2010・3・24「韓国併合100年と日朝国交正常化」清水澄子講演会

324日、静岡で日朝友好県民会議が主催して、清水澄子さんが「韓国併合100年と日朝国交正常化」と題して講演した。

清水さんははじめに、問われる歴史認識をテーマに日本が朝鮮半島を占領して以来、食糧、資源、言葉、氏名を奪い、日本が朝鮮民衆を侵略戦争に動員したことを話した。そして、日本の敗戦から65年を経過しているにもかかわらず、朝鮮民主主義人民共和国との間には国交すらない異常な事態が続いていると指摘した。

つぎに清水さんは南北分断への日本のかかわりについてまとめ、日本人拉致問題が起きた南北情勢について解説した。拉致事件が起こされた1978年から83年は南北での緊張がつよまり、また韓国が激動の時代をむかえていたこと、たとえば、朴正煕暗殺(1979)、光州事件(1980)、ラングーン事件(1983)などが起きていた時代であったことを示した。

さらに、清水さんは、米ソ冷戦の終焉を迎えて1990年の自民・社会党の訪朝団によって労働党との共同声明がむすばれ、南北朝鮮が国連に同時加盟し、日朝国交正常化交渉もはじまった経過があること、1993年には米朝が対立して朝鮮危機となり、この動きが中断したこと、2000年の南北共同宣言を経て、2002年には日朝平壌宣言がだされたが、拉致問題と核をめぐって再び交渉が中断していることなどをまとめた。そして、6者協議をふまえつつ、韓国併合100年を迎える中で、日朝国交正常化に向けて次のように話をまとめた。

清水さんは、まず日本が歴史認識をただし、植民地支配に対して道義的・政治的責任を果たすことが大切であり、強制動員や慰安婦、遺骨問題などの戦後補償問題を解決し、日朝の国交正常化をすすめるべきとした。そして、鳩山政権に対して、村山談話を超えた談話を出して関係改善をすすめること、日朝平壌宣言の原則に立ち返ること、交渉再開に向けて制裁措置を解除すること、日朝基本条約を締結することなどを求めた。

清水さんは、金大中元大統領と交友があり、青瓦台にも招待され、日朝友好運動にも取り組んできた。この100年の歴史を総括し、冷戦構造を克服し、北朝鮮への偏見と蔑視をなくし、民衆の連帯を基礎に東アジアの共同体を目指そうとする清水さんの話は、今後を考える上で参考になるものだった。      (T