T 「異議あり!静岡国体民権行動」レポート
静岡国体にたいし03年10月24〜25日にかけて『異議あり!静岡国体10月民権行動』がもたれた。10月24日にはJR浜松駅前で人権アクション浜松の呼びかけによるチラシまきと人権ウォーク、25日には国体会場近くのJR愛野駅前で平和と人権のための市民行動静岡の呼びかけによるアピールと「異議あり!静岡国体デモ」がもたれた。
浜松市では24日に明仁の来浜に合わせて市長・自治会連合会・体育協会・商工会議所・神道政治連盟・神社庁らが一体となって「奉迎委員会」(名誉会長は北脇市長)をつくり「ちょうちん行列」をおこなった。この行列には3000人が集まり、日の丸を振って『天皇陛下皇后陛下万歳』と叫んで歩いた。
このような政教一体化した天皇賛美の動きにたいし、人権アクションは10月に市へと、市長の名誉会長辞退と政教分離などを要求して申しいれた。また県知事と国体局に、天皇制からの切断、開会式の簡素化、フェアーな運営、児童生徒の動員の中止、銃剣道廃止、財政赤字をもたらす運営の中止、政教分離原則の遵守などを求める要請書を送った。
24日の「天皇賛美は人権侵害」人権ウォークの参加者は16人、そのあとを天皇警備の私服が25人ほど追尾し、各所でチェックしていた。おそらく100人以上で監視していただろう。
24日は朝からヘリが上空を舞い、近県から動員された警官によって市全体が巨大な権力装置の目の中にあるようだった。明仁の移動にともない、人権破壊の渦が浜松に来たようだった。彼の存在そのものが「陛下・陛下」と語る「臣民」の隷従を生み、主権と人権を奪ってすすんでいく。
明仁らの乗る新幹線車両はかれらだけのために調達され、その後をもう一本の新幹線車両が事故対応用についてくる。移動中の道路には警官が立ち並び、信号はかれの移動にあわせて止められ、前列に止められた車両に対してはエンジンまで止めるように規制する。市内は大渋滞。その練習もおこなわれた。資源ごみのコンテナまで撤去され、マンホールにはチェックシールが貼られた。アーチェリーの練習場では明仁の通過時に射的を中止することまで求められた。人権を主張すれば静岡から浜松まで複数で尾行し、駐車場や近くの駅にまで監視の私服を配置する。
静岡国体では開催県静岡が2695.5点で46年ぶり2回目の「天皇杯」を獲得、2位の埼玉は2365点、47位の山口は562.5点。それはフルエントリー制、10年をかけての強化、輸入選手の活躍によるものである。運営費60億円・炬火台6千万円をはじめ数百億円におよぶ国体用投資、地方マスコミは国体賛美のキャンペーン、行政による県民総参加の掛け声、会場に「自主的」に動員される児童生徒、朝4時ころから飛行をはじめた浜松基地のAWACS、基地近くに来た天皇を「と列」で迎えた自衛隊。そして市長を名誉会長とした天皇賛美のちょうちん行列のおじさんの「万歳」の雄叫び、おばさんのニコニコ笑顔。
このような風景の中で「天皇賛美は人権侵害」「NO!天皇制」「異議あり!静岡国体」の横断幕を持って市民有志のウォークはすすんだ。それは地域からの人権回復に向けての宣言である。
U浜松の人権行動
2003年10月 浜松のNO!天皇制賛美・人権行動
天皇来浜による人権侵害
2003年10月の静岡国体(秋季大会)に天皇皇后がやってきた。それにともなって、この国の主人公が天皇明仁であることを示すかのような出来事がおきた。それはこの国の「民主主義」の実態を示すものであった。それに対し『天皇制賛美NO!』の行動も取り組まれた。
10月24日の朝から浜松市内の上空にはヘリが舞った。明仁らが浜松に来るからだ。数日前から岐阜・山梨・群馬・東京ほか近隣都県の警察官がバスを連ねて浜松入りした。天皇警備のために動員された警察官は数百人となるだろう。明仁を守るために巨大な権力装置が市民の動向を監視し始めたのだ。ソフト化されてきた分だけ余計に警備は強化されてきているといっていい。
明仁の移動、かれの存在そのものが市民の人権を侵していく。かれの通過する道で、信号は移動のために止められ、駐車は後ろに向けるな、2階から見下ろすな、アーチェリーの練習をやめろ、歓迎をしろ、などとつぎつぎに市民の行動が監視され規制される。
