「くるな!給油機2・23大行進」
愛知県小牧基地行動 2008.2.23
 

2008年2月23日「くるな!給油機2・23大行進」が不戦へのネットワークの呼びかけで取り組まれ、60人が参加した。この日の抗議行動は、配備予定から約1年遅れの2月20日に空中給油輸送機(KC767)の1号機が岐阜の各務原基地に飛来し、29日には小牧基地に配備されようとし、さらに2号機の配備も予定されている中でものだった。

この空中給油輸送機の配備は戦闘機やAWACSの海外での戦闘と警戒指揮を可能にする。また一機での物資の積載量が従来の1・5倍、世界各地に直接200人を輸送できるというように、この配備によって小牧基地の海外輸送機能もいっそう強化される。小牧基地内には150人規模の新部隊が編成され、給油や輸送訓練がおこなわれることになる。すでに空自は小牧基地などからイラクへと14期のべ3000人ほどの隊員を派兵している。

 2月23日の行動は、三菱小牧工場西側にある公園から小牧基地正門までの7キロ、小牧基地の3分の2を歩くというものであった。最初にF2や戦闘ヘリなどを製作する三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所(小牧南工場)に平和産業への転換などを要請し、途中にある基地南端の公園で集会、さらに小牧基地で空中給油機の配備に抗議する要請をおこなった。

三菱はミサイル防衛にもかかわり利権を得ている。PAC3のライセンス生産は三菱重工名古屋誘導推進システム製作所(小牧北工場)でおこなわれている。浜松基地に2008年度に配備されるPAC3はここから浜松へと搬入される。この浜松配備分の三菱のPAC3受注額は540億円という。

 デモ参加者は、歌や打楽器のリズムと共に「C130はイラクから戻れ」「海外派兵のための空中給油機導入反対」「小牧を派兵拠点にするな」「PAC3配備反対」「PAC3を浜松にも各務原にも持ってくるな」「三菱は軍需生産を止めろ」「ブッシュの戦争に加担するな」などとコールをあげた。

 空は荒れ模様、強風が横断幕を揺らし、基地前では凍った風と大粒の雪が吹き荒れた。そのなか、グローバル戦争を始めたものたちの偽りを明らかにし、その戦争を終わらようとする民衆の草の根からの声が小牧基地周辺に響いた。                                (竹)

 

 以下、浜松からの要請書

 

三菱重工社長様                     2008年2月23日

                        人権平和浜松 NO!AWACSの会

 

   PAC3のライセンス生産の中止と強制連行被害者への賠償などを求める要請書

 三菱重工は国連の「グローバル・コンパクト」に参加し、それを宣伝しています。「グローバル・コンパクト」とは、企業による人権・労働基準・環境・腐敗防止についての国際的規範の実践です。その10原則には、国際的人権の擁護・人権侵害への不加担・団結権団交権擁護・強制労働の排除・児童労働廃止・雇用・職業での差別撤廃・環境問題への予防とイニシアチブ・環境技術の開発普及・強要や賄賂などの腐敗防止があります。

 さて三菱重工はこの「グローバル・コンパクト」の基準にあてはまるでしょうか。

三菱は軍需生産をおこない、長崎ではイージス艦を生産し、名古屋ではPAC3のライセンス生産も始めました。PAC3の08年浜松配備分としてミサイルと地上装置の2005年度契約額は約540億円といいます。

これらの軍需の生産のために、三菱の職場では監視体制が強化され、軍需生産に反対する労働者は排除され、労働組合を分裂させて御用組合を作られました。時には権力と連携してブラックリストを作りました。これらは人権侵害であり、団結権の侵害です。三菱はこれまでおこなってきた平和を志向した労働者や労働組合への差別や人権侵害を謝罪すべきです。そして平和産業への転換をすすめ、過去の人権侵害被害者の尊厳の回復をおこなったうえで、国際的な人権擁護を語るべきです。

三菱重工や三菱鉱業は過去の戦争時に10万人近い朝鮮人をはじめ、中国人や連合軍俘虜を強制労働させましたが、その謝罪と賠償を拒否しています。三菱重工名古屋では13歳ほどの朝鮮の児童をも強制労働させておきながら、被害者に対して、昔のことで知らないとか、別会社であるとか、時効であるなどとし、その責任をとろうとしません。そのような姿勢で、児童労働の廃止や強制労働の排除ができるというのでしょうか。

児童を含む過去の強制労働に対してきちんと謝罪し賠償し、強制労働をさせた主要企業として賠償基金を設立してこそ、国際的にも信用され、強制労働の再発防止に寄与する企業になるでしょう。フォルクスワーゲンのように過去の強制労働に対しての真摯な姿勢を世界に明らかにすべきです。

