軍事基地の存在が地域に流す軍事文化への抵抗について、2001年5〜6月にあったできごとを以下、紹介したい。
●浜松A中学での自衛隊職場体験学習中止へ
浜松市内のA中学で3年生を対象に職場体験学習(6月)が計画された。その体験先のひとつに空自浜松基地が入っていた。保護者が体験先としてふさわしくないと問い合わせたが中学側は止めようとしなかった。これまで体験先として組み込まれてきていたようである。
調べてみると他の中学で数年前、自衛隊への職場体験学習を計画したところ市民が抗議し中止となっていたことがわかった。
6月4日、当会から市教委と当該中学に中止を求める申し入れ書を提出した。翌日、中学側は生徒に自衛隊への体験学習の中止を伝えた。
AWACSが日米共同訓練によって海外へと出て行こうとする矢先のことだった。
●浜松子ども未来博での空自コックピット展示中止へ
市政記念事業にむけて浜松市は実行委をつくり、「2001年子ども未来博」を企画した。3月にできた実行委企画案(静岡新聞社が中心になって作成)には、空自・陸自に参加を要請し、空自のコックピットを展示することが記されていた。
4月にはいっての実行委では、自衛隊の参加について「市民のなかからいろいろ声があがるかも」「民間だけにしたら」との声も出たという。この企画案は5月に入って未来博に参加する学校へもおろされたため、学校現場から批判の声があがった。5月28日、当会はコックピット展示の中止を市長・市教委に要請した。
5月31日の運営委では「自衛隊参加についてはいろいろ意見がある」とされ、同日の実行委では自衛隊の参加をぬいた新案が提示されることになった。
「子ども未来博」での展示は、市民のなかにある「軍事文化にNO!」の声をうけとめておこなわれることになった。
●浜松中央警察署応接室のAWACS写真をめぐって
5月25日、当会会員は、5月27日に予定していた「AWACS海外派兵にNO!」行動のデモ申請許可を浜松中央警察署へとうけとりにいった。
その際、当会会員は、警察署警備課応接室に掲示されているAWACSの写真と軍艦の絵を問題にし、「兵器よりもたとえば花の写真にでもしたら」「AWACSは湾岸戦争やユーゴ空爆で司令をだしているもの」と発言した。これに対し署員は「何が問題だ。いちいち文句をいわれる筋合いはない」「俺は軍艦や戦闘機が好きで自宅にはプラ模型もたくさんある」「日本のAWACSが空爆の司令をやったのか」と大声を出し始めた。「公私混同するな」と指摘すると「混同してない。何が悪い。人の家に土足で入るな」と会員の顔の直前に指をさして威圧しはじめた。「今日は帰ってください」と聞きつけた他の署員はいう。奥で「ふざけるなバカヤロー」と怒っているので「バカヤローとは何ですか」と問うと「何が悪い。反対しているのはあんたらだけ」と居直った。他の署員も止めに入ったため帰ることになった。
このような署員の密室での対応に抗議し、会として@なぜ応接室にAWACSの写真や軍艦の絵を貼るのかA市民の声を聞くような民主的警察改革が求められているのに今回の対応は問題Bデモ申請は密室でなく開かれた場所でおこなうことなどを要請する文書を6月14日付で送った。
6月27日付で、中央警察署長から「応接の一部に不適切な言動があった」「これを機会に適切な応接を心がけるよう署員に徹底」するという回答が届いた。
●市教委「侵略戦争であったと認識」と回答
6月20日、韓国の市民運動メンバーとともに浜松市教委を訪れ、「つくる会」教科書の採択中止を申し入れた。会としては3度目の申し入れだった。
その際、対応した学校教育部指導課副参事は、当会の「過去の日本の戦争は間違っていたと考えるか」の質問に対し、「はっきりいえない、その時の状況は理解していない」と答えた。日本の植民地支配については誤りを認めた。「戦争自体はいけない」としながら、日本の過去の戦争への評価をあいまいにする市教委幹部に対して、参加した市民からは憤りの発言があいついだ。
この問題に対し6月23日、市教委の認識を問う文書を出したところ、6月28日付で市教委から回答がきた。回答書には「さきの日本の戦争については侵略戦争であったと認識」し、過去を反省し、再び戦争の惨禍を繰り返さないことを責務とすることが記されていた。
市教委が過去の日本の戦争を「侵略戦争」と認めたことはひとつの成果だった。
●地域での軍事文化の流入にNO!
