1小牧・2朝霞・3呉

1 04.1.17 小牧人間の鎖 報告

1月17日愛知県小牧基地前でイラク派兵に反対する人間の鎖行動が取り組まれた。昨年12月7日の小牧での全国集会、12月24日の派兵部隊編成式への抗議行動に続いて、浜松からも参加した。今回は静岡の平和と人権のための市民行動のメンバーを含め四人での参加だった。

この日は大粒の雪が舞っていた。12時に小牧基地前に着くと、基地前には機動隊の列があり、その前で、右翼の街宣車2台が執拗に人間の鎖行動を妨害している。

2人の右翼青年がヘルメットと安全靴姿で身を包み徒歩で鎖に入り込む。その脇に公安がつき監視する。一人は日の丸を掲げている。そしてかれらは言う。「平和のために自衛隊を送ろう」「戦争反対は平和ではない」「派遣大賛成」「戦勝祈願を」「八紘一宇の精神を!」「みんなで送り出そう」「人間の鎖は本日中止です。」「ピースアクションは左翼です、善良な愛知市民の皆さん、だまされてはいけません」「革命をしたければ北朝鮮へ行け」などなど。見ると拡声器には「経済制裁を」のステッカーが張ってある。

戦争参加を平和とし、日の丸を振り、派兵をすすめ、反戦を否定し、朝鮮への経済制裁を語る姿はこの右翼青年だけのものではない。この国の政府の姿でもある。

1時過ぎに、小牧基地へと派兵反対を訴えてデモ行進をおこなってきた県労連、新婦人ほかのグループ、約1000人が人間の鎖に合流した。人間の鎖への参加者は1400人ほどになり、鎖は基地正門を中心に1・5キロほどになった。

鎖は12時40分、13時20分、30分と3次にわたってつながれ、最後の鎖では数回にわたって人間の鎖のウエーブが繰り返された。雪と寒風のなか「自衛隊はイラクに行くな!殺すな!死ぬな!」と記された横断幕が大きく上下に揺れ、「イラク占領をやめろ!占領に加担するな!イラク派兵反対!」の声が基地周辺にこだました。

人間の鎖ののち、人間の鎖を中心になって担ったピースアクションの仲間による基地への申し入れがおこなわれた。ピースアクションの要請書、NO!AWACSの会の要請書が次々に読まれ、自衛隊員への反戦の呼びかけに合わせ「そうだ!」と参加者が声をあげる。広島、東京のメッセージもここで読まれ、京都からの参加も紹介された。

この国はテロとラチを口実に戦争国家化をすすめてきた。その姿は、戦闘服姿で日の丸を掲げて介入してきた右翼青年と同等のものであるとも思われた。99年の周辺事態法と国旗国歌法の制定後におこなわれた東京でのアジアの戦争被害者の証言集会場前で妨害をおこなった右翼の姿を思い出す。そのとき、日の丸が右翼の宣伝旗ではなく政府自身の公認の旗印となったことを感じた。これらの右翼が背広を着れば、石原、麻生、西村、小泉となる。ともに、過去の戦争犯罪を隠蔽し、現在の戦争をすすめる人々である。

小牧での人間の鎖行動ののち、浜松駅前でピースアピールのチラシまきを10数人でおこなった。その後愛知から不戦ネットの山本さんを講師にイラク派兵を問う講座を持った。参加は20人。この日、浜松基地からも7〜8人のイラク派兵要因があることが報道された。

この日は、浜松を派兵の拠点とさせないための取り組みがいっそう求められることになった日でもあった。

                            (竹)

以下小牧基地への浜松からの要請書

 

日本国首相様                                   2004年1月17日

小牧基地司令様                                 NO!AWACSの会浜松

 

イラクへの空自本隊派兵の中止とイラク派兵計画の撤回を求める要請書 

 政府は1月16日午後に東京・市ヶ谷で陸自イラク先遣隊約40人の完結式・隊旗授与式を行い、夜、旭川からの約10人や陸幕監部を含む陸自先遣隊を派兵しました。また、ロシア機をチャーターし、16日に装甲車両などを積み込みました。

