防衛庁長官様・浜松基地司令様・ 2001年10月21日
警戒航空隊司令様・基地内自衛隊員様
10.21反戦平和のための行動実行委員会
(NO!AWACSの会・平和と人権のための市民行動ほか)
米軍支援にむけての自衛隊の海外派兵に反対し自衛隊員に反戦平和のための活動への共同を求める要請書
自衛隊員の皆さん、いま政府は「テロ対策特措法」を制定するなど、米軍の戦争を支援するために自衛隊を海外に派兵する体制を作ろうとしています。
政府は憲法解釈をねじ曲げ、国会の承認もないまま他国の領域に派兵し、武器弾薬を輸送するなどの戦争支援をおこない、武器使用の範囲を拡大して参戦しようとしています。わたしたちはこのような政府の方針に強く抗議し、自衛隊員や幹部の皆さんに海外派兵反対の意思を示すものです。
自衛官の中にも現在すすめられている海外派兵の動きにたいし、批判や不満の声が高まっていることが報道からもわかります。
「自衛隊を道具としか思っていない」「派遣の根拠がわからない」「弾薬などを運べば狙われる」「野戦病院は最も攻撃されやすい」「自衛隊の装備に死体袋はない」「前線と後方の区別が曖昧なまま出動すれば多くの犠牲者を出しかねない」「無理をしてまで隊員を危険にさらそうとは思わない」「派遣は国民の意思といえるのか」「憲法解釈を変えずに行かせる理屈には無理がある」「まず自衛隊を派遣することが優先されている」「現状では安心していけない」「海外に行くことがあるなら入隊しなかった」「手足を縛られて戦場に放り込まれる身になってほしい」・・・。自衛官自身のこれらの発言はもっともな意見です。
首相は「多少の犠牲は覚悟」と平然と語り自衛隊員の思いなどまったく気にかけていないようです。憲法学者からは自衛隊を参戦させようとする動きにたいし、「憲法の効力を停止させる憲法へのクーデター」「ごまかしを重ね、明確な根拠のない派兵」「参戦法であり憲法違反」との批判も出され、市民のなかには「テロも報復もやめろ」「自衛隊の海外派兵反対」「平和的手段の活用を」の声が根強くあります。
かなりの人々が自衛隊による米軍への軍事的支援に対して反対しています。またアジア各国は日本が憲法を軽視して海外派兵をおこなうことを批判し警戒しています。
自衛官は命令に服従することを義務づけられています。もしその命令が誤ったものであれば、他国を侵略して民衆を殺戮することになり、自らの命を失うことになりかねません。
小牧基地からC130のパキスタンへの派兵が強行されたとき、隊員は不安に思い、また多くの家族が涙で見送りました。自衛隊機ではなく民間機の方が、迅速にかつ大量に運べるのに政府は自衛隊機の派遣を強行したのです.自衛隊機がパキスタンに2時間しか滞在しなかったのは政府による無理な派兵への自衛隊側の抵抗であったともいえます。ちなみに運ばれたテントはパキスタン製でした。
この間政府は、キティホークを護衛して海自艦を出動させたり、イージス艦のインド洋派兵を計画したりと、米軍への軍事支援行動に躍起となっています。また今年6月グアムでおこなわれた日米共同訓練では浜松基地からAWACSが派遣され、米日AWACSの指揮のもとで訓練がおこなわれました。この訓練にみられるように新ガイドライン安保のもとで海外での軍事行動計画がすすんできています。
このなかで踏みにじられているのは日本国憲法です。政府の行為によって再び戦争の惨禍をもたらさないようにと平和主義を掲げ戦争を放棄したのにも関わらず、政府はこの憲法の精神を無視して米軍を支援し参戦をする法律を作るというのです。そして美辞麗句で自衛隊員の命がもてあそばれていくことになります。まさに自衛官を人と見ずにモノとして扱い海外へと送り出そうというのです。憲法9条の存在は自衛官の命をも守ってきたのですが、今その憲法9条が政府自身の手によって塗りつぶされようとしています。
自衛官の皆さん、テロへの報復戦争をすすめる米軍を軍事的に支援することが本当に今必要でしょうか。米軍の軍事行動を世界の人々が認めているでしょうか。これまで各地を空爆してきた米軍の行動に対する憎悪や批判は世界各地にあります。既に米軍は「テロリスト」への攻撃からアフガン政府の転覆や他国への攻撃も視野に入れて活動をしはじめ、核の使用さえ公言しています。これに対し反戦平和の声は世界各地で起こっています。
日本はアジアの一員として、テロと報復の連鎖を断つために多くの平和的外交をおこない、和解と共存にむけての支援をおこなうことができます。米軍支援のために海外派兵を強行していけばアジアのなかから「小泉はブッシュのイヌ、日本はアメリカのイヌ」の声を更に生み、海外の資源に多くを依存する日本の存立は危うくなっていくでしょう。そして自衛隊員の皆さんはアジアからの批判の矢面に立たされることになります。
わたしたちは訴えます。戦争好きの政治屋の掛け声にしたがって、防衛庁は海外派兵をしてはなりません。基地司令は海外派兵を強行しようとする動きをはっきりと批判し、自衛官の人権を大切にし、派兵・参戦とならないような判断をしてください。自衛隊員の皆さん、政府の悪政・悪法によって命が失われることのない状況を作るために平和について自らの意思を示し、戦争への動員にノーの声を上げましょう。皆さんが入隊したとき、米軍を支援して海外で作戦行動をとる計画や契約はなかったはずです。
わたしたちは浜松基地前で「アメリカのアフガン攻撃に加担するな」「テロも報復もノー」「自衛隊の海外派兵反対」「AWACSを海外に派兵するな」「AWACSを撤去しろ、空中給油機を導入するな」と訴えます。
わたしたちの声は小さなものかも知れません。けれども、「殺すな」「戦争に行くな」「戦争をやめろ」の声は世界各地にあります。反戦平和を訴える市民の声が強ければ強いほど皆さんの命は守られることになります。「国家的テロ」とさえいわれる米軍によるアジア各地への攻撃に加担する必要はまったくありません.海外で米軍の戦争を支援することは「専守防衛」行動ではありませんし、それは「テロ」を根絶することにはならず、新たな憎悪を生むことにつながります。わたしたちは自衛官の皆さんに「戦争に行くな」と訴えます.
自衛官の皆さん、反戦平和にむけて共に歩みましょう。