2009.11.2
     浜松基地自衛官人権裁判第
10回口頭弁論

 

112日、静岡地裁浜松支部で浜松基地自衛官人権裁判の第10回口頭弁論が60人の支援の下でもたれた。

今回の弁論では原告側が、国側が提出してきた2つの調査報告書の黒塗り部分の開示について、文書提出命令出す方向で詰めていくことを含めて、その開示を強く求めた。

この2つの調査報告書とは、パワハラを行ったNの上司である第2整備課長とSHOP長の指導責任に関する調査書であり、今回、一部氏名や調査官の意見部分などを黒塗りにして国側が提示したものである。

 Nによる私的制裁についての上司の指導責任については、この調査によって「厳重注意」で処理されているが、この調査報告書はNによるHさんへの私的制裁があったことを示す重要な文書である。

現在までに、原告側はHさんが自殺する直前までの経過を準備書面にまとめている。原告側は、国側の調査書をふまえて今後の書面の作成をおこなうが、それにあたり黒塗り部分の開示が必要と判断、裁判長に対してもその部分の重要性を問いただした。

また、原告側はHさんの同期の友人であり、近くの職場に勤めていた元隊員からの聞きとりをまとめ、書証として提出した。

聞きとりから、近くの職場にいた人々がHさんの職場状況の異常性を感じ、Hさんの体調の変化を危惧していたことが明らかになっている。今回の裁判の提訴によって、Hさんを支える発言が部隊の周辺からも発せられるようになった。

口頭弁論後の報告会は参加者で一杯になり、弁護団からの報告、『さわぎり』『たちかぜ』の原告からの支援の発言、原告の挨拶などがなされた。

その席で原告は「OJTの書類からみて能力がおとっていたとはいえない」、「イラクに送られたということは能力があるということ」、「今日は生きていれば33歳の誕生日。くやしい・・。これではうかばれない」、「ことあるたびに不安定な気持ちになるが・・。かれの誕生日を心の中で祝ってください」とそれぞれに語り、その想いの深さを示した。

なお、静岡地裁浜松支部では空自小松基地での暴行・殴打による隊員の失明事件の弁論もおこなわれている。この弁論で国側は暴行による失明を、金沢大の医療過誤へとその責任を転嫁しようと詭弁を弄している。

 国家とその軍事組織による作為と詭弁と隠蔽を許さず、裁判の勝利に向けて支援を強めよう。                                   (T