211集会 
  安川寿之輔「戦争への道のりの過去と現在」講演会

2009年の2.11思想と信教の自由を守る静岡県西部集会は安川寿之輔さんを招いておこなわれた。安川さんの講演内容は「戦争への道のりの過去と現在」であり、福沢諭吉のアジア観を例に日本人の歴史認識を問うものであった。

安川さんは、日本の近現代史像を全面的に洗い直して、批判・克服することを呼びかけ、1万円札に福沢諭吉を印刷したまま使っている日本人の歴史意識を痛烈に批判した。また、福沢諭吉を評価した丸山真男を批判し、福沢の記した文書を示して、かれの差別観や侵略に向かう論理を明らかにした。そして、日本の近代化がアジア太平洋戦争に帰着した原因を追究し、戦争責任が希薄であることの問題点を指摘した。

さらに安川さんは、福沢が天皇制を「愚民を籠絡する」欺術として把握していたことを示し、福沢のアジア侵略に向かう「強兵富国」の志向を読み解いた。

 最後に安川さんは、福沢がアジア蔑視と侵略の先導者の役割を果たしたことを示し、日本人が侵略と植民地支配への戦争責任を放置したことの問題点を語った。

安川さんが、陸羯南が福沢を評して「抽象的原則」や「高尚な理想」のない人物と評したことの紹介が印象に残った。それは、哲学や理念・理想へのこだわりの大切さを再確認させるものだった。                    (T