資源ごみのコンテナが撤去された、信号が止められ大渋滞だ、回覧板に出迎えするようにと案内が回ってきた、飲み屋街の客引きが消えた、路上生活者の姿がない、自衛隊の広報館のところのまで警官が並んでいて不気味、商店のシャッターが下りている、などかれらの行き先では市民の生活が監視され、人権が侵害されるのである。
天皇が訪れた静岡文芸大学では、学生証の提示が求められ、携帯電話やカメラの持込が禁止され、2階を越えて上に行ってはいけないとされた。業者の来学も15時まで規制された。明仁は日系外国人との協調を売り込むためにサンバも見たのだが、会場とされたアクトシティの他の店舗は閉店していた。
浜松市では市長、自治会、体育協会、商工会議所、神道政治連盟、神社が一体になって『奉迎委員会』がつくられた。市長は名誉会長だ。そのもとで神道団体が嬉々として旗とちょうちんを振る。24日夜のちょうちん行列には3千人(主催者によれば5千人)が参加した。参加者は『天皇陛下、皇后陛下、万歳』を繰り返し叫んで、天皇らが泊まったホテルまで歩いた。天皇らがその行進の声に答えると歓声をあげて喜んだという。
「陛下」という呼ぶことによって自らは臣下となる。またそれはかれを貴種として崇めることである。それは主権と人権の放棄であり、差別にほかならない。3千人に及ぶ奴隷根性の発露がそこにあった。天皇の存在は奴隷根性を再生産していく。それは企業にとっても労働者を従順にするという意味で好都合だ。名誉会長となった市長はその奴隷根性を推進する先導のひとりにほかならない。
天皇制賛美と住民動員の国体
国体自体が天皇を中心とする翼賛行事であり、そこへの住民動員がおこなわれる。天皇杯を取ることを目的に開催県が優勝をめざし、子どもたちが開会式や競技の補助員とされて動員される。国体見学は学校単位での希望とされているが、多くの学校が国体の見学をし、子どもたちが国体に動員されていく姿に変わりはない。
25日の国体開会式では団体で袋井や磐田の小学生が教師やPTA役員に引率されてきた。
学校を聞くと、袋井西小学校の児童でこの日は登校日とされ全校での一日見学という。よくみると袋井西小のつくったプランターが会場への道に並んでいた。磐田中部小の児童も動員されてきていた。周南中の生徒が作った手作りの各県用の応援旗も道にはためいている。マスコット人形の前で写真をとる仕事をさせられているのは女子生徒だ。
マスコミは『天皇杯へかく戦う』といった具合に、天皇制と国体への翼賛報道をすすめている。国体への批判はほとんど取り上げられない。よく読むと一昨年の宮城代表が静岡代表となって実業団チームに今春入部していたりする。勝利至上主義による選手の国体用引き抜きが各所でおこなわれているとみられる。
国体では、天皇杯獲得のためのフルエントリー制や選手獲得、ボランティアや自主性を語った実質的な総動員、学校の時間割を変えての動員、天皇制賛美と過剰警備などがおこなわれる。国体行事には数百億円が使われ、施設建設を含めれば数千億円が費やされるという。開会式や宣伝関連でも県は10年間で80億円以上を使った。
異議あり!静岡国体10月行動
このような天皇賛美・住民動員の国体に対し、「異議あり!静岡国体10月行動」が取り組まれた。
24日には浜松市JR駅前から「天皇賛美は人権侵害」人権ウォークがおこなわれた。16人が参加し、天皇賛美や子どもたちの動員、柔剣道や国体赤字の問題点などを訴えて市街を歩いた。このウォークを出発点で50人近い私服警官が監視し、ウォークには25人ほどが後ろからついてまわった。周辺の警備にまわされた警察をふくめれば100人を超える過剰警備だった。チラシを見た高校生がともに「異議アリー」と声をあげていく姿もみられた。浜松市は「市民総参加の国体」などと広報で宣伝しているが、うんざりしている人たちも数おおい。
25日の開会式当日には8時15分ころからJR愛野駅前で会場に向かう参加者に対して、国体の問題点を訴えるチラシを配布し、会場近くまで「異議あり!国体デモ」をおこなった。参加は14人だが、デモ隊が『児童を強制的に動員するな!』と叫ぶと、引率している人たちの中から『そうだ!』の声があがった。チラシは24・25日で1500枚を配布した。