わたしたちはここに空自先遣隊に続く陸自先遣隊の派兵に抗議し、C130をはじめとするイラク派兵計画の撤回を強く求めます。

政府は今後、一月下旬には空自の本隊、2月中旬には約70人の基地建設のための施設部隊、その後2月下旬から約一ヶ月かけて、陸自480人を3次にわたり派兵する予定といいます。さらに、政府はこのイラク派兵を「復興支援」活動としてごまかすために40億円もの拠出を決めました。しかし、その80パーセント近くは警察車両の導入であり、米軍占領を支えるものです。

一方、日本国内約650箇所で「対テロ」警戒態勢がひかれ、マスコミに対しては報道統制も強化されました。さらに、旭川では「自衛官の無事を祈り、留守家族を支援する」ために黄色いハンカチキャンペーンまで行われるようになりました。

 まさにこの国は参戦し、戦時体制への組み込みが始まっています。このような戦時体制への組み込みをすすめる政策に対し、抗議します。

今回の派兵は集団的自衛権の海外での行使であり、米軍のイラク戦争への加担です。これは明確な憲法違反であり、平和を侵すものです。また、この派兵は市民のイラク派兵反対の多くの声に逆らうものであり、報道統制や日本国内での警戒強化をともなうものです。それは人権侵害です。さらに派兵された「自衛官・家族への支援」の名によって、反戦平和と撤兵の声を覆い隠そうとする新たな戦時動員が強められているのです。

かつて、日本は中国東北(満州)を自らの謀略によって侵略を始め、それを中国側の責任にし、戦争と言わずに「事変」と呼びました。抵抗した中国人を「匪賊」と呼び、「討伐権」を主張し、たくさんの中国人を殺しました。国内の戦争反対者は「治安維持」の名によって検挙されました。「遺家族援護」の名で「精神総動員」も行われ、戦争拡大と統制の強化の中でマスコミは「大本営発表」を重ね、市民を偽りました。このような道を繰り返してはなりません。

自衛隊員の皆さん、空自の自衛隊員のイラク派兵は、小牧、春日、小松など全国からの派兵となっていくと見られます。首相は「戦争に行くのではない」「憲法違反ではない」「復興のため」と大言しますが、「それはおかしい、ウソだ」と感じる隊員の方も多いと思います。自衛隊員の命をもてあそび、「国益」や「テロとの戦い」を宣伝し、一部の利権集団の利益のための派兵がおこなわれようとしています。今、政府自らが折り鶴に放火するような行為を繰り返し、自衛官の命を燃やして利権を得ようとしているのです。

今回の派兵はアジア太平洋戦争以後の最大の歴史的誤りです。このような憲法を蹂躙する政策や誤った命令に服従する義務はまったくありません。「戦場に行かない」という勇気こそ求められています。英知を絞って派兵を拒否してください。行かないことで処罰はされません。皆さんは主権者であり、国民としての人権があります。処罰されるべきは憲法に反している政府です。

基地司令は派兵に反対の意見を上申すべきです。それが隊員の命を守ることになり、日本の民衆の利益にもなります。西アジアの民衆は、米軍を支援しての日本の軍事的侵攻を求めてはいません。基地司令の周辺の将官にもイラク派兵への異議が多いと思います。「イラクに自衛隊がいく必要はない」「憲法を守れ、戦争に行くな」という市民の声を受け止めてぜひ発言してください。

憲法があるからこそ、自衛隊員はその生命を、海外での戦争で失わずにきたのです。皆さんが海外で戦争することがなかったのは、反戦平和を呼びかける市民の声が強かったからです。反戦平和を呼びかける市民を敵視してはなりません。

戦場に派兵するにもかかわらず、「戦争に行くのではない」といって恥じない首相に追随する義務はまったくありません。隊内からの異議申し立てが今こそ必要です。隊内の皆さんの本当の気持ちを、ぜひ市民に伝えてください。

 私たちはよびかけます。自衛隊はイラクに行ってはいけません。イラクの人々を撃つ側にたってはいけません。自衛官は死を「名誉」とする道を選んではなりません。派兵の拒否は真の勇気であり、それが現行憲法の理念であり、人としての道です。

 よって以下を要請します。

 一、首相はイラク派兵計画を撤回し、即時撤兵すること

一、司令はイラクへの自衛隊の派兵に反対する旨を上申すること

一、司令は自衛官が憲法上の人権を有し派兵の拒否権があることを公認すること

一、自衛官はイラクへの派兵を拒もう。

一、自衛官は戦争と派兵に反対する市民の声をうけとめ、市民とともに歩もう。

 

