空中給油機に関する意見書

 21世紀を目前に世界は緊張緩和・軍備縮小に向けて歩み始めており、21世紀は「平和の世紀」になるものと期待されている。東アジアでも沖縄サミット並びに南北朝鮮会談の開催など平和への着実な前進を見ているところである。
 こうした状況の中、防衛庁は来年度予算に対する概算要求で空中給油機の導入を計画しているが、外交・防衛問題は国の専管事項とはいえ、市民の中には空中給油機は専守防衛の理念に反するのではないかとの意見があるほか、近隣諸国との緊張を高め、軍備拡大競争に拍車をかける危険性があるとの見方もある。また、空中給油機の導入が決定されれば、その配備先を決めなければならず、浜松基地は、その有力地であるとのマスコミ報道がある。基地が市街地の住宅密集地にある浜松市民の不安は、日増しに高まっており、大きな社会問題となりつつある。よって国においては、これらの状勢に鑑み、空中給油機の導入・配備に関しては、慎重に検討するよう強く要望する。

 以上、地方自法第99条の規定により意見書を提出する。

 2000年9月29日 浜松市議会議長 青野正二



委員会の状況(議会便り10月号)
議会運営委員会

空中給油機導入・配備に関する意見書の採択を求める請願

多数意見
 空中給油機の導入配備については、国の専管事項であり、地方議会がその賛否について意思表示すべきではないと考える。基地のある本市の市民感情を考慮した場合、国に対し慎重な対応を求めるべきであると思うが、一方的に導入に反対をする旨の本請願には賛成しかねる。
少数意見
 空中給油機導入は専守防衛の理念から外れ、軍事的な脅威を各国に与えかねないものである。基地周辺の住民の生命と財産を守るためにも本請願に賛成である。

委員会の結論
 不採択とすべきものと決定した。

一般質問
小沢明美(社会民主党浜松)......空中給油機に対する市長の見解は

質問 空中給油機は、戦闘機や輸送機等に空中で燃料を補給し、はるか遠い地域での活動を可能とすることを目的とした軍用機であり、専守防衛の範囲を越えるものとして、かねてから国会でもその導入が否定されてきたところである。また、戦闘機の戦闘行動の範囲が海外にまで飛躍的に拡大することは、明らかに専守防衛の理念に反し、憲法違反になると考えるが、市長の空中給油機に対する見解はどうか。

答弁 空中給油機の問題については、国の防衛力整備計画において決定されていくものであり、安全保障や防衛に関する問題は国の専管事項であると考えている。したがって、市長という立場においても、空中給油機の性格とその導入の是非については、国の専管事項として扱っていきたい。いずれにしても、国政の問題として国の責任で総合的に判断されるものと基本的に認識している。

田中三博(日本共産党浜松市議団)..........空中給油機導入反対の態度表明を

質問 防衛庁は、空中給油機の導入予算を十三年度の概算要求に盛り込むことを決定したが、空中給油機は他国を攻撃するために使用される兵器であり、専守防衛の枠を大きく外れ、平和憲法に違反することは明らかである。市長は、市民の生命と財産を守る立場からも、浜松市をこれ以上の軍事都市としないよう、空中給油機の導入と浜松配備には断固とした態度表明をすべきと思うがどうか。
答弁 空中給油機の導入の問題については、国の防衛力整備計画において決定されていくべきものであり、国政問題として国の責任で総合的に判断されるものと認識している。浜松基地配備の問題については、十一年十一月二十五日の浜松市基地対策協議会代表委員会で、市民感情を大事にして慎重に対応するとともに、今後も国の動向を見守り、適切な対応をするという結論に至った。なお、今議会の中で、空中給油機に関する請願書、意見書が提出されているので、その審議の結果を見守り、議会とともにこの問題に対処していきたいと考えている