NO to G8 2008年7月
NO TO G8行動に参加した静岡の仲間が撮った写真です.
G8に世界を分割し支配する権利はないと訴えるパフォーマンス
世界各地から参加 「1万人のピースウォーク」集会 韓国からも参加
■「G8サミットを問う連絡会」への参加と賛同の呼びかけ
2008年7月、北海道洞爺湖において、G8サミットが開催されます。これにむけて、同年3月から、日本各地で閣僚準備会合なども行われていく予定です。私たち「G8サミットを問う連絡会」は、G8に疑問をいだく個人・団体からなる緩やかなネットワークです。この連絡会は、情報交換・連絡体制を整え、サミットに向けて取り組まれる様々なイベント、対抗アクションを支援することを目的としています。
G8サミットに参加する国々は、世界人口の14%を占めているに過ぎません。また、G8は国際法上の手続きを経た会合ではなく、非公式な会合にすぎません。この会合に意見を反映できるのは、多国籍企業経営者など招待された少数の人びとだけに限られています。それにもかかわらず、G8の合意は、世界の動向を規定しています。このような理由から私たちは、G8は非民主的であると考えています。
G8の政策目標は、「新自由主義」にもとづいています。「新自由主義」とは、「自由貿易」や「市場の自由化」が人々の利益を最大化するという世界観のことです。今日までに、「新自由主義」政策によるG8の提言は、世界中に様々な問題を引き起こしてきました。
第一に、G8は、IMF、世界銀行、WTOや、自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)などの協定とともに、貧困や債務問題を深刻化させ、先進国に有利な開発戦略を促してきました。
第二に、G8は、巨大アグリビジネスを優遇してきました。農畜産物の輸入自由化を強制することによって、世界中の小規模農家の生活基盤が破壊される一方、遺伝子組換え作物・動物が普及しつつあります。
第三に、G8は「規制緩和」を推しすすめてきました。たとえば、公共サービスの「民営化」は、鉄道、郵便、医療などのサービスを、利益優先の民間企業に開放してきました。この結果、生きるために必要なサービスさえ得られない人々がますます増えています。また、資本投資・金融の自由化はマネーゲームを横行させ、アジア通貨危機やサブプライムローン問題などの混乱を引き起こしてきました。
第四に、G8は「労働の不安定化」を引き起こしてきました。各国政府は労働法制の基準を緩めることによって、企業がフレキシブルに利用できる安い労働力を提供しようとしています。その結果、非正規労働者や失業者が大量に生み出されてきました。
第五に、G8は企業活動を優先し、環境破壊を黙認してきました。G8では、「地球温暖化」が主要議題とされ、その解決が宣言されています。しかしそこで掲げられている対策は、原子力発電の積極的推進、CO2排出権取引の投機市場化など、新たな問題を引き起こすものでしかありません。
第六に、G8はかつての植民地支配国であり、多くの戦争や武力紛争に責任を有する諸国です。そしてG8は今なお世界の武器輸出・軍事支出の大半を占め、主要な核兵器保有国が参加しています。その結果、G8サミットでは、先進国の安全保障が優先され、核兵器廃絶、軍縮、軍事基地の撤廃、紛争の平和的解決を求める人びとの声を反映できる枠組みとはなりえません。
第七に、G8は「テロとの戦争」の名目の下に、国内外の警察・軍事力を動員し、人々の生命や自由を奪い、人権を侵害してきました。アフガニスタン、イラクへの武力攻撃や軍事占領は、アメリカ合衆国を初めとしたサミット参加国にその主要な責任があります。「テロとの戦争」が国境監視、情報通信監視の強化を容認し、移民排除政策を正当化している点も見過ごせません。
第八に、G8では「ジェンダー」「エスニック・マイノリティ」「先住民族」「社会的に排除された人びと」などの問題がまったく取り上げられません。その結果、人びとの人権に関わる問題よりも国家と企業の利益が優先される結果になっています。
以上のような問題は、日本にとっても無縁ではありません。軍事主義にもとづく安全保障を推進するG8サミットに参加することによって、政府与党はアジア地域における唯一の参加国という優越性を喧伝し、同時にあたかも日米軍事同盟の強化や、九条改憲が国際的な支持を得ているように言いはるでしょう。しかし、G8の非民主性は明らかであり、そこでの結論が国際的なコンセンサスであるかのような虚偽を見す
ごすことはできません。また、G8の新自由主義的な政策目標と、夕張市に象徴されるような地方の経済破綻、ネットカフェ難民、社会の貧困化は無関係ではありません。他方で、G8のテロ・治安対策は、共謀罪法案などをつうじて、人権侵害になるような治安管理の強化にも結びついています。
私たちは、こうした関心をひとつでも共有できるみなさんとともに、G8の問題点を明らかにしていきたいと思います。近年、G8諸国でもそれ以外の国々でも、G8サミット主導の世界とは異なる、もうひとつの世界をつくろうとする潮流が現れてきした。私たちは、2008年の洞爺湖サミットをきっかけに、「新自由主義」や「テロとの戦争」などに対する様々な疑問を国内外の人びとと共有するとともに、それぞれの課題の実現にとりくむ機会をつくりだしたいと思っています。