丹田に力を!ヤーッ! 神田香織講談

2013年4月20日、静岡市内で浜岡原発を考える静岡ネットワークの主催で神田香織講談会「フクシマから」がもたれ、一五〇人が参加した。

神田香織さんの話から印象に残ったものをあげておこう。

福島原発から55キロほどの地で育った。講談のテーマは怒りであり、それを生かすのは笑いと涙である。師匠は目的と情熱をもち、頭のなかのものを、心を込めて語っていたから、七〇歳でも若々しかった。講談師となり、一九八六年のはだしのゲン以後、チェルノブイリの祈り、フラガール物語、哀しみの母子像など演じてきた。福島事故以後、フクシマ支援・人と文化ネットワークを立ち上げた。

世界中が福島周辺の汚染に注目しているが日本では報道されない。福島では原発事故のことを本心で語れないような精神的な拷問のような状況がある。子どもたちには甲状腺がんがでているのに、なぜチェルノブイリのように避難の権利がないのだろう。除染で儲けているのは原発を作ったものたちだ。

大変な人々のことを知らんぷりの状況だが、本を読み、話を聞くとは想像力を培うことだ。間違った方向をただす、それを行動に移そう。自分の声を鍛えよう、生きるか殺されるかの時代になったのだから、命がけで守ろう。乱世を生き抜く語り口を持とう。

神田香織さんは滑舌のイロハから話をはじめ、青田恵子の詩「拝啓関西電力様」「一万円」を朗読し、はだしのゲンやチェルノブイリの祈り、悲しみの母子像の一節を紹介し、最後は丹田に力を入れ、参加者とともに、明るく、強く、短く、ヤ−ッ!と力声をあげた。その話は、事実をこまかく物語り、涙と笑いをふまえて怒りを組織し、気力をふるいおこして新たな時代に向けての変革を呼びかけるものだった。

乱世を生き抜く語り口を持て!丹田に力を!ヤーッ!         (竹)