、無罪についての論拠を示した。

 集会ではビラで有罪にしてしまうことで失われる利益の大きさや、それにより社会の民主主義のありようが根底から変わってしまうことが指摘された。また、このような政治的圧力が生まれることへの社会的抑止力の低下についての指摘もあった。

 ぜひ上申書を書いてください。http://www4.ocn.ne.jp/~tentmura/joshinsho.html

 

 大洞さんのHP.・ブログは以下、上告趣意書の要約もある。

http://www.geocities.jp/solea01/  http://blogs.yahoo.co.jp/solea01