侵略戦争を賛美し、歴史を歪曲する「激動の20世紀展」と、それを後援する浜松市教委に抗議! |
浜松市教育委員長様
浜松市長様 掛川市教育委員長様 NO!AWACSの会浜松 過去の戦争を肯定し現憲法の平和主義を否定する 「激動の20世紀展」への後援の撤回を求める要請 わたしたちは地域の平和団体として以下を要請します。 掛川市で8月18日から25日にかけ、浜松市では9月11日から15日にかけ、「近現代史研究会」などが主催して、「激動の20世紀展」が企画されています。主催の「近現代史研究会」は「日本会議」「日本世論の会」「新しい歴史教科書をつくる会」などのメンバーで組織されている団体です。 18日から始まった掛川での展示を見ると、日本国憲法については「ここが変だよ、日本国憲法」とし、憲法前文の平和の宣言、第9条、非核3原則などを非難しています。「専守防衛」については、「とんでもない代物」とまで記しています。また「満州」事変から太平洋戦争に至る展示では日本の戦争を「自存自衛」「アジア解放」のためのものとし美化・肯定しています。さらに日本の戦争犯罪については、南京虐殺事件そのものがなかったかのように展示しています。 愛知県の名古屋市でも同様のグループによる「もうひとつの戦争展」という展示会がもたれ、「南京での虐殺はなかった」「東京裁判は違法」「慰安婦の強制連行はなかった」という主張を掲げました。そこには日本軍によって殺害され、虐待を受けた人たちへの視点やアジアとの友好の志向はなく、日本の戦争を正当化する展示が支配的でした。「つくる会」の静岡県支部はこの「激動の20世紀展」によって運動を進め,次回の教科書採択をめざしているといいます。 さてここで問題なのは、展示内容のみならず、掛川市教育委員会、浜松市、浜松市教育委員会が展示会の後援団体となっていることです。 会場の掛川市図書館で「近現代史研究会」が配布していた展示会の主旨を記したチラシには、「大東亜戦争」の目的は「自存自衛」「アジア解放の道」と記され、さらに、「昭和維新」が賛美され、「満州国建国」を「成功」とし、「石原完爾」を評価しています。 このような視点で行われる展示会を教育委員会は後援してはならないと考えます。このような考え方の展示会を後援することは、貴教育委員会の歴史認識が問われ、内外での評価と信用を落とすことになります。 過去を反省し、歴史を歪曲することなく真実を伝え、平和な社会を作ることは教育の課題です。貴教育委員会は過去の戦争を反省し憲法の平和主義を尊重する立場で教育行政を行っていると考えます。展示実態があきらかになったいま、貴教育委員会(および市)が「激動の20世紀展」への後援を撤回することをここに要請します。 |
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「近現代史研究会」企画「激動の20世紀展」への 浜松市、市教委後援撤回を要請 |
浜松市長様 2002年9月12日 浜松市教育委員会様 NO!AWACSの会浜松 抗 議 文 浜松市、浜松市教育委員会は「近現代史研究会」という「新しい歴史教科書をつくる会」の作成し た教科書採択をすすめるグループの企画した「激動の20世紀展」を後援しました。わたしたちは この企画を後援しないよう要請しましたが、市・市教委は後援を撤回しませんでした。9月5日の 当会の要請の場で、市教委は「要請があり掛川へと展示を見にいき、平和主義についてのものは 気になった」「9月2日主催者をよび、企画が戦争を肯定し平和主義を否定しないものであることを 確認した」、「展示前にパネルを点検する」といいました。余談で「731部隊」について聞くと、対応 していた生涯学習部課長は731部隊の存在について無知でした。731部隊について理解のない 人が展示企画をどのように批評しえるのかと要請に参加したわたしたちは不安と驚きを覚えまし た。 浜松での「近現代史研究会」による展示は、浜松基地富嶽特攻隊・浜松空襲・大東亜戦争は自 存自衛・親日台湾・南京事件否定本紹介・中国反日展示館・アジアの独立・アサヒグラフの南京 写真・北千島戦・真珠湾の検証・天皇の写真などでした。展示を見に行った当会会員は展示を見 てノートに記録していたら無断でビデオにとられて監視されたといっています。 掛川で近現代史研が展示していた日本国憲法を非難するパネルは展示されず、展示紹介見出 しは「真珠湾の検証」のみでした。浜松展示の案内チラシにあった「南京事件の検証」は展示案内 の文字もなく、いったい何を言おうとしているのか不明に思われる展示でした。市教委の姿勢に対 して主催者側が一定の自己規制をしていたことが伺われますが 、展示パネルの中身は、過去の 戦争を肯定し戦争犯罪を否定するために構成されているものでした。 パネルの内容を具体的に言えば、大東亜戦争は自存自衛のもの、「サピォ」をコピーした「中国 のチベット侵略」、映画プライドの写真、パール判事の日本無実論、南京事件についての否定本の 田中正明、藤岡信勝、小林よしのりらの本のコピー、中国博物館を反日として紹介するもの、大 東亜戦争がアジア独立をもたらすとするもの、などがありました。これらのパネルは、日本の過去 の戦争が侵略ではなく、自衛とアジア解放のためのものであり無罪であるとし、中国こそ南京事 件を捏造しチベットを侵略する国家であるとプロパガンダするものです。 ところでこれらのパネルをよく見てみると、たとえば『大東亜戦争は自存自衛の戦争だった』とい うパネルの根拠はマッカーサーの発言ですが、マッカーサーは安全対策といってはいますが、自 存自衛などという言葉は使っていません。使ってもいない言葉を発言の要約として使用すること で、展示者の史料への不誠実さをしめしているといえます。中国の展示館が史実を示すことを反 日展示として非難することも学問的誠実さを欠いたものです。南京事件の実態についても南京事 件そのものがなかったような当時の写真と否定本を紹介することでは真相究明になりません。 「近現代史研究会」が構成した展示は、過去の戦争や占領・植民地支配を反省する視点やアジ アの戦争被害者の尊厳回復への理解がなく、自分に都合のいい資料のみを継ぎたし過去の戦 争を美化するものです。会場で配布されていた近現代史研究会のチラシにはマッカーサー、二ミッ ツ、パール、スーチーなどの記事がありますが、日本の戦争が自衛・アジア独立のためであり無 罪であることと日本軍人への評価を導きたいがための資料にすぎません。 このような視点での展示は、憲法の基本的精神や国際理解・共生・友好の理念に反するもので あり、市民の平和的精神の育成やアジアの友好平和につながるとは思われません。このような展 示を後援する市と市教委の歴史認識は厳しく問われるべきであると考えます。このような展示を 後援する市のもとで生活する市民や在日中国人、コリアンなどの外国人の不安感をこそ理解すべ きです。後援は平和を求める浜松市民の志を踏みにじるものであると考えます。 よって後援に対し市と市教委に再度抗議するとともにその撤回をここに要請します。 |