2朝霞

陸自朝霞基地司令様                  2004年1月18日

基地内自衛隊員様                   NO!AWACSの会浜松

朝霞での日米共同訓練の中止とイラク派兵の中止を求める要請書

 2004年1月下旬に、陸上自衛隊朝霞の基地で日米共同指揮所演習がおこなわれようとしています。今回の訓練は、日本は東部方面隊の第1師団など、米軍は第1軍団、在日米軍陸軍司令部、第9戦域支援コマンド(座間)、第3海兵師団(沖縄)、第5空軍などが参加するものであり、アメリカの海外侵攻用の部隊と日本の第1師団などが共同で戦争指揮の訓練をするというものです。

 今回は自衛隊のイラク派兵をひかえての共同の戦争訓練です。このような訓練、日本国憲法の平和主義に反するものであり、アジアの民衆に再び銃口を向けることにつながるものです。わたしたちは今回の訓練の中止を強く要請します。

 ガイドライン策定後の1980年代初め、東富士で日米共同訓練をおこなったときに、防衛庁は「同じ場所でおこなうが指揮は別であるから共同の指揮ではない」と言
い訳をしました。しかし、その後共同訓練は拡大され、三軍の統合共同訓練にまですすみました。

 さらに1990年代には新ガイドライン策定の中で、「周辺事態」を想定しての共同訓練がおこなわれるようになり、アメリカに移動しての日米共同指揮所演習もおこなわれてきました。このなかで、陸自はゲリラ戦を想定しての訓練を強め、富士でのゲリラ戦用訓練施設の建設がすすみました。2002年には第1師団の34普通科連隊(静岡県板妻)がハワイに行き、米軍の海外侵攻部隊のもとでゲリラ戦の訓練までおこないました。

 まさに自衛隊は米軍とともに行動する部隊としての訓練を積み重ねてきました。この末に、現在のイラク派兵があるのです。「復興人道支援」という美名は「米軍支援」
を隠すものにほかなりません。日米の共同訓練は米日の軍拡と米軍のアジア侵攻とともにありました。それは、アジアの武器なき平和をすすめる民衆の動きに反するものです、わたしたちはこのような共同訓練の拡大に抗議し、訓練の中止を求めます。

 自衛隊員の皆さん、陸上自衛隊員のイラク派兵は、北海道から東北、関東へすすむといわれています。首相は「戦争に行くのではない」「憲法違反ではない」「復興のため」と大言しますが、「それはおかしい、ウソだ」と感じる隊員の方も多いと思います。自衛隊員の命をもてあそび、「国益」や「テロとの戦い」を宣伝し、一部の利権集団の利益のための派兵がおこなわれようとしています。

 今回の派兵はアジア太平洋戦争以後の最大の歴史的誤りです。このような憲法を蹂躙する政策や誤った命令に服従する義務はまったくありません。「戦場に行かない」という勇気こそ求められています。英知を絞って派兵を拒否してください。行かないことで処罰はされません。皆さんは主権者であり、国民としての人権があります。処罰されるべきは憲法に反している政府です。

 基地司令は派兵に反対の意見を上申すべきです。それが隊員の命を守ることなり、日本の民衆の利益にもなります。西アジアの民衆は、米軍を支援しての日本の軍事的侵攻を求めてはいません。基地司令の周辺の将官にもイラク派兵への異議が多いと思います。「イラクに自衛隊がいく必要はない」「憲法を守れ、戦争に行くな」という市民の声を受け止めてぜひ発言してください。

 憲法があるからこそ、自衛隊員はその生命を、海外での戦争で失わずにきたのです。

皆さんが海外で戦争することがなかったのは、反戦平和を呼びかける市民の声が強かったからです。反戦平和を呼びかける市民を敵視してはなりません。戦場に派兵するにもかかわらず、「戦争に行くのではない」といって恥じない首相に追随する義務はまったくありません。隊内からの異議申し立てが今こそ必要です。隊内の皆さんの本当の気持ちを、ぜひ市民に伝えてください。

 私たちはよびかけます。自衛隊はイラクに行ってはいけません。イラクの人々を撃つな。自衛官は死を「名誉」とする道を選んではなりません。派兵の拒否は真の勇気であり、それが現行憲法の理念であり、人としての道です。

