1998年8月1日(土)
静岡空港を考える西部集会開催

                

 8月1日浜松市福祉文化会館2階会議室において「浜松市民ねっと」が「静岡空港を考える・西部集会」をもった。講師は「空港ノー」吉田町民の会代表の島野房巳さん。
 集会は、静岡空港に関する現状を映したビデオの上映を行い、「浜松市民ねっと」からのあいさつ、島野房巳さんの講演と進んでいった。島野房巳さんの口調は滑らかで、かつ力強く、熱気にあふれ、聞いている私たちを引き込んで行った。島野さんは大変だったろうが、2時間近い講演であったが時間の経つのを忘れてしまうほどだった。
講演は、「静岡空港」阻止に追い風が吹いているという題目で行われた。

     講演要旨は、以下の通り。

*知事選をたたかって県民に訴えたことは、大きい成果だった

・住民の意見をマスコミはなかなか取り上げてはくれない。行政サイドで世論は造られてしまう。そうすると、反対派は少数派だと決め付けられてしまう。これは地域エゴイズムである。これに対抗するための大宣伝の場に選挙はなった。選挙の場であればマスコミは、石川(現職知事)とわれわれの言い分を対等に取り扱うのである。
・ 日本経済の破綻が進行しているときに「静岡空港」を作るなどというのは税金の巨大な無駄づかいである。
・ 朝日新聞の意識調査を見ても意図的に「空港賛成」に仕向けようとしている。いかにマスコミの程度が低いかを自ら暴露している。
・ 知事選が終わってから一挙に金融破綻が訪れた。日本経済の根本的な矛盾が現れたといえる。知事選のときにこのような状況であったら更に石川に打撃を与えていただろう。このような状況はまさに市民運動にとって追い風といえるのではないか。
・ 選挙をたたかうということには隠された意義がある。それは運動は長期化すると弱体化する。敗北主義さえも起こりうる。このような時に、世間では自分たちに共鳴してくれる人たちがだんだん増えているという自覚を与えるのが選挙である。「空港をつぶす」という運動の中でこれからも選挙はたたかう。

*「静岡空港」阻止に追い風が吹いている

「静岡空港」は潰れかかっている。
・ 現在財政破綻により用地取得が難航している。
・ 運輸省に対して、設置許可申請が遅れてしまった。それに対し、「静岡県はおおかみ少年か」とまで言われている。
・ 空港用地は、泥岩が多く埋め立てには向かない。いまだに構造・建設方法の結論が出ていない。根本からやり直しの状況である。
・ 運輸次官は、地方空港について「必要性に乏しいもの、計画が難航しているものは白紙に戻す。」と発言している。「静岡空港はうかうかしていると見捨てられる」という状況である。
・ 運輸省づめの記者が運輸省幹部に「神戸空港と静岡空港は誰が見ても要らないのでは」と聞くと「それはそうだ」という答えが返ってくるのが今の現状であり、事実である。
・ 実際「静岡空港」に関する用地買収率でこのままでは来年度の補助金申請ができないから用地を売ってくれないかといって専門家が地権者を回っているのが現状である。
・ 朝日新聞によると「地方空港は採算がとりがたい」と報告している。大部分の地方空港には明日はないのである。

* われわれはじっくり構えて攻め立てる

・新幹線新駅の問題−なぜ新幹線新駅というものが出てきたのか。それは、「静岡空港」 の特色をだせと運輸省にいわれアイデアとしてでは新幹線新駅を作ろうという案が出たものである。現状はどうか。JR東海がはっきり言っているように新駅ができる可能性は全くないのである。
・ われわれの側は、現在何をしているか。−現在弁護士による「一坪地主」運動が行われている。県の対応によっては弁護士一人一人が何らかの訴訟を起こすことができる。これによって、用地交渉は進まなくなるのは間違いない。
・ 県下全体にわたる世論工作・現地工作を現在重点において取り組んでいる。今では、表立って反対の意思を表明してこなかったいわゆる隠れ反対地権者も「反対派の勝ちだ」というようになっている。しかし、われわれは更に隠れ反対地権者が土地を売る気をなくすように「ストップ・ザ空港」(「空港ノー」吉田町民の会機関紙)を各戸配布して訴えている。

「静岡空港」を潰すことは政治の改革につながっている。

・ 公共事業というものは「作ることに意味がある」とされてきた。実際、御前崎港のように使わないのに更に必要のない拡張を進めている例もある。
・ 日本人の国民性か、利益誘導に弱い。ここから脱却しなければ、談合の公共事業はなくならないし、談合政治はなくならない。
・ 「いやなことにはノー!というのが民主主義である。」(丸山真男氏の言葉より)

以上が島野さんの講演要旨である。

                  (浜松市民ネットの旧HPから引用)