浜松基地自衛官人権裁判第5回口頭弁論報告

 

2009216日、静岡地裁浜松支部で浜松基地自衛官人権裁判の第5回口頭弁論がもたれた。傍聴席は60人の支援者で埋まった。いま裁判では、国・自衛隊側が持っている事件調書などの証拠を提出させて事実を明らかにさせるためのやりとりがおこなわれている。この間、国側の書類提出が遅れていたが、今回の弁論までに国側はそれまでの隠ぺい部分を大幅に減らして事件調書類を提出した。

中日新聞09年2月17日記事

 今回の事件の際、基地側は調書類を作成し、人権侵害をおこなったNを処分している。今回、証拠としての提出の攻防が繰り広げられているのはこのときの自衛隊内部の調書類である。今回の提出によって、身体への危害を予告するような暴言やドライバーの取手や作業用ライトなどで殴打するといった暴行の具体的事例が明らかになり、部隊内での深刻な人権侵害の一端が判明した。

 弁論では被害者である原告側が、Nがいじめた理由、上司がいじめを知って転勤をさせようとした動き、Nによってセクハラを含むいじめにあった他の隊員の調書など、なおも隠ぺいされたままの部分の開示を要求し、さらにほかの調書や人事記録などの開示を要求した。裁判所側もできるだけ証拠を出すように国側に求めた。

 自衛隊側が不提出や不開示などの対応をとれば、裁判所側が文書提出を命令することにもなる。国側は43日までに裁判所に報告することになり、次回の口頭弁論は41310時となった。

 今後、提示された資料類の真偽を検証し、誤りには反論することになる。軍隊は不名誉な事態を隠蔽する体質を持っている。事実の改ざんを許さずに、真相を究明することが求められる。遺族の深い想いによる行動が共感を呼び、自衛隊の内外の関係者からも貴重な情報提供もでるようになった。それにより未見・未知の事実がつぎつぎにあきらかになっている。

宮崎や東京からの参加を含めた傍聴支援者は報告集会をもち、自衛隊内での人権侵害が自殺を生んだことは史実であり、隠ぺいを繰り返す自衛隊側の対応を変えさせ、法廷で真実を語らせねばならないという思いを新たにした。(T