2・19浜松基地への要請書 2通
 @人権平和浜松・NO!AWACSの会
 A核とミサイル防衛にNO!キャンペーン                                                  
          
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浜松基地司令様・                     NO!AWACSの会

日本国首相様                       人権平和浜松

   浜松基地へのPAC3(新型パトリオット)配備の中止を求める要請書

2005年秋、航空自衛隊浜松基地へのPAC3配備が報道されました。浜松基地には、かつてはナイキミサイルが配備され、さらに80年代にはパトリオットミサイルも配備されました。このパトリオットは浜松の高射の教育部隊と整備の教育部隊で使用されています。今回新型のパトリオットPAC3の配備の中止を要請します。浜松基地の渉外は「PAC3のウツワだけが来る」「配備ではなく導入である」といっていますが、PAC3全国配備の一環であることに変わりはありません。

アメリカは宇宙と情報の覇権を確立し、新たな地球戦争(グローバルウォー)を開始しています。ミサイル防衛計画(MD)はこのアメリカの地球戦争体勢を支えるものです。イラク戦争のようなアメリカの侵略的な先制攻撃に対し、相手側が攻撃してきたときの防衛計画がMDです。MDは「防衛」ではなく極めて侵略的な態勢のものでのミサイルシステムなのです。このMDではアメリカの衛星からの情報をもとに、イージス艦からのSM3と地上からのPAC3などの迎撃態勢がとられます。このPAC3はミサイルに直接に当てて撃墜するというものですが、迎撃実験によるPAC3の成功率は低く未完成のものです。これまでのパトリオットミサイル(PAC2)は近くで爆発して航空機などを撃墜するというものでしたが、MDのもとでのPAC3PAC2とは質的に異なるミサイルです。

MDはアメリカの地球戦争作戦に組み込まれたものであり、このMDでのPAC3浜松配備は、アメリカによる宇宙を支配しての地球戦争計画に、郷土浜松を組み込むものです。また、PAC3は1発5億円もし、部隊のPAC3改編費用も数百億円といいます。これらは税の無駄遣いです。さらにPAC3の生産販売ではロッキードマーチンや三菱重工などの死の商人が利益をあげるようになっています。またMD配備にともない、横田基地での日米の共同作戦司令部の形成もすすめられています。

このようにMD計画は宇宙の平和利用原則、日本国憲法の平和主義、文民統制、集団的自衛権禁止、武器輸出3原則などに反し、民衆への監視を強め、アジアでの軍事的緊張をたかめるものであり、PAC3は日本の平和原則を破壊するMDを象徴する兵器です。そのようなものは要りません。

わたしたちはアジアをはじめ世界の平和的な生存を希求します。また浜松を戦争の拠点にしてはならないと考え、かつてアジアへの爆撃の拠点であった浜松を、再び戦争と派兵の拠点とする動きに強く抗議します。浜松からはすでに15派にもおよぶイラク派兵が繰り返され、さらに2005年末には芦屋からの訓練機の増加配備も通告されています。これ以上の軍拡と派兵の継続は止めてください。

PAC3浜松配備計画はすぐに中止すべきです。よって以下を要請します。

基地司令はPAC3配備の中止を上部に具申すること

首相においてはPAC3配備とMD導入を中止すること


                        要請書            
  浜松基地司令様

  先制攻撃態勢づくりに加担する浜松基地へのPAC3ミサイル配備の中止を求めます

 日本列島は今、米国の「ミサイル防衛」(MD)という名の攻撃的軍事システム構築の格好の実験場とされつつあります。日本政府が「純粋に防御的」と強弁するMDの本質は、相手ミサイルを無力化することにより、自らの攻撃力を万能のものとすることにあります。米軍は、発表された国防計画の見直し(QDR)に見られるように、中国をみらんで空母戦闘群と潜水艦を太平洋にシフトし、即応能力を強化しようとしています。また、現在進められている「米軍再編=日米同盟変革」により、自衛隊は米軍による世界大の「対テロ戦争」ネットワークに統合されつつあります。

 MDはこうした動きのシンボルであるとともに、それを推進する「カンフル剤」としても機能しています。MDを通して米軍と自衛隊の情報ネットワークは直結され、横田基地には日米共同戦闘司令部が設置されようとしています。これらが憲法で禁じられた集団的自衛権の行使をもたらすことは言うまでもありません。また、青森県の航空自衛隊車力分屯基地には米国土向けミサイルを迎撃するための最新型早期警戒レーダーであるXバンドレーダーが半年以内にも配備されようとしています。これは日本をまさしく「米国の盾」と化すものであり、MDの狙いを端的に示すものです。

 今や日本政府は、かつて表明した「主体的運用」との建前さえ公然とかなぐり捨て、米国のMD戦略に積極的に加担しています。3月にはハワイ沖で、日米共同開発を決定した次世代の海上配備型迎撃ミサイルSM3の初の日米共同迎撃実験が強行されようとしています。そして、2006年度末にも配備が開始されようとしているパトリオットPAC3ミサイルは日本のMD導入の先駆けとなるものです。PAC3は1発5億から9億円にのぼると言われ、ライセンス生産する三菱重工に巨額の軍事利権をもたらします。MD開発は日米軍需産業に莫大な利益を提供する軍事的公共事業そのものです。

 迎撃の精度自体が極めて疑わしいMDとは、結局のところ「反撃されても大丈夫」と人心を操作する「安心偽装システム」であり、そのことにより米軍の先制攻撃の敷居を低める効果をもたらすものに他なりません。MD導入と引き換えに私たちは、武器輸出禁止三原則、宇宙の平和利用原則、集団的自衛権の不行使原則、文民統制など憲法9条のもとで形づくられてきた原則の多くを失うことになるのです。さらに、米国のMD構想がその延長線上に宇宙兵器の配備と宇宙の戦場化をも辞さぬものである以上、日本の積極的加担の罪はあまりにも重いと言わざるを得ません。

 浜松を、東北アジアの緊張を高め、住民をむしろ危険にさらすことになるMDの拠点とすることは許されません。私たちは浜松基地へのPAC3ミサイル配備の撤回とMD計画事態の中止を強く求めます。私たちの安全は、兵器の増強ではなく、粘り強く信頼関係を構築する外交の力、言葉の力と地域の軍縮によってこそもたらされると確信します。

2006年2月19日  核とミサイル防衛にNO!キャンペーン