2・12陸自第9次派兵・練馬行動報告

2月12日、東京練馬の城北中央公園で「自衛隊をイラクへ送るな・もどせ練馬集会」がもたれ、市民団体や各政党など700人余が参加した。集会では立川・神奈川・千葉・愛知・静岡など各地からの参加者が発言し、労働現場からの発言もおこなわれた。集会後、第1師団の拠点である練馬北基地に向かってデモ行進がおこなわれた。途中右翼集団が宣伝カーから「エセ平和市民集会を殲滅せよ」「自衛隊がんばれ」などと妨害宣伝をおこなったが、中学生がマンションから声援するなど多くの市民がデモを支持する風景がみられた。

基地前では東京現地からの要請文とともに、第9次群長(板妻34普連)が出る静岡からの要請文も読まれた。基地側は要請者人数を制限し、門を閉ざし、内部から録画するなどこれまでに見られない頑固な対応だったが、要請団は自衛隊員に派兵中止を強く呼びかけた。

 

以下は静岡からの要請文

                   2006年2月12日

日本国首相様・練馬駐屯地司令様・第9次派兵隊員様

陸自第9次イラク派兵要員の自衛隊員のみなさんへの要請書

富士を撃つな!実行委員会
             
(平和と人権のための市民行動 NO!AWACSの会)

イラクへと派兵されようとしている陸自第9次イラク派兵要員の自衛隊員のみなさん!わたしたちはみなさんに、イラクに行ってはいけないとここに呼びかけ、要請します。

 今回のイラク戦争はアメリカによる侵略です。大量破壊兵器はなく、イラクと「テロ組織」とが無縁であることもあきらかになっています。日本政府はこの戦争を支持し、「人道復興支援」の美辞麗句でイラク派兵をすすめましたが、その誤りもあきらかになりました。にもかかわらず日本政府が誤りを認めず、さらにみなさんをイラクに派兵しようとしていることに強く抗議し、本日練馬基地前に集まっています。

自衛隊員のみなさん!イラク戦争は国際法に反する犯罪であり、みなさんがそれに加担する必要は全くありません。不当な命令には拒否する権利があります。いまからでもおそくはありません。みなさんは「イラクには行かない」ときっぱりいうことができます。

自衛隊員のみなさん、みなさんがアメリカの劣化ウラン弾や燃料気化爆弾まで使う戦争を支援することは契約外です。みなさんは、イラク南部での米軍の陸上輸送ルートの確保と宣撫のために、「人道復興支援」の名で配置されているにすぎません。隊内で、この戦争は間違っている、派兵も間違いだと発言してください。戦場に向かわせ、「誇り」を語ることは偽りです。

 先月の22日、群長は板妻でおこなわれた派兵壮行会の際の記者会見で、「第1に安全確保を重視」すると言いましたが、第の安全はイラクに行かないことです。群長が会見した日、サマワ市街ではイギリス軍が交戦しています。サマワは戦闘地域です。「非戦闘地域」への派遣を決めたイラク特措法からみても、派兵は中止すべきです。

 群長は派兵準備司令を受けて、「光栄に思う」と言っていますが、戦場に行くことは「光栄」ではなく、悲惨なことです。政府のいう復興支援は派兵のための方便です。  

群長は首都圏防衛部隊のイラク派兵についても、「疑問や動揺を感じなかった」といっています。おそらく内面ではさまざまな疑問を持っているのでしょうが、この間、そのような気持ちを隠蔽して、派兵の積み重ねがあります。本当のことをきちんと言うべきでしょう。第1師団の派兵自体に疑問を持ち、それを上申することも任務のひとつです。

 群長は、サマワは全般的に安定していて「不安はない」とも発言しています。しかし、多くの市民が不安を感じています。壮行会では隊員が「生きて帰ってきます」と発言していますが、それは不安を払拭するためのものです。不安はあるのです。

陸自が米軍と共同の戦闘をおこなってこなかったのは、米軍に対しての陸自のある意味での抵抗といっていいでしょう。戦争の口実のウソが明らかになっている今日、群長はすぐに撤収を具申すべきです。それが隊員の生命安全を守ることになります。死者を減らす行為が武器を持つものの努めです。世界の市民がその決断を支持するでしょう。

群長はムサンナ県の反対する方々にも理解を得るように努力するとも発言しています。イラクの外国軍を占領軍とし、反対することは正当な自衛行為です。日本は派兵を中止し、本当の意味での復興支援策を再検討すべきです。まだイラク人と直接交戦してはいません。交戦前に撤兵することが、第1に求められています。

群長は板妻のイラク兵要員全員が「希望者」であるといます。しかし、希望させるような誘導があり、隊員が人前で「熱望していた」「ぜひ行きたかった、自分の安全は心配していない」「クールに任務を達成」と語るほどまでにコントロールされているようにみえます。

群長は静岡県を代表する部隊として「誇り」を持って任務に就く、「安心して応援して」と発言していますが、あなた方は競技選手団ではありません。市民が軍事組織を県の代表として選出したことは一度もありません。殺し殺しあわされる関係へと自衛隊員がおいやられた時に、主権者であるわたしたちができることは「応援」ではなく、派兵の中止と即時の撤兵を求めることです。それが群長をはじめ自衛隊員のみなさんの生命を守ることになります。

今回派兵される板妻の第34普通科連隊などは、米軍の指導下で市街戦訓練もおこなってきました。また富士には市街戦訓練場がつくられ、米軍とともに海外での市街戦闘をおこなう訓練がすすめられてきました。しかし日本には交戦権を禁じた憲法第九条があります。そのため、イラクに派兵されても米軍と共同しての戦闘は今もおこなわれていません。 

それは第9条がみなさんの生命を今も守っているということです。上官の中には改憲に加担する人がいるかもしれませんが、第9条こそみなさんの命を守る法律です。公務員には法を守る義務があります。隊内から断固として9条擁護の声をあげてください。

自衛官のみなさん、みなさんが銃口を向ける相手には、民族・宗教が違っても、親があり、子があり、兄弟姉妹がいます。みなさんが銃口を向ける相手は、民族は違っても同じ人間であり、みなさんの兄弟姉妹、親子です。米軍が多くの子どもを含む市民を殺し、収容施設などで市民を虐待していることは広く明らかになっています。そのような米軍を支援してはなりません。

わたしたちはみなさんの派兵に反対します。その声が、たとえみなさんがイラクに派兵されても、みなさんを米軍の殺戮行動と同じ行動へと駆りたてず、かつ早期の撤兵を勝ちとる力であると確信します。みなさんは軍服を着てはいますが、わたしたちの兄弟姉妹です。みなさんの血を以て、利権を得るものたちをこそ、わたしたちは強く糾弾します。

この戦争自体が犯罪です。そのような戦争を支援するための誤った命令には、抵抗できます。それは自衛官を含めての市民の権利です。イラクに行くことは殺しあう関係へとみずからを追いやることであり、わたしたちはこの派兵の中止と撤兵をもとめつづけます。

イラク戦争開戦前には1500万人の世界の市民の反戦デモがありました。帰還米兵のなかからは反戦を呼びかける兵士もあらわれています。

派兵隊員のみなさん!わたしたちはみなさんに呼びかけます。イラクに行くな!派兵は拒否できる!兄弟姉妹を撃つな!民衆に銃口を向けるな!

何度でも呼びかけます。イラクに行くな!派兵は拒否できる!兄弟姉妹を撃つな!民衆に銃口を向けるな!と。隊員のみなさん!戦争に反対し平和を求める市民・労働者と固く団結しましょう。