抗議行動に参加したメンバーを私服警察が乗車駅から追尾した。駅でメンバーの顔を見ると携帯で連絡、離れた車両に乗り込み、愛野まで同乗。愛野での抗議行動が終わると静岡まで追尾した。会館や映画館の入口までもついてきた。静岡での10・25世界反戦行動連帯のアピールが終わり、浜松へと帰ろうとすると、それまでつけてきた私服があらわれ、前1人、後ろ2人でついてくる。このストーカー行為に『いい加減にしろ』『警察の仕事は市民の安全確保!』というと『私も浜松へ帰る』といい、監視しながら列車に乗る。浜松駅でやっといなくなったかと思うと、駐車場では別の私服が待っていて、顔をあわせると横を向いて携帯でなにやら連絡。
これがこの国の主権や人権についての想いを深めて行動することへの権力の対応である。アメリカの映画に人の顔、行動、発言、車両ナンバーなどがインプットされ、権力内でデータが回されていくような画面がある。公安の動きを見るとそのような事前教育を受け、さまざまに配置されていることがわかる。逆にそのような行動しか取れないところにこの国の危機もあるということだ。
人間の尊厳を軸とする不服従行動へ
明仁が動くとかれが悪の台風の目のようになり、その周辺をかこむように権力が動いていく。そしてそこにちょうちんを掲げ、天皇を利権のための結合軸として、地方の支配層が集っていく。24日のちょうちん行列の後、天皇とのディナーもあったという。そこには地方の参加に官位のような序列もあっただろう。泊まるホテルでは風呂も新調するのだという。このような一族を早く普通の市民にすることで、かれらの人間性は回復する。また警察が天皇ではなく、市民の安全と人権のために活動できるようになるだろう。
街頭に掲げられた政党のポスターに『特権、ムダ使い』をやめるという宣伝文句があったが、このように市民の人権を侵してやまない天皇制こそ、第一に処分すべきといわざるをえない。天皇制は民主主義と共存はできない。戦争責任があいまいなまま現在に至るのも、この天皇制の戦争責任がとられてこなかったことによる。王制の打倒やその制限によって、人間の尊厳はかちとられてきた。
戦争の怪物はその片目を開けたまま、憲法の人権・主権・平和原則によって手足を縛られてきた。イラク派兵、憲法改悪がすすめられるなかで、起き上がろうとするこのマシンと化した戦争の怪物を打ち砕く市民の不服従行動が求められている。
ブルンブルンとうるさいヘリコプター、信号を止められたための大渋滞と排気ガス、天皇陛下バンザーイの張りあげられた高い声、ストーカーのような私服の追跡と監視。そのようななか、市民は24〜25日と『天皇制賛美は人権侵害』『NO!天皇制』『異議あり!静岡国体』の垂れ幕をかかげ、アピールした。この意思表示は人権の宣言でもあった。この人間の尊厳への志は、天皇制とその取り巻きの権力が決して消し去ることができずにいることがらであり、今後もそうである。 (A)
案内 「異議あり!静岡国体・10月民権行動」のご案内
2003年10月25日に静岡国体秋季大会の開会式がおこなわれます。それに先立って24日に天皇が浜松に来ます。これに際して、浜松市長や自治体連合会、商工会議所、神道政治連盟や神社などが『奉迎委員会』を作り、天皇制を賛美する「ちょうちん行列」が24日に浜松市でおこなわれようとしています。これは主権在民や政教分離に反する行為であると考えます。10月6日市長などには「奉迎委員会」をやめるように要請をおこないました。
国体について調べてみるとそのルーツには天皇制への服従、強兵作り、国民動員があったことがわかります。天皇杯や皇后杯は国体の本質を象徴するものであり、主権在民や人権尊重の憲法理念に反する内容になっています。10月7日、知事・国体局に国体の問題点を指摘し、天皇制からの切断、学生の動員中止、公正な競技運営ほかを要請しました。
1945年の敗戦にともない、その戦争責任は未完のまま、戦争の怪物は生きたまま、主権在民・人権尊重・戦争放棄・政教分離などの法の鎖でしばられて現在に至ります。しかし、最近では、みずから主権や人権を放棄するような天皇制賛美行為やスポーツによって天皇制を翼賛するような国体が市民を動員するような形でおこなわれ、さらにはイラクへの派兵がねらわれ、憲法の戦争放棄規定そのものが政府の行為によって踏みにじられようとしています。法の鎖を破ってたちあがろうとする戦争主体を、市民の力で止めることがいまこそ求められていると考えます。
