09320

レシャードカレッド
 「アフガニスタンの最新事情とカレーズの会」浜松講演報告

 

カレーズの会静岡県西部支部の講演会がもたれ、理事長のレシャードカレッドさんが「アフガニスタンの最新事情とカレーズの会」の題で講演した。講演では、かつてのアフガンの美しい風景、アフガニスタンでの戦争の歴史、アメリカによるアフガン空爆と市民の声、カレーズの会の活動、日本の役割・課題などが提示された。

レシャードさんははじめに、赤い野生のチューリップやピスタチオの木などのかつてのアフガンの写真を示し、美しいアフガンの大地の風景を語った。写真を見ながらレシャードさんの故郷アフガンへの熱い想いを感じた。本当にアフガンを大切にするのなら、この大地に爆弾を落とすことなどできない。

戦争の歴史では、ソ連の介入や反ソゲリラ戦、タリバンの台頭などの経過が示された。雨が降ると地雷が露出しその横で被雷して死んだラクダの写真や、足を失った子どもたちの写真が印象に残った。敷設された地雷は2000万個、今も地雷の不発弾が800万個も残っているという。

さらにアフガンへの米軍による空爆の状況が示された。20092月のアフガン民衆の抗議の写真には横断幕に「STOP KILLING AFUGAN」と書かれていた。学校も標的にされて空爆され、戦争のなかで治安は一層悪化している。空爆の継続、復興の停滞、雇用の減少、動員解除の失敗、支援金の不正配分などアフガンの治安を破壊する要因がたくさんある。

カレッドさんはこの状況への市民の声を紹介した。それは、アメリカの軍事行動の見直し、アルカイダとタリバンの区別、軍事行動ではなく対話を、米海兵隊の増派は不要、アフガン国軍と警察の育成、国づくりのためのコミュニティづくり、地方への復興支援といったものだった。

緑が復元され、野菜が取れるようになった地域の写真は美しかった。軍隊や爆弾ではなく緑と命を、と大地が語りかけているようだった。

カレッドさんはカレーズの会の活動について紹介した。妊婦が10万人出産中、1600人が死亡し、医師や看護師の数も少ないというアフガンにおいて、医療の充実が第1の課題である。そして、うまれた子どもたちを教育する機関も求められる。カンダハルにできた新診療所に押し寄せる人々や公衆衛生教育の写真が印象に残った。学校での図書館建設や識字教育の話も大切なものだと思った。

最後にカレッドさんは日本の役割について話した。アフガンへのアメリカの増派はさらに治安を悪化させる。そのような軍事行動の強化ではなく、日本は自衛隊を送らずに、インフラや平和への貢献をし、対話路線を強化すべきである。警察を訓練し、民間の自衛武装も必要になる、という。

経済支援についても、2万円(200ドル)が1ヵ月の医者一人分の給与にあたり、その医者一人が1日に100人を見れば、1ヵ月で延べ2000人の命を救えることになるという。軍事ではなく命と緑への財政支出の大転換がもとめられているのである。

カレーズの会への支援を呼びかける。                    (竹)