集会アピール

 

 本日私たちはNATOのユーゴ空爆をイタリアの状況を例に学びました。NATOの新戦略と日米新ガイドラインはアメリカの新軍事戦略によるものであり、派兵拠点となったイタリアの姿は朝鮮・中国での戦時を想定して軍拡をすすめる日本の姿と共通するものがあります。

 ユーゴ空爆ではAWACSと空中給油機が重要な役割をはたしました。AWACSと空中給油機は空中での警戒指揮能力と、戦闘・攻撃能力を飛躍的に高めています。

 浜松基地に配備されたAWACSと今後導入が計画されている空中給油機はNATOの共同作戦と同様、日米の共同作戦でもまっさきに使用されていく軍用機です。1999年12月、政府は次期防衛力計画での空中給油機の導入を決定しました。私たちはこの決定に抗議します。私たちは以下をもとめます。

一、 政府は空中給油機導入計画を撤回すること

また、AWACSについては廃棄をすすめること

一、 静岡県知事。浜松市長は広く市民の声を聞く場をもち、AWACSと空中給油機に反対の意思を示すこと

一、 浜松市基地対策協議会は空中給油機導入配備に反対の意思を表明すること

 

 

2000年2月5日 

NOAWACSNO!空中給油機 市民集会参加者一同

S.ブリバティ氏講演のまとめ (文責:NO!AWACSの会)

周辺事態としてのユーゴ空爆

はじめに

私はイギリスからきているが、恥ずかしいことにイギリスはイラクやコソボを攻撃し、ジャーナリズムはそれを支援した。イギリス人である前にひとりの人間として生き考えたい。以下、@NATO・AWACSの歴史 AAWACSは防衛的兵器なのか BNATOのユーゴ空爆時のAWACS C空爆への抗議行動の順にみていきたい。その前にジュネーブ合意事項の第4章をみてみよう。むずかしく書いてあるが、要するに「人民を爆撃してはならない」ということだ。違法はNATOの空爆によって市民の死者は1,500人、重傷者は5,000人、避難民は100万人、失業者は50万人、経済基盤の損失は1億5千万ドルに及んだ。

NATO・AWACSの歴史

NATOはNAEWF(空中早期警戒軍)をもつ。

NATOは1982年から85年にかけてE3−A・AWACSを18機導入した。作戦本部基地がドイツのゲイレンキルヘン基地におかれた。またE3D・AWACS7機がイギリス東岸のワディントン基地にある。AWACSシステムは1978年に設立された。このNAEWF(空中早期警戒軍)は5つの段階を経ている。

 第1は空中早期警戒システムの初期の獲得計画であり、AWACSが導入され、北ノルウェーからイタリア・ギリシャ・東トルコの9カ国にわたる40ヶ所の基地がAWACSに対応して強化された。作戦本部がガイレンキルヘンにおかれ、各国から人員が派遣された。この新たな基盤づくりと支援戦闘力の確立のために12年以上、30億ドル以上が費やされた。

 第2はこの初期計画の拡充である。1980年代の中ごろ上記の計画に作戦要員の追加訓練とソフトウェアを支援する施設が加えられ、パイロット訓練用に3機の商業用B707が改造された。1987年には米軍との間で電子支援手段システム(ESM)を導入した。

 第3は短期間でのシステム近代化である。初期AWACSは70年代中期の技術に依っていたため、1987年の末に3段階の改良計画がたてられ、デジタル化、音声コミュニケーション、ディスプレイなどのコンピューター機能と監視レーダーの向上をすすめた。この計画は、1990年に合意され、2000年1月までに完成することとなった。主な契約者はボーイング社であり、費用は焼く14億ドル。

 第4はAWACSシステムの中期間での近代化である。これは1997年8月にNATO間で合意されており、9つの主な計画がある。完成は2004年の予定。この計画もボーイング社を中心とし、費用は約10億ドルである。

 第5は将来的展望であり、1998年の中ごろ、維持能力や作戦行動、将来的展望などが検討された。ドイツ軍から2機のB707輸送機が提供された。

AWACSは防衛的兵器か

結論を言えば防衛と攻撃に違いはない。1995年のNATOの出版物をみてみると、「空中での指揮と管制は全ての防衛・攻撃・支援作戦での戦術的計画、機動、執行を結合したものであり、その範囲は単なる空の防衛よりもはるかに広いものだ」とある。NATOのWebサイトではAWACSの任務として空と空や空と地の管制、領空管理、空の統制、戦闘探査と救出、軍内先導、脅威の警戒などをあげている。

このようにAWACSは警戒から戦闘指揮まで軍事行動の全てにかかわっていくわけであって防衛のためだけにあるものではない。

NATOのユーゴ空爆時のAWACS

湾岸戦争時、NATOのAWACSは東トルコに派遣され、トルコ、イラク国境から作戦指揮を担った。バルカン半島での使用をみれば1992年7月以降、NATOのE3A, フランスE3F,イギリスE3D,アメリカのAWACSなどが国連軍の動きを指揮するために使われた。

 NATOによるユーゴ空爆では900機の軍用機が使われている。AWACSの使用については資料になかなか出てこない。作戦にはNATO,フランス、イギリス、アメリカのAWACSが参加している。NATOの広報によれば、イタリアのアビアノ基地に作戦センターがおかれた。

 イギリスの司令官、ジョンデイによる発表によれば、空爆がAWACSのコントロール下でおこなわれたことがわかるし、空中給油機も使われている。

空爆への抗議行動

NATOへの抗議行動はイタリアで盛りあがった。ローマでは10万人規模のデモがおき、アビアノ基地周辺には監視テント村がつくられた。はじめは20人ほどだったが、数百人の監視抗議行動になっていった。

 アメリカ・CIAの影響下にあるギリシャでも抗議行動がおき、それは私たちに勇気を与えた。NATOの輸送車がくると人々は標識を変えて車を別の方向へむかわせた。車が野菜市場に入ると人々は野菜をなげつけて抗議した。ある中流女性はBMWを輸送車の前に止めて鍵を海中へと投げすて輸送を阻止した。かの女がとらえられないように群衆が囲み、かの女を助けた。

 スペインの新聞には、1999年6月、マーティンデラホズ大佐の告発が掲載された。かれはユーゴ空爆では新兵器や毒ガスが使われているとし、爆弾には劣化ウラン、ナパーム、不妊化物質が入っており、北アメリカ人は人間性に対する最悪の残虐性を示していると抗議した。

 かれは他へと転属処分となったが、このように抵抗や抗議が各地でくりひろげられていった。クリントンの言うグローバリズムとは人種差別にほかならないと思う。

 

おわりに

軍事力行使の背後にはアメリカの軍産複合体の意志がある。それと抵抗することで支払われた代価も確認しておきたい。

 ユーゴ空爆でもジャーナリズムやメディアの統制がおこなわれている。マークスティム(ガーディアン紙)がNATO批判を書いて解雇されたようにNATO批判は報道することができない。アメリカの新たな世界戦略の下でNATOが国連にかわる力をユーゴで誇示したのだ。

(*講演は英語でおこなわれた。この要約には意訳部分があることを了承されたい。)