このような状況にあたり、たとえ少数ではあっても、みずからの主権と人権の尊厳を示すことが、当該地域に居住する市民としての責務であり、そのかなたにこそ、わたしたちやこどもたちの平和な未来があると考えるにいたりました。
以下の形で、「異議あり!静岡国体・10月民権行動」を設定しますので、参加を呼びかけます。
10月24日 18時15分JR浜松駅北口市民の木前集合、
「天皇制賛美は人権侵害」・人権ウォーク
呼びかけ 人権アクション浜松
10月25日 9時JR愛野駅前集合 「異議あり!静岡国体」・市民アピール
呼びかけ 静岡県の市民団体
V静岡県への申し入れ書
静岡県知事様 2003年10月7日
静岡国体局長様 人権アクション浜松
静岡国体についての要請書
国民体育大会は、天皇中心の行事、それへの県民動員、アンフェアーなエントリー、生徒児童の動員、過大な公共支出、などその内容において多くの問題点が指摘されています。このような国体行事は一度廃止して新たなスポーツの行事を考察すべきと考えます。
当面、静岡を含めての国体行事の改革について、以下、要請します。
T 天皇制から競技を切断すること
1 天皇制にかかわるものを国体からなくし国民主権のものとすること。国体のルーツは1924年からの明治神宮競技会であり、そこでは天皇への忠誠、強兵、精神動員が主眼とされていました。昨今の国体をめぐる報道を見るとこの本質には変化がないように思われます。国民主権にふさわしいものとすることをもとめます。
2 天皇杯皇后杯を廃止すること。市民は天皇や皇后のためにスポーツをするのではありません。この杯の名称は天皇主権の遺制です。早急に廃止すべきであり、スポーツを天皇制政治に従属させてはなりません。
3 各競技会場において天皇をたたえる歌である『君が代』の演奏を中止すること。各会場で『君が代』が中学高校の楽団などを使って演奏されようとしています。たとえば豊田町では豊田中や南中の楽団や小学校の合唱団など約計160人がバスケット式典用に動員されます。掛川ではソフトの会場で掛西・掛東・掛工高など約160人の生徒が式典音楽隊に動員されます。部活動のために自由意志による演奏への不参加を表明できない状況にあります。内心の自由が侵されているのです。静岡国体のテーマソングは『夢の翼』ですが、『君が代』とセットとなることで天皇『翼賛』になりかねません。
4 天皇・天皇族を呼ばないこと。天皇が来た際の過剰警備や交通規制は市民の人権や生活権を侵します。先日浜松市では信号チェックが行われ渋滞が生まれましたが、それは天皇警備のためのものとみられています。天皇族が来たため浜松での夏季のボーリングは進行に支障が出ました。彼らの存在自体が人権を侵すことを生みます。
U 開会式を簡素化すること
1 開会式閉会式や広報関連を中心とする県のこの10年間の経費負担は約68億円といいます。天皇を賛美し、2万人を集め、生徒・児童を大動員するような式典は見直し簡素化することをもとめます。
2 開会式での生徒児童を動員しての合唱・吹奏楽・マスゲームは中止すること。53校2000人も及ぶ児童生徒の動員は、子供たちに事前の練習も含め多くの負担を強いています。日曜の練習のため、文化祭などに出席できないなど教育活動に被害を出しています。
3 天皇の出席をやめ、『お言葉』という、天皇主権期の遺制を中止すること
4 『君が代』と『日の丸』を強制することになる行為を中止すること。
V 開催県優勝のための運営をやめること
1 学校教育を利用しての強化制度をやめること。開催県の選手強化と優勝のために教員を採用したり、推薦で生徒を勧誘したりすることがおこなわれてきました。
2 フェアーな競技運営をすること。開催県のフルエントリー制は止め、参加枠を公正なものとすること。スポーツは公正であるべきです。主催県の特権は廃止すべきです。
3 開催県に有利な組み合わせもおこなわれているといいます。そのような組み合わせがおこなわれないようにチェックすること。また、『輸入選手』の出場は中止すること。
4 高知県の英断に学び、勝利のみを至上とせず、『各県持ち回りの国民的愚行』『八百長国体』といわれないような運営をおこなうこと。1000人を超える秋季の静岡選手団はあまりに多いとみます。
