日本国首相様 2015年4月29日
日米防衛協力指針の再改定に抗議しその撤回を求める要請書
2015年4月27日、日米政府は安全保障協議委員会で日米防衛協力指針(ガイドライン)の再改定に合意しました。わたしたちはこの再改定に強く抗議し、その撤回を求めます。
1994年、空自浜松基地へのAWACS(空中管制指揮機)の配備が通告されるなか、わたしたちはNO!AWACSの会をつくり、AWACSに反対してきました。1997年のガイドライン改定後、1998年と1999年に計4機のAWACSが配備されました。
ガイドライン改定により日米共同作戦態勢が強められ、海外派兵と米軍支援の動きがすすみました。AWACSは配備されると、グアムやアラスカでの日米の共同訓練に参加し、朝鮮半島や中国への監視飛行をおこなうようになりました。
また、イラク戦争にともない、2004年以降、浜松基地からイラク・クウェートへの派兵がおこなわれました。さらに、ミサイル防衛に対応して、2008年には浜松基地にPAC3が配備され、アメリカでの実用訓練もおこなわれるようになりました。
このように浜松基地は、新たなガイドライン安保体制のなかで、宇宙の軍事化とグローバルな戦争に対応し、イラクでの米軍の後方支援、ミサイル防衛の拠点、恒常的な警戒監視と情報収集、情報の米軍への提供、海外での米軍との共同訓練などを担うようになったのです。新たな戦争の準備がすすむなかで、自衛官への人権侵害も強まり、自殺者も数多く出るようになりました。
今回の日米防衛協力の指針の再改定は日米の共同作戦態勢をいっそう強化するものです。それは、日米の軍事同盟をグローバルに拡げ、平時から戦時まで切れ目なく、柔軟に、実効的に行動し、そのために同盟調整メカ二ズムを置くというものです。
改定の文面には、共同作戦、武力の行使、即応性、要員の交換、相互運用、後方支援などの言葉が並んでいますが、要するに、地球のどこでも、いつも、アメリカ軍と共に戦争をおこなうことができる、そのための日米共同作戦部をおく、というものです。改定新ガイドラインは戦争の手引き書のようなものです。このような改定を外務・防衛閣僚による会議で決めてしまいました。
日本国憲法は武力行使や交戦権を否定していますが、この改定行為は明白な憲法違反です。また、安保条約の行動範囲にも反するものです。政府はいま、安保法制の形で、グローバルな軍事行動ができる法律を作ろうとしていますが、その法律を制定する前に、アメリカとグローバルな軍事行動を合意しました。このような行為は、憲法、国会、国民を無視するものであり、立憲主義、平和主義、主権在民を否定するものです。主権者の人権を侵す政府に、存立の価値はありません。
かつて浜松は、陸軍航空部隊によるアジア爆撃の拠点とされ、軍需生産の拠点にもなりました。そのため、米軍による激しい空襲をうけました。わたしたちは、浜松を再び戦争の拠点としてはならないと考え、地域で反戦・平和の取り組みをおこなっています。集団的自衛権行使の閣議決定、日米防衛協力指針の再改定合意、安保法制の準備などは日本をグローバルな戦争へとつきすすませるものであり、浜松を戦争の拠点とするものです。このような動きに、わたしたちは断固、反対します。