浜松基地人権裁判第20回口頭弁論報告

  

2011131日、静岡地裁浜松支部で第20回めの裁判がもたれ、50人ほどが傍聴に参加した。今回の弁論は、5回の証人尋問を受けてのものであり、追加して出された原告被告双方の証拠書類の確認がなされ、最終準備書面の締め切りは32日になった。

弁論では証拠として出された「特異事案審査資料」に、これまでのNの証言とは異なるNによるSさんへの正座強要の目撃の証言があることから、原告側はこの問題についての供述資料の提示を被告・国側に求めた。

昨年12月に、Sさんの公務災害は認定された。それは隊内での人権侵害がSさんの精神的負荷となり、精神的に病んで自殺に走ったことを認めるものであり、隊内での人権侵害と自殺との因果関係を認定するものであった。裁判では国側は自殺との因果関係を否定してきたが、それが誤っていることが公務災害の認定によって示されたわけである。

横須賀のたちかぜ裁判の判決は、人権侵害の事実や上官の安全配慮義務違反、自殺との因果関係などを認めた。しかし、主要な論点ではない「予見可能性」を持ち出して、人権侵害への賠償は認めるが、それによる死亡への賠償は認めないという不当なものだった。「予見可能性」を持ち出して、賠償額を値切ったということができる。この論は司法の側の逃げの口実である。

人権侵害により圧力を加え続けたことが、精神的な病みを生んだわけでり、それは自殺と密接につながるものである。中途半端な判決ではなく、被害者救済に向けての公正な判決が望まれる。

公正判決を求める署名は131日に16千人分が追加して出され、提出数は計61千人分となった。支える会にはさらに2万人ほどの署名が集まっている。署名の合計は8万人を超えた。結審に向けてさらなる支援を呼びかける。                     (T