2004年10月29日
静岡県私学協会会長様 人権平和・浜松
NO!AWACSの会
2004年10月26日付で静岡県私学協会は『自民党静岡県連主催「歴史教科書の勉強会」開催に伴う貴校関係者の出席方について』という文書を県内私学に出しました。
その協会の文書には、自民党県連から私学小中の関係者への参加の依頼があり、『少し前は東京都の中高一貫校でこの教科書の採択をしました』と書かれています。さらにこの文書には、『正しい歴史教育を子どもたちに』という自民党県連の講演会案内文書が添付されていました。講演日は11月2日、講師は伊藤哲夫(日本政策研究センター所長)となっています。講師はいわゆる「つくる会」の教科書採択を推進し、最近では朝鮮人強制連行を否定する論考などを発表している人です。
この私学協会が各校に出した文書の撤回をここに求めます。
私学協会は県内各地の私学校が加入する団体であり、政治的には中立性な運営が求められます。自民党の開催する講演会に私学教員を動員するようなことをおこなってはならないと考えます。また協会が特定の会社の教科書の採択をすすめるようなことはおこなってはならないと考えます。私学協会の中にそれをすすめる考え方の人がいたとしても、それを私学協会の方針として文書化することはおこなってはならないと考えます。
「つくる会」の教科書についてはさまざまな意見が存在します。特に過去日本によって侵略や植民地支配を受けた地域の人々やアジアとの平和・友好を求めてきた人々からは強い批判があります。私学協会が通知で、特定の教科書採択を進める立場に立って、特定政党の講演会に各校からの派遣を依頼するような行為は、県民に本県私学に対する不信を与えるのみならず、国際的な不信や批判をもたらすものであり、中国や韓国との友好を進めてきた静岡県の信用を失墜させかねないものです。
よって、この文書発行の誤りを認め、この文書の撤回を要請します。わたしたちは過去の歴史を都合よく正当化するのではなく、その戦争や植民地支配の誤りを率直に認め、アジア各国との平和と友好を作っていきたいと考えています。県私学協会は、その職務の公共性を自覚し、一部政党政派に従属する運営を改め、特定教科書の採択に加担しないような姿勢を持つべきと考えます。
市民からの抗議の声もあり、私学各学校からの参加者はなかったとのことです。