軍事基地の存在は軍事肯定の意識を育て、反戦平和への芽をつんでいく。平和にむけてのひとつひとつの行動のつみ重ねが大切だと思う。
浜松市基地対策協議会の会議はオンブズパーソン・遠州の申入れにより市民に公開されるようになった。関係議事録も公開された。
最近、月・火とAWACSのタッチ&ゴーやジェット機の夜間飛行訓練が頻繁におこなわれるようになり、ときには夜10時近くまで轟音をたてて離着陸する日もあった。基地周辺の金網は新しくされ、白や緑のパネルで内部をかくすようにもなった。騒音を生み、軍事文化を流出させる軍事基地とAWACSの現実のなかから、反戦平和にむけての表現をつくっていきたいと思うこのごろである。
以下の申し入れを行いました。翌日中学側は中止をこどもに伝えました。
浜松市教育委員会様
浜松市A中学様 2001年6月4日
NO!AWACS の会
中学での職場体験学習の研修先から自衛隊を除外することについて(要請)
浜松市A中学では3年生の進路学習での職場体験の研修先のひとつとして わたしたちは浜松を再び派兵拠点にしてはならないと考えAWACSに反対し、 新ガイドラインのもとで海外への派兵計画が進み、6月7日にはAWACSが 父母の中には自衛隊を違憲の組織とみる意見や海外派兵に反対する意 公教育では生命の尊厳を基調とし平和で民主的な人格の育成を進めてほしく 1 自衛隊への体験学習を中止すること 1 市教委は実態を調査すること 1 戦争・武力ではない方法で平和をつくる心を持つ人間作りを進めること
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浜松市長様 浜松市教育長様 2001年5月28日 NO!AWACSの会 「2001年浜松子ども未来博」での 自衛隊展示の撤去をもとめる要請書 浜松市、浜松市教委、静岡新聞は実行委をつくり、「2001年浜松子ども未来博」 を市政90周年事業の一環として計画しています。そこでは子どもたちを「科学好き」 にさせ「21世紀の夢」を膨らませることが主眼とされています。この展示会場に実 行委は空・陸自衛隊に協力をもとめ、空自の戦闘機のコックピットを展示しようとし ています。 わたしたちはこの戦闘機のコックピト展示計画の撤回をここに強く要請するもので す。 私たちは地域の平和団体です。空自浜松基地の広報館では、こどもに戦闘服を着 用させて写真をとらせたり、戦闘機のシミュレーションをさせたりしていますが、この ような館の展示の中止をこの間、もとめてきました。子どもを軍用機にふれさせ、戦 闘へとマインドコントロールして、生命の尊厳への視点を奪うことはとても危険なこ とであるであるからです。 今回のコックピットへの体験搭乗は子どもを「戦争好き」にさせ「21世紀での戦場 への夢」をもたらしかねません。 わたしたちは子どもたちが「平和好き」であり、「平和で民主的な人格」を持って、 「平和な21世紀の夢」を抱いてほしいと考えます。子どもたちに戦闘を夢想させる ような展示は子ども未来博にふさわしくありません。軍用機コックピットの展示は浜 松市民のなかにある平和への想いをふみにじるものです。 わたしたちは実行委の中心的立場にある貴職が子ども未来博での自衛隊展示を 中止し、自衛隊への展示協力要請を行わないよう、ここに要請します。 |