2012.3「植民地支配と紛争解決に向けての対話」

 

2012年3月25日、龍谷大学でワークショップ「植民地支配と紛争解決に向けての対話 東アジアの相互理解のために」が龍谷大学アフラシア多文化社会研究センターと「韓国併合」100年市民ネットワークの共催でもたれ、50人ほどの参加でもたれた。

ワークショップでは、清水耕介「東アジアの国際関係と対立構造」、重本直利「強制連行企業、過去との対話」、三ツ井崇「植民地支配朝鮮における言語政策と日本語・朝鮮語」、有光健「植民地支配下〈流出〉文化財返還運動について」、戸塚悦朗「100年の沈黙と安重根義軍参謀中将の遺墨」の順で問題提起がなされた。

清水耕介さんは国民国家の枠組みでの認識による対立の問題点をあげた。重本直利さんは日本の企業が強制労働の経済的責任(CER)をとることの重要性、企業側が応答責任をとることをあげた。三ツ井崇さんは朝鮮総督府が朝鮮のナショナリズムや朝鮮語を植民地統治に利用したこと、そのように関与したことの暴力性を指摘した。有光さんは文化財返還運動の現状を語り、大倉修古館の資善堂、利川の石塔、朝鮮儀軌などの収奪に関連があることなどを指摘し、包括的な返還促進協定など、今後の課題をあげた。戸塚悦朗さんは明日の326は安重根処刑の日であることを示し、伊藤博文の部下による復命書の草案では皇帝が不同意とされている事例などを紹介した。そして、対話とコミュニケーションの回復をすすめるために、100年の暴力、虚偽・歪曲、沈黙の克服を呼びかけた。

集会の討論では、朝鮮人の抵抗闘争を示すこと、日本企業が戦前の軍事的体質を引きずっていることや被害者を無視してきたことなどの問題の指摘があった。「文化財である遺墨に姿を変えた安重根」、「歴史的文化財が持つコミュニケーション力」、「平和の碑が持つパワー」という指摘も印象に残った。

                              (T)