12.23静岡集会「改憲時代の反天皇制運動」
2013年12月23日、静岡市内で「改憲時代の反天皇制運動」をテーマに集会がもたれた。集会では井上森さんが「アキヒト天皇制―抵抗軸を引き直すために」の題で、大小の日本主義(ナショナリズム)の克服、恩寵の欺瞞性の暴露などの課題を昭和天皇記念館反対や立川テント村での活動経験をふまえて提起した。野村洋子さんは、水俣の「海づくり大会」について、水俣での「海づくり大会」が天皇による国民動員と水俣病幕引きのための儀式であることを現地調査と抗議行動をふまえて報告した。
この2つの報告をふまえて、天皇制の現状と今後の対抗運動についての討論がなされた。集会事務局からは天皇制批判の観点として、反民主主義制度、人権(差別の根源)、権力による利用の道具、大衆を瞞着するイデオロギー装置、国民の多様な価値観の否定、ナショナリズムによる他者抑圧、近代創出のため装置、近代天皇制の戦争責任などが提示された。
議論を聞きながら、考えたことはつぎのようなことだった。
自民党の改憲案では天皇は元首とされ、グローバル化による格差拡大と排外主義が強まっている。その中で、どのように抵抗軸を引くのかがテーマとなる。
ヒロヒトの代替わりは、この国の民主主義と天皇制の戦争責任が問うものだった。その問いの根本には天皇制によって人間に生き方が束縛されていくことへの抵抗感覚があった。生き方の方向性が問われていたともいえるだろう。天皇行事があれば、天皇が動くことで人権侵害が起こされていく。人権、人間の権利と尊厳が侵されるのである。天皇制への抵抗の核には命、自らの権利と尊厳がある。
この命を守るためには平和的な関係性が必要なのであるが、その平和的な関係を形成するには天皇制のウソと対抗する歴史認識が欠かせない。「万世一系」も「神聖」も「国民統合の象徴」も作られたものだ。天皇の国家によって多くの人々が殺されたが、そのような人々を復権する歴史的な力、過去を清算する民衆の運動が天皇制をなくす基礎的な力になる。
もう一つは、いまある天皇制のイデオロギーとの対抗がある。恩恵や緑、慈愛の形をとった王制の国民統合、ナショナリズム宣伝に負けないで、その欺瞞のベールをはぎ取ることも必要だ。
このようなことを考えながら、集会は歌で終わった。(T)