「教育基本法の改悪をとめよう! 4.10静岡の集い」
4月10日、静岡産業経済会館にてで標記の集会(「教育基本法の改悪を許さない静岡の会」主催)が持たれた。約100名参加。集会は主宰「静岡の会」の活動報告の後、俵義文さん(「子どもと教育全国ネット21」事務局長)の「教育基本法改悪の狙いと動向」を題する講演に移った。
俵さんは、教育基本法改悪は憲法改悪と一体のもので、その狙いは2つ。@戦争する国を作る、またそれを喜んで推進する人間を作ること。A個人と国家の在り方を転換し、何よりも「国家」が最優先される国を作ること。「つくる会」=扶桑社の検定教科書もこの動きと一体のものであること。以上をさまざまな具体例をあげて、分かりやすくかつ切羽詰った緊張感をもって語った。
例えば、扶桑社の中学歴史教科書では「公共」が強調されている。江戸時代の「武士道」は「公共の利益のために個人を犠牲にする」誉め称えるべきものと賛美し「公共」のためにつくす人間になれ。日本人はそういう歴史を歩んできた、という刷りこみを行おうとしている(「武士道は究極的には天皇に仕えるもの」という歴史的にも誤った記述もある!)。また戦争肯定・賛美の記述が目立ち、加害はおろか日本人の戦争被害の記述さえない。公民教科書でも「国家」最優先が強調されている。例えば、「世界の中で活躍する日本人」として「自衛隊」の写真がカラーでまず登場する。「国民主権」については「一人一人の国民に主権があるのではなく全体としての国民にある」という説明。あるいは「日本国憲法」を「世界最古で一度も改正されたことのない憲法」と説明し、その憲法の柱の一つ「基本的人権」をうたう前に「憲法改正」を説明している。巻末の資料には女性・子ども・お年寄り・労働者・市民等の権利に関する法律は一切載せていない。
俵さんは講演を次のようにまとめた。「つくる会」はこの教科書の20%採択を目指して「日本会議」「自民党」の力を借りて採択運動を展開している。これに対する我々の側の運動は、「教育基本法改悪を許さない全国集会」に多くの人が集まり、あるいは「九条の会」が全国に急速に作られているように一定の前進をし、力を持ってきた。「教育基本法改悪法案」の国会上程をいまだに許していないのはこの力によると考えていい。しかしここからが正念場だ。「点を面に変えること」。教科書採択問題では各地域の闘いを組織しなければならない。その闘いの中で地域に草の根民主主義的組織を作り、それをつないでいくことで教育基本法・憲法改悪阻止の大きな力を作り出すことができる。
5月7日(土)には代々木公園で「教育基本法の改悪をとめよう!5・7全国集会」が開かれる。これへの結集をともに、各地域での学習会・街頭情宣・教育委員会への申し入れといった連続的な行動が必要だろう。小異を捨てて草の根の幅広い戦線を作ってゆくことが求められている。 (井)