『韓国併合』101年と文化財問題

 

2011年9月18日、東京で「『韓国併合』101年と文化財問題―文化財と国際法」という題の学習会が、国際人権法の戸塚悦朗さんを講師に、韓国・朝鮮文化財返還問題連絡会議の主催でもたれた。

戸塚さんははじめに、朝鮮の植民地化にむけておこなわれた戦争を「日韓戦争」としてとらえ、それが、戦時国際法を準用すべき戦争状態にあったとする認識の重要性を指摘した。

その認識の上で、戦時国際法である1899年のハーグ陸戦法規の、歴史上の記念建造物などの押収・破壊・毀損を禁じた第56条を示し、朝鮮からの文化財略奪の違法性を指摘した。

そして、1970年のユネスコの第16回総会での文化財不法搬出と予防手段に関する協約や1973年の国連第38回総会での決議「略奪文化財の返還」、ICRCのウエブサイトから歴史的建造物に関する国際法の歴史的経過などを示すことで、戦時の文化財保護と略奪文化財の返還にむけての国際的な動向を示した。

また、2008年にソウルで文化財の返還をめぐる政府間委員会の開催がもたれていることを示し、文化財返還をめぐっての返還原則や返還手続きなども議論されてきているとした。さらに、旧宗主国の文化財返還への消極性を示したうえで、朝鮮植民地支配での問題点を世界に発信し、問題解決していくことの大切さを話した。

この問題提起を受けて、2011年5月に日本国会で承認された日韓図書協定や未返還の文化財について、活発な意見交換がなされた。

             (竹)