《浜松基地自衛官人権裁判》とは
 この裁判は、航空自衛隊浜松基地に勤務
していたSさんが隊内での人権侵害により
2005年11月に自殺したことに対して遺族
が国に損害賠償を求めたものです。2008
年4月に提訴、同年6月に第1回の口頭弁論が
が開かれ、以後1〜2ヶ月に1回の割合で口
頭弁論が開催されています。
 Sさんは1976年生まれ、父親も自衛隊員
であり、おじや従兄弟も自衛隊に勤めるとい
う環境で育ちました。サッカーの好きな青年
でした。
 1995年、Sさんは高校卒業とともに航空
自衛隊に入隊、防府南基地の空曹補士課程
を経て、浜松基地第1術科学校に入校、同
校整備部第2整備課動力器材班に配属されま
した。
 Sさんが同班に配属されて以来、先輩のN
はSさんに対し暴行・パワハラを繰り返しまし
た。殴る、蹴る、「五体満足でいられなくし
てやる」などの暴言もありました。
 2004年4月から7月まで、Sさんはイラク
に派遣されましたが、この前後にはNのパワ
ハラはいっそうひどくなり、業務時間を越える
仕事も強要しました。
 2005年6月下旬からSさんには不眠や食
欲不振などの症状が現れ、9月には「うつ」
状態となり、11月13日、自宅で自殺しまし
た。結婚して子供が生まれたわずか5ヵ月後
のこと、29歳の若さでした。
 このような経過と不誠実な自衛隊の対応に
遺族は国及びNに対しての裁判を起こすに
至りました。
    【裁判とこれまでの主な経過】
   2005年11月13日   Sさん自殺
   2008年 4月14日   提訴
   2008年 6月16日   第1回口頭弁論
   2008年 8月18日   第2回口頭弁論
   2008年10月26日   「支える会」結成
   2008年10月27日    第3回口頭弁論
   2008年12月15日    第4回口頭弁論
   2009年 2月16日   第5回口頭弁論
   2009年 4月13日   第6回口頭弁論
   2009年 6月 1日   第7回口頭弁論
   開示された黒塗り部分
ご遺族の訴え
 何故息子は自殺しなければならなか
ったのでしょうか。生まれて間もない赤子
と妻を遺して、29歳の若さで自らの手
で人生に終止符を打たねばならなかった
のでしょうか。
 何故息子は、日々高圧的態度で、バ
カ、死ね、辞めろと人格を無視され、罵倒
倒されたのでしょうか。また殴る、蹴
るの暴行を受け、課業終了後にはコンク
リートの床に正座させられるという酷い仕
打ちを受けなければならなかったので
しょうか。私にはどうしてもそれが納得で
きません。
 私は今回の裁判で次のことを訴えたいと
思います。
 ひとつは、息子の死はいじめによるも
のであること、上司隊員の安全管理義務
違反であることを明らかにして、上司隊員
員と国にはその責任をきちんと果たしても
らうこと。もうひとつ、息子の自殺の原
因究明を自衛隊自身にも真剣にやってい
ただき、上司隊員等による「指導」と称
しての身勝手ないじめで若い隊員が尊い
命を落とすことがないようにしていただく
こと。
 どうか、悩み苦しんでいる隊員がいる
ことを認識していただきたいと思います。
 また、裁判所におかれましては、私た
ち遺族の訴えに耳を傾け、真実究明の
ため公正かつ慎重な審理を切にお願いす
る次第です。
  弁護団からの呼びかけ
 過去10年間で陸・海・空の自衛官
726名が自殺に追い込まれています。
本来、心身共に屈強なはずなのに…。
まさに異常な事態です。
 自衛隊という存在をどう見るかはとも
く、今自衛隊はわが国最大のお役所で
す。年間予算約4兆円、職員総数26万
人の“労働現場”です。
 その労働の場で、労働者たる自衛官
にとってまことに苛酷な事件が繰り返し
発生していることを、私たちは放置する
わけにいきません。
 これまで遺族のほとんどが泣き寝入り
してきました。しかし、2008年11月
8日、海上自衛隊護衛艦「さわぎり」
でのいじめ自殺事件で、国の賠償責任
を認める初めての司法判断(福岡高裁
判決)が出ました。
 今、横浜地裁でも護衛艦「たちか
ぜ」での自殺事件の遺族の訴えがなさ
れています。
 ここに来てようやく、遺族が勇気を奮
い起こして立ち上がりつつあります。皆
さんの支援を弁護団としても切望しま
す。
「浜松基地自衛官人権裁判を支える会」
入会のご案内
  2008年4月、航空自衛隊浜松基地・自衛
 官自殺国家賠償訴訟が提訴されました。
  2005年11月、航空自衛隊浜松基地に勤
 務していたSさんは自ら命を絶ちました。同じ職
 場に勤務する先輩隊員のいじめが原因でし
 た。
  自衛隊は年間約100人も自殺者を出してい
 る異常な公務員職場です。国は多くの隊員
 が自殺しても、真実を隠し続け、闇から闇へ
 葬り去ってきました。そんな中、Sさんの遺族
 が、 「なぜ彼が命を絶たねばならなかったの
 か知りたい」と勇気を出して訴訟に立ち上が
 ったのです。
  このような自衛隊員の人権を守る裁判が全
 国で起きています。
 この航空自衛隊浜松基地自衛官人権裁判
 勝利のために、「浜松基地自衛官人権裁判
 を支える会」への入会をお願いいたします。
  個人会員 … 年間 1 口 1000円
  団体会員 … 年間 1 口 2000円
浜松基地自衛官人権裁判を支える会の連絡先
430−0929
     浜松市中区中央一丁目6番22号
      はままつ共同法律事務所内
      TEL   053−454−5535
      FAX   053−454−5727