静岡空港建設の3大特徴は、政治的利権・ゼネコン利権・赤字県民転化である。政治的利権の綱引きのなかで、お茶の産地・榛原での空港建設を決め、その里山を削って谷を埋める工事をすすめてきた。それは地域民衆が求めての空港建設ではなかった。県は当初、年178万人もの需要予測をたてたが、今では106万人へとその数を修正している。さらに県は強制収用にむけての測量を500人もの部隊を動員しておこないつつ、「話し合いによる円満解決」をと偽善的な発言をしている。
県は9月の滑走路中央部分に続き、今回は滑走路西側のトラスト共有地と茶畑などの測量調査に入った。県に対抗し、茶畑・トラスト共有地などの地区を中心に阻止行動を展開した。共有地トラストには200余の立ち木トラストがある。ここに400メートルの阻止用遮断線を張って抵抗した。茶畑には200メートルの阻止遮断線が張られた。
今回は土地収用地の測量及び物件調査と非収用地との境界を明示するためのものであったが、そのやり方は、一方的強引なものであり、阻止線用物件の伐除申請までおこなうというやり口だった。
【11月29日】 この日から県の調査が始まった。朝7時30分、地権者がテントを建てて陣取る県の現地本部に向かい、土地収用法15条により、立ち入る全職員の一箇所での身分証の提示を求めた。現場では50人ほどが阻止線をはった。ゲート前や共有地入り口の通称「くちばし」等で攻防が繰り広げられた。身分証の提示を求める交渉中から、県は測量調査を開始した。その後、県は陽動するかのような対応さえおこなった。
【11月30日】 前日に続き県はオオタカ営巣木・ヤツシロラン群生地に侵入したが、抗議行動が続いた。トラスト共有地での攻防も続いていた。この日、県が前日に出していたトラスト地点の障害物伐除申請を島田市が許可。それは主権者市民の権利を馴れ合いの行政が剥奪したことだった。その後、県は突入に向けて、茶畑地点の遮断線1箇所を破壊し伐除を強行した。
【12月1日】 県議会の開始にともない、県知事石川が来るところをとらえて抗議行動。現地では茶畑・共有地での侵入を、体を張ったり追いかけたりの激しい攻防で阻止した。
【12月2日】 現地では力に力で対抗するのではなく測量そのものを阻止するため測量用レーザーを遮断するなどの創意ある抵抗が続いた。
【12月3日】 この日は土曜であったが、県はさらに調査をすすめるために、朝から部隊を駆り出した。10人ほどで手薄だった反対派の隙間を狙い阻止線を突破、共有地に侵入した。県はヤツシロラン群生地区での植生調査もおこない、茶畑にも侵入した。午後25人ほどとなり抵抗を強めた。
【12月4日】 日曜、県の動きが止まったため、20人が茶畑の周辺の工作をおこなった。
【12月5日】 西側茶畑を40人で看板やシートを背景に体を張って防衛した。県はこの日、茶畑に侵入できなかった。
【12月6日】 県は西側茶畑に現れ、これまでの測量点を踏まえて測量を行い、調査の終了を宣言した。反対派は午後1時に記者会見を行い、今回の測量調査行動に抗議し、今後も抵抗を続けることを宣言した。その場で地権者は、今後も建設中止に向けて活動する、無駄・無用の公共事業の典型が静岡空港だ、これで終わりではない、この空港建設という誤りを正していく、反対の気持ちに変わりはないと決意を語った。
静岡空港建設反対運動は、土地と自然を守る、県政を改革するということのみならず、人間が人間らしくいきるために、正義を実現するための抵抗運動として固い抵抗の意思が共有されるようになった。現地での抵抗は今後も続く。 (共有地権者・県民の会西部 T)
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