日本国首相様 防衛省大臣様 浜松基地司令様         2008419                                
                              人権平和浜松 

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   空自イラク派兵違憲判決をふまえ、イラクからの即時撤兵を求める要請書

 2008417日,名古屋高裁はイラクでの空自の活動を違憲とする判決を出しました。私たちはこの違憲判決を歓迎し、この判決によって、政府がイラクからの即時撤兵をおこなうことを要請します。政府は司法判断を謙虚に受け止め、撤兵計画を立てるべきです。また、これまでの米軍輸送の全貌を明らかにすべきです。

 そもそもアメリカによるイラク戦争は国際法に反する侵略であり、戦争の口実とされた「大量破壊兵器の存在」や「テロとの関係」は、後にアメリカ自身が否定しています。このような戦争を支持し支援することは誤りです。

 自衛隊派兵のために作られたイラク特措法では、派兵先を非戦闘地域とし、武力行使とは一体化しないことにしていました。しかし、空自のバグダッドへの米兵輸送は戦闘地域への輸送であり、それは兵站支援であり、武力行使と一体のものです。まさに憲法にもイラク特措法にも違反する無法を政府はおこない続けたのです。このように国内法を無視し、民衆に詭弁を弄するような政府は、国際社会では信用されません。

 イラク派兵は「人道復興支援」を口実に行われましたが、その真の目的は、陸自はイラク南方から北への輸送路の確保のためであり、空自はクウェートからイラクへの米軍物資・兵員の輸送のためでした。2004年初めからの空自の派兵は15期に及び、派兵人数はのべ2500人になり、現地での空自の輸送は700回ほどとなっています。とくに、20067月以後はバグダッドへの米軍輸送が輸送の中心となり、この2年弱で2万人もの米兵を輸送したといいます。 

小泉首相(当時)はこの派兵にあたり、「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」などとめちゃくちゃな発言を繰り返し、恥じることを知りませんでした。そのような政府の行為によって多くの自衛隊員が派兵を強いられました。輸送隊員の中には遺書を書いたものさえいるといいます。現場では「バグダッドが戦闘地域である」ことは常識であり、着陸時に弾よけのために旋回したり、フレアを出したりしていることはその証拠です。しかし政府は輸送実態を隠蔽して派兵を続けました。米兵の輸送に関しての具体的輸送状況を公開することはいまも拒み続けています。しかし、今回、違憲判決が出され、その判決は確定しました。

この判決に対し政府閣僚は派兵の継続を語っています。空自幕僚長にいたっては「関係ねえ」などと発言し、その無法を恥じようとはしません。このような幕僚長は辞任すべきです。

小牧基地から派兵されているC130は浜松基地で空色に塗装され、浜松南方の遠州灘沖でも飛行訓練をしています。また浜松基地からはこの4年間でイラクへと100人を超える隊員が派兵されました。この要請書を書いている今も、ウグイスの声を掻き消すように基地のヘリの轟音が響き渡っています。空色のC130が運んだ米兵はイラク各地で戦闘をおこない、多くの民衆を殺傷しています。浜松基地はイラクでの侵略戦争につながっています。私たちは浜松を再び戦争の拠点とさせないために、浜松基地前で、小牧基地前で、防衛省前で、イラク派兵の中止と撤兵を求めてきました。今回の判決はその思考と行動が正当なものであることを示すものです。

空自のイラク派兵を憲法違反とする判決の確定に、政府は従うべきです。首相・大臣はこれを機会に撤兵をすすめ、平和主義による正義の実現の道を選択すべきです。基地司令は撤兵を具申するべきです。以上要請します。