3・21韓国併合100年とNHK「坂の上の雲」(中塚明講演会)
2010年3月21日、浜松しおかぜ9条の会が主催して中塚明さんの講演会がもたれた。
中塚さんは「韓国併合」とは韓国が日本によって滅ぼされたことであるとし、「併合」という用語が韓国の滅亡を隠すものであることを示した。そして、韓国併合を歴史的な長いモノサシと世界史的な広いモノサシでみながら、話をすすめた。
中塚さんは、江華島事件、日清戦争、日露戦争の歴史について話し、日本が甲午農民軍や抗日義兵軍を殲滅するなかで強制占領をおこなったことを示した。また、抗日義兵闘争を世界史的な民族運動の高揚の中でとらえるとともに、戦後も韓国併合を正当化する日本の問題点を示した。
そして、NHKが放映を始めた「坂の上の雲」について話し、この映像の問題点を、明治は良かったが昭和は間違っていたという歴史観の下で、ひとつは朝鮮問題が完全に無視されていること、もう一つは伊藤博文が平和主義者として描かれていることとした。伊藤博文が欧米に対しては慎重な姿勢をとりつつ、朝鮮国王への強圧や東学農民軍へのジェノサイドなどをおこなっていたことを示し、侵略の歴史をあいまいにしたままでは未来は拓けないとした。
最後に中塚さんは、日本の戦後の民主主義の弱点として朝鮮認識の欠落があることを語り、憲法9条を擁護する発言をする人が伊藤博文を平和主義者として賛美している例を挙げて、朝鮮で何を日本がしたのかを全く知らないままでの平和主義に、警鐘を鳴らした。そして、大切なものは朝鮮認識、それ無くして憲法9条は守ることはできないとし、植民地支配の歴史の清算は現代平和と直結するものであることを示した。
討論でも、中塚さんは「一人一人が歴史をみる見方を強めていかないと日本はちゃんとした国にならない」と語り、現代における朝鮮認識のない平和主義の危うさを指摘した。(T)