東京高裁は即時抗告の棄却決定を!
ボクシングチャンピオンを先頭に高裁への要請行動
袴田巖さんの無実を求める再審請求は、静岡地裁村山裁判官の再審開始決定により、47年7ヶ月という長い闘いが勝利した日でした。
袴田巌さんが巻き込まれた事件が捜査機関のねつ造であり、虚構の事件であったことを白日の下にさらけ出しました。
これに対し、検察はこの決定を素直に受け止めることなく、あくまでも袴田巌さんを死刑台に連れ戻そうと遮二無二抵抗を続けています。東京高裁はこうした検察の意見を鵜呑みにし、無辜の民の救済という再審審理の意義を忘れ去り、百害あって一理なしの「検証実験」を行おうとしています。
こうした検察に引きずられた東京高裁の訴訟指揮は、村山決定をないがしろにしようとするものであり、まがいもなく袴田巌さんを再び獄中に連れ戻そうとするものであり、到底許すことはできません。
検察の無意味な抵抗は、再審開始決定を真摯に受け止めず、死刑執行の恐怖から抜け出そうともがき続け、「裁判は終わった。事件はない」とする袴田巌さんに、残酷・非情な鎖をつけようとするものです。
東京高裁は検察の意見に引きずられることなく、検察の横暴を許さず、「司法の正義」の実現を果たすべきです。
検察の横暴な態度による、巌さんの再収監の狙いを許さない!
巌さんのいのちが削られる
静岡地裁村山裁判長による巌さんの再審開始決定は、ものの見事に事件のねつ造を明らかにし、捜査のあり方など司法制度の問題点を指摘したものでした。検察のすべきことは、組織的な反省のうえで、再審公判で巌さんの無実を証明することです。
しかし、図星を突かれた検察はこの決定を不服として、理不尽にも東京高裁に即時抗告を行いました。
巌さんの無実・冤罪を認めた決定に対しの即時抗告は無意味以外の何ものでもありません。
このような検察の抵抗は、79歳の高齢の巌さんを苦しめるだけであり、命を削り取る行為であり許すことは出来ません。
検察の抵抗で延々と続く三者協議
裁判の舞台が東京高裁に移り、延々と三者協議が続けられています。その理由は、検察側が開始決定で一つの大きな理由になった、DNA鑑定に異議を申し立てているからです。
静岡地裁でのDNA鑑定は、弁護・検察双方が鑑定人を立て、同じ試料で鑑定を行いました。犯行着衣に唯一袴田さんの血痕だとされる血液から検出されたDNAは、袴田さんのものではないと弁護・検察双方の鑑定人が認めました。
静岡地裁が鑑定を行うに際して、味噌漬けの白半そでシャツについた血痕が、血液であるかどうかを確かめることを求めていました。この裁判所の意向を受け、弁護側鑑定人は血液かどうかを出来るだけ正確に調べるため、鑑定人考案の「選択的抽出法」により取り出された血液によって鑑定が行われました。
検察の二枚舌、引きずられる東京高裁
検察はこの「選択的抽出法」を法医学会が認めていない等々の言いがかりをつけています。しかし、検察は2006年の神戸地裁の公判で、弁護側鑑定人の手法を「科学的で信用性が高い」と高く評価しています。まさしくご都合主義の検察であり、裁判所はとにかく「検証実験」をやりたいと検察と歩調を合わせています。
巌さんの巻き込まれた事件は「科学捜査の勝利」と県警は評価していますが、実のところ、事件の真相は誰も分からず、科学的でもなんでもない、拷問とねつ造による事件の「解決」でした。
東京高裁は、素直に開始決定を受け止め、直ちに検察の即時抗告を棄却すべきです。
県警は袴田巌さんに謝罪を
弁護士との接見盗聴に抗議申入
49年前の1966年8月18日袴田巖さんは、全く身に覚えない罪で不当逮捕されました。
事件発生から49日目の逮捕は、明らかに被害者感情を逆手に取った、世論を意識した意図的な逮捕であったと考えます。袴田巖さんの逮捕は、アリバイのない立場の弱い人間を逮捕し、拷問により警察の筋書きに合わせ強制自白をさせた、「拷問王」紅林警部に代表される静岡県警お得意の冤罪の構図です。
「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則が、再審裁判にも適用するとした最高裁「白鳥決定」から今年で40年になります。袴田巖さんの場合、「疑わしきは被告人の利益に」ということ以前のデッチ上げ不当逮捕であり、違法捜査が行われたわけです。「接見盗聴」というあり得ない違法行為が、通常の取調べの感覚で行われていた事実が当時発覚していれば、袴田巖さんが冤罪被害者として苦しむ事はなかったのです。
県警への抗議要請行動(2015/8/18)
しかし、県警は「審理中」であることを臆面もなく言い訳とし回答せず、私どもの抗議を無視し続け事実の解明も説明責任も果たしていません。また、回答期限についても何ら対応せず、慇懃無礼な態度に終始しています。
こうした行為は、掲げられている「開かれた警察活動」の、最大の相談窓口の職務すら放棄していると言わざるを得ません。警察官一人ひとりの行為は県民、市民から信頼されてこそ成り立つものだと考えます。私たちの抗議、申し入れを無視し続ける事は、県民から負託された責務を全うするための、警察に対する理解と協力を求める姿勢とはおよそかけ離れています。
「秘密交通権」の侵害という司法制度の根幹を揺るがす違法な捜査が、今もなお行われているのではないかという疑念について、広く県民、市民から負託された警察活動のあり方を問いたいと思います。そしてこうした重大な違法行為について、県警は事実を明らかにし、不当逮捕されえん罪被害を被った袴田巖さんに、直ちに謝罪すべきです。
(浜松・救う会)