W 銃剣道を廃止すること
1 銃剣道は銃剣で相手を殺すことを目的とするもので、現在では実戦用に自衛隊内
で訓練用におこなわれているものです。小山町でおこなわれる「競技会」では約230人が参加しますが、自衛官がほとんどです。軍用戦闘技術としておこなわれているものは市民のスポーツとしてはふさわしくありません。廃止することを求めます。また昨年の銃剣道のリハーサルに小山町は約2000万円、今年は約4800万円の支出が見込まれ、町民負担も大きいのです。内容・支出の両面から問題があります。
2 自衛隊の部隊参加は中止すること。夏季国体では横須賀の海上自衛隊と知事が協定を結んでいますが、自衛隊の参加のない国体を求めます。
X 児童・生徒の動員をやめること
1 競技会への補助員として生徒を動員することをやめること。競技会への補助員として高校の部活員が動員されています。顧問に行くように言われれば平日に授業を休むかたちで従うしかない状況が生まれています。学校によっては生徒の動員が多数となるため、特別日程をとるところもうまれています。教育活動に支障が生まれています。
2 開会式への2000人規模の動員をやめること(U−2)。袋井高・袋井商・袋井南小など袋井地区を中心に学校の生徒児童はこの式典のために動員されることになります。プラカード70人、合唱600人、演技での小学生分1000人ほか、あまりに多い動員です。国体側は「お願い」しているといいますが、学校側は『授業の一環』とし、子供にとっては強制となっているケースが多いのです。またマスゲームはスポーツを国家主義に利用する国で盛んにおこなわれてきたものであり、不要です。
3 競技会開会式への動員をやめること(T−3)
浜松でおこなわれる弓道では西部・入野・篠原・可美などの中学から40人が動員されます。ここに見られるように、多くの生徒が動員されています。
4 国体見学の名による小中学校での児童生徒の国体観戦の強制をやめること。たとえば浜松市内では浜松市の国体事務局が国体の冊子を作り各校に国体観戦を呼びかけています。「動員ではなく学校として見学をするのは3分の1ほど」といいますが、小学校では全校あげて全1日を見学に予定するところや中学では午後を見学とするところまで出ています。学校でいくことになれば、そこに所属する児童生徒は見学を強要させられることになります。観戦は学校を経由することなく自由とすべきです。
5 小旗等を配布したりして天皇主権の時代の賛美を示すような動員をしないこと。
天皇が来ると児童生徒が沿道に動員されることがおきます。そのような賛美につながる動員をしないでください。
Y 財政難をもたらす運営を中止すること
1 数百億に及ぶ自治体支出をみなおすこと。静岡県の負担分でもこの10年で約68億円。市町村分で見れば、今年浜松市約6億円、袋井市約3億6千万円、小山町約4800万円など多額の経費がかかっています。市町村では今年度までにこの倍の費用が支出されるとみられます。国体は自治体に負担をさせて運営する国家行事となっています。このようなありようは見直すべきです。
2 数千億円と見られる建設執行の責任者をあきらかにすること
国体用に多くの施設が建設されています。土地の収容費・建設費は数千億円になるとみられます。これらは市民の税でまかなわれています。今後の維持管理にも多額の出費がみこまれ、多くは赤字となるとみられます。大阪国体の起債が府の財政を圧迫したことはよく知られています。市民が求めていない規模のものを、後のことも考えずに建設した責任は、それを計画し執行したものがとるべきです。とりわけ知事の責任は大きく、どのような形でその責任をとるのかあきらかにすべきです。
Z 政教分離原則を守ること
1 神道団体と一体になって天皇を賛美しないこと。浜松市では市長・連合自治会長・
体育協会長と神道政治連盟・神社などが『奉迎委員会』をつくり、国体に際し浜松を訪れる天皇を賛美する動きがあります。このような動きは政教分離、国民主権の原則に反するものです。知事・国体局が、このような神道団体と一体化した活動をおこなわないことをここにもとめます。