戦争は最大の環境破壊です。三菱は企業の成立以来、政府と結託し、兵員の輸送や石炭増産、軍用機・軍用船舶の生産で暴利をあげ、三菱財閥を形成してきました。しかし、それは各地で環境汚染を生み、三菱の作った兵器はアジアで多くの人々を殺しました。環境問題の予防を語るのであるのならば、今すぐ軍需生産から手を引くべきです。三菱は軍需生産から平和産業への方向でイニシアチブをとるべきでしょう。

いま、三菱は「ミサイル防衛MD」に加担し、宇宙の軍事化に関与して、数兆円という膨大な利権を得ようとしています。最近の防衛省の汚職問題の核心はこのMDです。三菱は最大の軍需産業であり、軍産官複合体となっています。三菱は「賄賂などの腐敗」の温床です。SM3は1つ20億円、PAC3は1つ5億円ともいいます。軍用機一機に数百億円・軍用艦一隻に数千億円もかけるのはもう止めにしましょう。三菱は人権・環境・平和を実現するグローバルな志向をもつ企業となるべきです。

いま、三菱重工は国連の「グローバル・コンパクト」を語り、それを実践しているような振りをしていますが、それは偽りです。その偽善は世界が知っています。

私たちは、三菱が人権侵害企業・軍需戦争企業から離脱するために、まず、PAC3のライセンス生産を中止し、強制連行被害者への賠償をおこない、防衛省との利権の縁を切ることを、ここに要請します。私たちは三菱がライセンス生産したPAC3が故郷浜松に配備されることに断固として反対します。

 

日本国首相様 防衛省大臣様            2008年2月23日

小松基地司令様 基地隊員の皆様          NO!AWACSの会

                         人権平和浜松

   イラクからの空自の撤兵とミサイル防衛計画の中止を求める要請書

 2003年のイラク戦争から5年を迎えようとしています。航空自衛隊のイラク派兵からは4年が経ち、小牧基地からすでに空自は14期もの派兵をおこない、約3000人の隊員がイラク戦争に派兵されました。「大量破壊兵器の保有」というイラク戦争の口実が嘘であったことは明らかになったにもかかわらず、アメリカは撤兵せず、航空自衛隊も米軍や物資の輸送をして米軍の侵略戦争を支援しています。わたしたちはここに空自の撤退を強く求めます。

 アメリカによるアフガン・イラク戦争は、宇宙の軍事覇権を握り、ミサイル防衛網を盾に先制攻撃をおこない、情報・諜報戦をすすめながら、大量破壊をおこなうという特徴をもっています。それは宇宙空間を利用してのグローバル戦争であり、劣化ウラン弾をも使い、深刻な環境汚染をもたらしています。このような戦争への支援は即、中止すべきです。このアメリカの戦争態勢のために、日本では「ミサイル防衛」によって、イージス艦のSM3や地上でのPAC3の配備が進められ、新たなミサイル軍拡を生んでいます。このようなミサイル軍拡も止めるべきです。数兆円にもなる軍事費は民衆の医療や福祉に使うべきです。

 このミサイル防衛を通じて日米の共同指揮所も作られ、集団的自衛権と交戦権が行使されようとしています。まさに憲法違反の態勢づくりがすすんでいます。けれども自衛隊員は派兵されても、イラクで米軍と共に戦闘をおこなっていません。それは交戦権を否認する憲法第9条第2項が存在し、それが自衛隊員の生命を守っているからです。私たちは憲法第9条第2項の意義をここに確認し、政府が米軍と共に戦争をするためにこの憲法を改悪しようとする動きを、中止することを求めます。

 いま小牧基地では、機動衛生部隊が新設され、空中給油輸送機の配備も近日中におこなわれ、次期輸送機(CX)の配備もねらわれています。空中給油輸送機の配備によって物資の積載量は1・5倍となり、世界各地に200人を派兵できるようになり、米軍との共同作戦範囲は全世界に広がりました。恒久派兵法の策定やスーダンへの派兵まで議論されています。小牧基地は空自の最大の派兵拠点になっています。また、小牧の三菱重工の工場は軍用機とミサイルの生産拠点になっています。わたしたちは小牧を戦争の拠点にしてはならないと考えます。空中給油輸送機の配備は中止すべきです。

 自衛隊員の皆さん!憲法を擁護し憲法違反である海外派兵に反対することは、皆さんの権利です。皆さんの生命を守っているのは憲法第9条です。

わたしたちは呼びかけます。空自はイラクから撤退すること、ミサイル防衛を中止すること、交戦権を否認する憲法九条第2項を改悪しないこと、空中給油輸送機の配備を中止すること。小牧を戦争の拠点にするな!憲法違反の派兵に加担する義務はない!