NO!静岡空港建設・NO!強制収用  

静岡で第
6回反空港全国集会開催

                      

静岡県は静岡空港建設にむけて土地収用委員会による公開審理を20065月から開催した。審理は本体部分と周辺部分の2部に分かれてすすむことになったが、10月には本体部の審議が権利者の抗議のなかで終了され、同月、収用委員会は周辺部の審理で権利者の意見表明がすすめられているにもかかわらず、本体部(畑)の収用を採決した。収用委員会は空港建設を前提とし強権的かつ不公正な運営に終始している。裁決によって、12月には空港滑走路予定地の中央にある畑部分、1月にはその近くのオオタカトラストの山林部が明け渡しの期限を迎える。明け渡し拒否に対して、静岡県は強制執行の構えである。

このような緊迫した情勢のなか、1125日に静岡市内で第6回反空港全国集会とデモが開催され、翌日には全国から参加した市民による静岡空港現地の調査がおこなわれた。この集会には150人が参加した。

集会では、空港はいらない静岡県民の会からの挨拶の後、市民団体・政党からのメッセージを受けた。報告では、鎌田慧さんが、土地の強制収用は前近代的強権国家のやり口であり、広範な闘いで阻止していくことを呼びかけた。また、沼津鉄道高架事業反対運動の加藤さんからは運動報告と市政への選挙戦への取り組みが紹介された。反空港訴訟弁護団の阿部弁護士は収用委員会と事業認定取り消し訴訟での論点を紹介した後、浜松のNO!NO!バンドが『おいで一緒に・坂部』を歌った。

続いて、集会では石垣島・成田・羽田・関空・北九州など全国各地からの報告と静岡の権利者の抵抗の意思表示がおこなわれた。

新石垣島空港建設問題では、東京の八重山白保の海を守る会の生島さんが、新たな陸上での建設の動きと土地強制収用を狙う沖縄県の動向を紹介し、土地共有の取り組みを呼びかけた。

成田空港問題では三里塚じゃがいもの会の大原さんが、40年の抵抗のなかでの誘導路の北伸の動きと強制収用を謝罪させてきた農民の抵抗を紹介し、アジア民衆との交流などの新たな展開を提起した。

羽田拡張問題では羽田空港を監視する会の大道寺さんが、猟師町を米軍が占領することによって空港ができた歴史を示し、クレーン船が巨大なために拡張工事がすすまない実態を紹介した。さらに環境の視点から飛行機の需要抑制を課題とすべきことを提示した。

関西空港問題では泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会の根本さんが、さまざまな約束を反故にしてきた推進側のバラ色のイメージを批判し、想定外の地盤沈下に苦しむ実態と2本目の埋立工事の現状、イラク派兵に使われてきた経過を示した。

新福岡空港ストップ連絡会の牧さんは、今年3月に開港した北九州空港では過大な需要予測の嘘が明らかになったこと示し、新空港建設が有害無益であり、権力の利益でしかないことを語った。

最後に静岡空港強制収用予定地の地権者4人が登壇して、「ジャンバルジャンの姿を思い起こし、渾身の力を持って闘いたい」(桧林)、「12月19日には畑、110日には山林の明け渡し期限となったが、これからの支援とともに反対運動をすすめる」(松本)、「茨の道を迷いながらきたが、自信を持って反対を言えるようになった、人として譲れないものがある」(村田)、「計画そのものが欺瞞、嘘とでっち上げとごり押しが公共の利益を語っている、自分らしく生きるために闘わざるをえない」(大井)とつぎつぎに決意を述べた。

集会は、県民合意なきこの空港建設に対し、強制収用にともなう支払金を受け取ることなく現地でのたたかいをすすめることを確認し、集会決議を採択して終わった。

集会後、晩秋の暗闇に輝く静岡市街の明かりのなかをデモ行進し、市民に対し「静岡空港反対」「土地の強制収用中止」を呼びかけた。デモ行進を拍手で迎える市民の姿もあった。

政治的利権による誘致、ゼネコン奉仕の建設、赤字必至とその県民負担の増加、自然破壊など、この第3種静岡空港には多くの問題点がある。でたらめな政治的誘致と政治暴力の中で、信念を貫いてきた地権者は「この静岡県、日本を変えよう」「おかしいものはおかしい」と不屈の想いを力強く語った。集会決議では「生活の中に民主主義を獲得する」ためにも「静岡空港廃絶」への共同が力強く呼びかけられた。 (T)