5・27横浜地裁 「たちかぜ」裁判傍聴記 − いよいよ証人調べ
「たちかぜ」裁判がいよいよ証人調べの段階に入りました。
2009年5月27日、その第1回目として2人が証言しました。自殺に追いやられたTさんの上司であるSS先任海曹とM班長です。
横浜地裁の503法廷は13時30分の開廷前に、48席の傍聴席は満席となりました。弁護団の要請で6席追加されましたが、傍聴できなかった人もあり、この裁判の社会的関心が高いのが覗えます。
さて、SSさんの証言です。彼は第2分隊電測班に所属し、分隊長を補佐し班長たちを統括する職責にある二等海曹です。彼の証言は、
@ 被告Sの暴行を直接見ていないがガス銃や電動ガンがECM室に置いてあったのは知っている、海に向けて撃ったのを見たが違和感はなかった、
A
人に向けて撃ったのは確認していない、
B
万力などがあったことも見ているがSがナイフを製作していたのは気づかなかった、
C
Sによるパンチパーマの強制やアダルトビデオを高額で買えという恐喝は知らない、などでした。
Tさんが所属していた班の班長であるMさんの証言では、
@ Sがナイフを所持していた、
A ECMに万力が持ち込まれ、作業場になっていた、
B ガス銃もちこまれていた、
ことなどを知っていたと認めたものの、被告Sの殴る・蹴るの暴行やKさんに対するパンチパーマの強制や暴言などの場面は見ていないか、記憶にないというものでした。
艦隊の旗艦であった「たちかぜ」にガス銃や電動ガン、万力、ビデオなどの私物が、レーダーなどがあるCIC室の隣に無断で持ち込まれ、サバイバルゲームと称する暴行、恐喝が行われていたことも驚きです。さらに、それを見て見ぬふりをし、上司に報告することさえ怠ったことが、弁護団の追及によって明らかにされました。
裁判後に開かれた報告集会での弁護団の説明によると、SSさんは比較的正直に答えたものの、M班長は無責任な対応であったということです。
国側は、Tさんの自殺を被告Sのいじめ、暴行によるものでなく、借金を苦にしたものにするため、作為的に証言を誘導したと言えます。
次回(7月8日10時10分から)は、原告が申請した3人の先輩・友人への審問が一日かけて行われます。「たちかぜ」裁判はいよいよ重要な段階に入りました。
[M]
◎「たちかぜ」裁判の日程・横浜地裁
7月8日(水) 10:10〜 証人審問 Nさん、KSさん、KTさん、Iさん
9月9日(水) 13:30〜 証人審問 被告S、原告2名