袴田巌さんの再審開始・無罪判決を求める9・27浜松集会
2015年9月27日、浜松市内で 袴田巌さんの再審開始・無罪判決を求める9・27浜松集会がもたれ、60人が参加した。
集会では弁護団の小川秀世弁護士が東京高裁での3者協議での検察側の動きを批判し、台湾での冤罪事件のワークショップについて紹介した。弁護団は9月に入り、検察側の主張する検証実験に反対、即時抗告審で職権鑑定をすべきでないことなどを意見書として裁判所に提出した。
続いて、殺人事件被害者で死刑反対の運動に参加している原田正治さんが、「償いとは」の題で話した。原田さんは被害者遺族の感情を利用して死刑をすすめることに反対し、加害者との対話、本音での話し、その対話から何かをつかんでいくことの大切さを話した。
この話が終わったときに袴田巌さんがひで子さんとともに会場に姿をあらわし、会場はどよめいた。巌さんは、拘禁によって混乱する言葉のなかにも、「死刑なんて判決は出しようがない」「死んじゃしょうがないから、どうしたって頑張る」などと無罪確定にむけての思いを語った。久しぶりに集会に参加した巌さんの発言に拍手が起きた。激励に駆けつけた福島みずほさんも発言した。
集会は、全国からの支援のあいさつをうけ、アピールを採択して終わった。
袴田巌さんの再審開始・無罪判決を求める
9・27浜松集会アピール
袴田巌さんが闘い続け、勝ち取った再審開始決定から今日で1年半が経過しました。1年半が経過してもなお、三者協議は検察の無意味な抵抗により、いまだ再審への道は見通せず、時間だけがむなしく過ぎています。
3・27開始決定は、「DNA鑑定等の新証拠を前提とすると」「5点の衣類が、犯行着衣でも袴田のものでもないという疑いは十分合理的なものである」とし、「念のため検討したその他の証拠について、やはり、袴田の犯人性を認定できるものでは無いことが検証された」としています。
このように開始決定はDNA鑑定のみでなく、新旧証拠の総合評価によって決定されていることは明らかです。さらに死刑の執行停止と拘置の執行停止を行い、袴田巌さんは解放されました。
解放から1年半、袴田巌さんは、長年の過酷な獄中生活による妄想性障害は消えること無く、心身ともに生き難さを抱えながらの日々です。しかし、昨年夏の体調悪化による緊急入院以降の状況は、少しずつではありますが随分安心感が深まって来ているように感じられます。
空転する三者協議で、検察は百害あって一理なしの「検証実験」にこだわり続けています。その検察の意見に従うかのような東京高裁の訴訟指揮は、「事件はない。裁判は終わった」という袴田巌さんを再び獄中に連れ戻そうとするものに他なりません。
3.27開始決定を踏まえ、東京高裁は袴田巌さんの無実をさらに確固とした物とするため、粛々と検察の即時抗告を棄却し、再審を開始させるべきです。
また、検察は、隠し持った証拠をすべて開示し、一刻も早く再審での検察自ら無辜の救済を行うべきです。
袴田巖さんにこれ以上の無駄な時間を費やす事はできません。
袴田巖さんの冤罪を晴らすため、東京高裁はただちに即時抗告を棄却すること、東京高検は隠し持っている全証拠を開示し、即時抗告を取り下げることを強く求めます。
2015年9月27日
袴田巌さんの再審開始・無罪判決を求める9・27浜松集会参加者一同