静岡・辛淑玉講演会
「在日100年の歴史はもうひとつの日本の姿
              ―韓国併合100年に思う」

2010年10月23日、静岡市内で辛淑玉講演会「在日100年の歴史はもうひとつの日本の姿―韓国併合100年に思う」がもたれ、250人ほどが参加した。

   

辛さんは、朝鮮人という言葉が抑圧的、差別的に使われているからこそ、自らを朝鮮人と呼ぶという立場を述べたのち、祖母や父母の歴史、自分自身の歴史を中心に話をすすめた。そして在日のさまざまな生き方や生活の中でのエピソード、たとえば子どもが社会の差別に耐え切れずに社会とともに親を撃っていくようなメンタリティなどを示して日本社会を問い、最後に国境を越えての連帯を呼びかけた。

辛さんはつぎのように最後に話をまとめた。

わたしは国を愛するのではなく、人を愛したい。(「慰安婦」の被害など)今も続く植民地主義による被害に目をつぶってはいけない。加害者個人の処罰をきちんと行い、可能な限り被害者個々人の原状を回復させ、再発を防止することが大切だ。今を生きる若者もこの被害を無視してはならないし、その手当てをすべきだ。それは、あなたの責任であり、私の責任でもある。私が声を上げれば叩かれるが、殺されはしない。先に生きた人々がどれほど殺されて、足元に転がっていることか。殺された人々に思いを馳せ、今ある被害をいかに救済していくのかが求められる。国境を越えて手をつなぎ、被害者の尊厳回復をすすめよう。[発言主旨・要約]

辛さんは国家や民族から自立し個々人の連帯をもって国家の暴力や差別と闘っていくという人間の方向を、自分史から積みあげるように話しかけた。辛さんが語る在日100年の歴史的な体験からの感情については考えさせられることが多かった。       (T)