国側のウソ、破綻 6・18「たちかぜ」控訴審
未開示文書の存在を認めさせる
「たちかぜ」裁判の重要度はますます高まっている。第6回になる口頭弁論が6月18日15時、東京高裁820法廷で開かれた。この日の新聞各紙の朝刊は一斉に「たちかぜ」裁判を大きく報道し、前回第5回口頭弁論で遺族側が提出した現役自衛隊幹部の陳述書について伝えた。一審でこの裁判の国側代理人を務めた海上自衛隊3佐が遺族側が求めている「隊内生活実態報告書」などの未公開文書が存在し自衛隊が隠していることを内部告発したのだ。この前代未聞の告発は制服組の暴走に心を痛めている現役幹部が存在し、さらに自らの生活と家族の将来をかけてまでも自衛隊の体質を変えなければという危機感さえあるということを示している。
この日の弁論では、遺族側代理人は、国側が今まで廃棄したと主張していた文書が「行政文書」ではないとしながらも存在することを認めさせた。しかし、これらの文書の開示について鈴木裁判長が「それは自分では言いません」としたため傍聴席の失笑をかった。結局、途中休憩を経て遺族側が「文書提出命令」を請求し、それに対して国側が「意見書」を出すことで終了した。
裁判長は裁判の迅速化を口実に証人尋問をさせないまま結審させようとしたと推測されるが国側が隠していた新たな証拠の存在は上司や加害者の再度の証人尋問を含め審理を尽くす必要性を明らかにした。
次回期日は、9月12日15時、隠されていた「証拠」や「証人尋問」の取り扱いが焦点となる。