卒業式まっただ中 3・2全国集会

 

 2013年3月2日(土)大阪市のエルおおさか・文化プラザにおいて表記の集会が行われた。大阪では近年橋下・維新の会による「日の丸・君が代」攻撃が苛烈を極め、一昨年6月には「日の丸・君が代」強制条例が、以後昨年にかけて「君が代・日の丸」処分条例としての『教育基本条例』などが府・市の教育労働者に押し付けられた。昨年の卒業式の処分者は35人(府立29・市立3・豊中1・高槻1・茨木1)、入学式は2人だった。今年は不起立3回でクビなどと定める条例の施行後初めての卒業式を迎える。緊迫感溢れるシーズンのまさに「まっただ中」での集会だった。

 司会挨拶の後、まず昨年戒告処分を受けた豊中の教育労働者Sさんが基調報告をおこなった。「教育基本法を改悪した安倍政権が返り咲いた。自民党改憲草案の第1条は天皇の元首化、第3条は国旗・国歌の尊重義務、第4条は元号だ。国民主権を否定し、天皇制日本の宣言をするものである。民主主義と人権を否定し、戦争国家を作り上げる改憲を許すことはできない。安倍は『教育再生実行会議』を設け、改悪教育基本法のさらなる具体化を推し進めている。いじめ防止を口実に道徳教育を押し付けようとしている。教育に競争と差別と排除の論理をもちこみ、『日の丸・君が代』教育を徹底して『皇国臣民』をつくりあげようとしている。教育労働者の職を奪う「日の丸・君が代」の押し付けに断固として闘おう! 橋下・維新の会の処分行政をけっして許さない。不服従・非転向で闘う全国の教育労働者と連帯して闘おう。戦争教育を拒否し、『立たない・歌わない』の闘いを断固貫き通そう!」と主張した。

 次に、今年初めて「立たない・歌わない」を実践しようと決めた若い教育労働者による決意表明があった。「ボーイスカウトの活動などをやっていたので昔は右翼的心情をもっていた。しかし、大学時代にアジアの学生たちと交流することによって先の戦争における日本の加害の問題を考えるようになった。愛国心を強要した戦前の過ちを繰り返してはいけない。『日の丸・君が代』の強制が強まる中で、教育公務員としての形式的な義務を果たすことよりも、自分の良心に従って『市民的不服従』の権利を発揮したいという気持ちが強くなってきた。今年は頑張ろうと思う」。若い人の自発的な行動に、希望をもった。

 昨年戒告処分を受けたため再任用を取り消されたTさんは「これまではアリバイ的に座っていたが、今回は不服従の意志をもって座った。いろんな人がいろんな形で抵抗を試みている。それぞれを尊重しながら、連携してゆきたい」と語った。目下、他の仲間たちと「ZAZA(座・座)の会」を作って、人事委員会に提訴中である。

 再任用の撤回を求めるKさんは「教え子や親ごさんたちのところを回って署名をお願いしている。『立たない・歌わない』という行為そのものよりも、それを理解してもらい広めることの方が大切。そこに交流が生まれ、ヨコの広がりができる。様々な人や運動との連携を大切にしたい!」と強調する。教え子たちが苦労して署名を集めてくれるのがとても嬉しいという。

3年の担任のYさんはこれまでいろんなことに興味・関心をもってやってきたが、粘り強く最後までやりきることができなかったそうだ。「しかし、今度ばかりはそうはゆかない。卒業式でもきっちり座るつもりだ!」と決意を述べた。「教員生活の締めくくりとして、最後までやりきりたい。何か一石を投じられればよいと思う。」と晴れやかに語った。

 その他、各地から連帯の挨拶があった。集会の後、1時間あまり市内デモでアピールをした。

大阪では、「ZAZA(座・座)の会」を中心として8人が現在人事委員会に提訴している。目下、書類等のやりとりを行っているが、やがて審理が始まるだろう。3・2集会の後の3月5日(火)、新聞に大阪府教委の中間集計が載った。5日現在の不起立者は府立学校95校のうち府立高校7校の教員計9人とのこと(残りの府立学校117校の卒業式は19日まで)。「君が代」は千代に八千代にもめつづけよう! 抵抗はつづく…(Y)