品川正治講演会「戦争・人間・憲法九条そして日本経済」浜松9条の会
12月4日、品川正治講演会が「戦争・人間・憲法九条そして日本経済」という演題でUホールで行われた。品川氏は自身の戦争体験を交えながら平和の大切さを話した。参加者は400名。
『日中戦争の最中、旧制高校時代 詩人、三好達治の詩集「春の岬」について講義を受ける企画を立てて、五日間講義を聴くことができた。その最後の講義が終わりにさしかかったところで、三好達治は号泣し教壇にうずくまってしまった。そして「君達若者を死なせて、俺が詩を作れるか」と言っていた。高校時代で忘れることのできない一齣である。
また、戦争末期、中国で戦争に参加していた。敵の砲撃を受け蛸壷に隠れていたが、10数メートル離れて隠れていた友達の蛸壷に砲弾が命中した。「品川、助けてくれ〜」と、叫んでいたが、周りの人に押さえられ、助けに行くことができなかった。もし行っていたら、死んでいただろう。私の名を連呼しながら死んでいった友が忘れられない。
戦争が終わり帰還船の中で日本国憲法の草案を見た。上官に、皆に聞こえるように読むよう命ぜられ前文から読んだ。9条まで読んだとき皆が泣いていた。これなら死んだ戦友に顔向けができる。よくここまで言ってくれたと、泣いていた。戦争を体験した者はそれ程戦争を憎んでいた。』(以上講演の要旨)
このような体験談を話しながら、品川氏は“人間”ということを語った。戦争は人間として赦せない。戦争は母親が死ぬ、子供が死ぬ、赤ん坊が死ぬ、人間として赦せない。理念として9条を掲げている国は多いが、成文憲法として9条を持っているのは日本だけである。日本の支配者はここを変えたくてしかたない。しかし、65年間、日本は主権の発令として、人を殺してはいないし、殺されてもいない。
日本経済についても、なぜ人間の目で見ないのか。国家さえ国際金融資本に攪乱されている。しかし、リーマンショックは「アメリカは正しい、グローバリゼイションは正しい」ということは間違いであったことを示した。アメリカ上位500社のトップの給料は労働者の340倍、ファンドの上位50社のマネージャーにいたっては19000倍の報酬を得ている。弱い者から搾取し、強い者は巨万の富を得ている。日本でも派遣村等において、そのような状況が明らかになってきている。
2時間に及んだ講演は最後時間が少し足りなかったようである。来年米寿を迎えられるというお年を感じさせない力強い講演であった。「戦争を起こすのは人間。戦争を止めることができるのも人間」これが私の基本的な信条である、と語っていた。
(池)