 よって以下を要請します。

一、 朝霞での日米共同訓練を中止すること

一、 司令はイラクへの自衛隊の派兵に反対する旨を上申すること

一、 司令は自衛官が憲法上の人権を有し派兵の拒否権があることを公認すること

一、 自衛官は戦争と派兵に反対する市民の声をうけとめ、市民とともに歩もう。

 

   1・11 呉でのイラク派兵反対行動に参加

04年1月11日、広島県呉市でピースリンクのメンバーらが呼びかけておこなわれた派兵反対行動に参加した。北海道、名古屋、浜松、関西、九州の仲間も参加して約100人が陸と海上からイラク派兵反対を呼びかけた。会場は海上自衛隊の軍艦が見える昭和町の公園。

 13時過ぎに全国でのアクション111に連動して音を出し、14時ころから平和船団のゴムボート16隻が海上にでて行く。海上で「9条を殺すな!」「イラク派兵反対」と書かれた幕が広げられる。その幕のかなたに、潜水艦とともに強襲揚陸艦の「くにさき」「おおすみ」が見える。イラク派兵にはこの強襲揚陸艦の使用がもくろまれている。

 すでに呉は派兵拠点となり、とりわけテロ特措法成立以来インド洋派兵を繰り返している。平和船団は、広島からこれ以上の派兵を繰り返してはならないと強襲揚陸艦の方向にむかい、「くにさき」の付近まで近づき、派兵反対のアピールを繰り返す。札幌の仲間が、日常がすでに戦時となり、陸自が雪祭りへの協力を中止するといって脅していることやいっそう派兵に反対していくことの大切さなどを訴える。

 陸では「平和な世界がきっとやってくる」といった歌や踊りがおこなわれ、各地からの参加者が「専守防衛から国益防衛」へと変質している自衛隊の現状を批判したり、自衛官への反戦平和の呼びかけなどをおこなった。

 14時30分ごろ、陸の集会場には広島からピースサイクルの仲間が到着し,連帯のアピール。集会の最後に平和船団とともに「自衛隊はイラクに行くな」「派兵命令を拒否しろ」「人道支援はうそだ」「戦車揚陸艦おおすみは行くな」とコールを繰り返した。

 その後、公園から呉基地(海自地方総監部)までデモをおこなった。反戦の歌やコールでイラク派兵反対を呼びかけながら歩いた。軍事基地とともにある石播の工場を抜けると呉の基地正門に着いた。途中基地内から外を展望する見張り台があって、そこに監視する自衛官の姿があった。

 基地前から基地の中を見ると、「規律振粛月間 12月10日〜1月20日」とある。基地前で、主催者側からの要請書が読まれ、札幌、浜松からも要請書が出され、最後に愛媛の仲間が憲法9条の手ぬぐいを当直者に手渡した。最後にイラク派兵に反対し、自衛官に反戦平和を呼びかけるアピールを行いこの日の行動は終わった。

以下、浜松からの要請書の概略。

イラク派兵の中止を求める要請書(呉基地司令・首相あて)。

 政府はイラクへと自衛隊を派遣しようとしています。わたしたちはこの計画の中止を求めます。広島平和公園では原爆の子の像の折鶴が焼かれ、監視カメラがおかれていますが、今折鶴を焼こうとしているのは政府ではないでしょうか。派兵は自衛官の命を燃やすことにもなります。首相・司令はよく考えてください。人道支援は米軍支援の隠れ蓑です。米軍は派兵された自衛隊の分を治安維持にまわします。アメリカによるイラク戦争は侵略であり、その延長にある占領は間違っています。今すぐに撤兵すべきです。

 よって以下を要請します。首相はイラク派遣計画を撤回すること,司令は派兵の中止を上申すること、隊員は派兵を拒否すること、隊員の人権を尊重すること、司令と隊員は反戦平和を求める市民とともに歩もう。(以上)

 今回の呉行動に参加する前後に、平和公園と資料館、大久野島の毒ガス史跡と資料館を見る機会を得た。その報告は「戦争史跡の旅」として別途記したい。

折鶴を 政府が燃やして イラク派兵

ヒロシマに 大久野・呉の 展示なし

自衛官の 命を燃やし イラク派兵

派兵NO!の コールが響く 呉の街

民でなく 監視カメラよ 国を見ろ   

( 竹内)