以上、国体開催について市民団体として、人権、主権、税支出などの諸問題について要請します。文書で送付いたしますので、文書での回答を求めます。
W 浜松市への申し入れ
浜松市長様 2003年10月21日
人権アクション浜松
浜松市長による天皇制賛美行為の中止を求める再要請書
10月17日付けで10月6日に提出した要請書にたいしての回答が来ました。
回答書では「陛下」「奉迎」といった表現が使われています。これらの表現は天皇を元首とみなし自らを臣下として貴種を容認するものであり、主権在民の人権思想に反する差別的表現です。このような表現を使っていること自体が市民の人権を侵しています。
天皇賛美行事への参加は「宗教的」な行動ではなく「強制」ではないとしていますが、問題として指摘したのは、市長や自治会・体育協会が神社団体や神道政治団体と一緒になって「奉迎」をおこなっていることです。市長は「市民とともに歓迎の意を示す」としていますが、神社や神道政治団体とともに天皇制を賛美するような行為は政教分離原則に反することです。1994年に天皇が浜松に来たときには市はこのような対応をしていません。
また10月5日の浜松市の『広報』にも「陛下」と記され、「心温まる和やかな雰囲気でお迎え」への協力が記されています。天皇制への市民感情はさまざまあり、天皇への恭順をすすめる広報の記述は市民の思想・心情の自由を侵すことになる表現です。
広報には「市民総参加の大会」とされていますが、この表現は「市民総動員」を連想させるものです。地元の高校生は学校を休んでの競技補助員を強制されています。出校したくてもできない状況です。学校によっては時間割を変更するところまであります。小中学校では「国体デー」を作り「子どもたちが自ら計画をたてて応援」としていますが、学校側が一方的に競技場を指定しています。子どもたちは学校によって応援を指導の名で強制されています。行きたくなくて休めば欠席とされます。「総参加」の発想が子どもたちへの強要を生んでいます。「天皇杯」「皇后杯」に向けての「総参加」は中止すべきです。
よって以下を要請します。
浜松市は「奉迎」「陛下」といった天皇制賛美・天皇元首化を示す用語の使用をしないこと
浜松市長は「奉迎委員会」の名誉会長をやめること
主権在民を侵害する天皇制賛美をおこなわないこと
神道団体との関係を見直し、特定の宗派に加担することなく、政教分離の立場を守ること
天皇来浜にともない人権侵害が起きないように留意すること
なお当会は10月24日18時30分ころから「天皇制賛美は人権侵害」・人権ウォーク
をJR浜松駅北口からおこなうことにしました。王制への隷属にNO!の声を上げることで
市民は人権を獲得してきました。それは歴史的真実であります。わたしたちは人権の声をここ浜松であげていきます。浜松市民の人権を大切にする立場にある市長の参加を呼びかけます。「王様は裸です」。
浜松市自治会連合会長様 2003年10月6日 浜松市体育協会長様 人権アクション浜松 憲法の精神を尊重し天皇賛美行動をおこなわないことを求める要請書 そもそも日本国憲法によって規定された国民主権、基本的人権は、その第97条にあるように「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」であり「過去幾多の試練に堪え」るなかで維持されてきたものであり、侵すことのできない権利です。その権利は王政(日本でいえば天皇制)の暴虐との闘いによって獲得されたものです。天皇を神格化し民衆から権利を剥奪することで過去日本は戦争を繰り返し多くの死者をもたらしてきました。その反省のもとに現憲法はあります。 さて、国体に際し、10月24日、天皇明仁が浜松市に来るにあたり、「天皇皇后陛下静岡県西部奉迎委員会」なる委員会が結成され、歓迎旗振りとちょうちん行列が予定しています。この委員会の名誉会長は浜松市長、委員長は商工会議所会頭、副委員長は市自治会連合会長、市体育協会長、園芸博協会長、静霊奉賛会長、神道政治連盟県本部議員連盟会長、県神社総代会長、県神社庁副丁長となっています。 ●自治会・体育協会は「天皇陛下万歳」などの賛美行動をおこなわないこと
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